広報・資料 報告書・資料

政策評価法に基づく事前評価書

評価年月日:平成15年4月11日
評価責任者:無償資金協力課長 山田彰


1.案件名

1-1.供与国名
 エジプト・アラブ共和国

1-2.案件名
 「ギザ市ピラミッド北部地区上水道整備計画」
2.無償資金協力の必要性

2-1.二国間関係
 中近東・アフリカ地域において大きな影響力を有するエジプトの安定は、地域の安定及び中近東諸国全体と我が国の友好関係の維持に密接に関わる。そのため、我が国は、エジプトを中近東・アフリカ地域の重点援助国と位置付け、これまで経済社会基盤の整備、貧困対策、人材育成等の分野において積極的に支援を行ってきている。

2-2.対象国の経済状況
 1991年以降、国際通貨基金(IMF)との合意に基づき市場経済化に向けた経済構造改革が進められ、年5%以上の経済成長、インフレ率の低下、財政赤字の縮小といった成果を達成した。しかし、外貨収入源が観光業に偏っているため国際収支の構造が脆弱である中、経済の自由化により輸入が急増したことに伴い、厳しい外貨不足に見舞われたこと等もあって、最近の経済成長率は2~3%台に留まっている。

2-3.対象国の開発ニーズ
(1) 都市人口が急増していることから、都市部における住環境の整備が急務とされており、現在実施中の第4次5ケ年計画において、上下水道の整備は重要項目の一つとして挙げられている。
(2) 首都カイロに隣接し人口が急増しているギザ市では、1987年に、2000年を目標年次として策定されたギザ市上水道整備マスタープランに基づき上下水道整備が続けられている。しかし、同市のピラミッド北部地区は、浄水場から最も離れた場所に位置することや、人口の増加が急激であることから、整備が追いつかず、現在ギザ市内において最も給水状態の悪い地区となっている。なお、本件の完了に伴い、同マスタープランは完了となる。


2-4.我が国の基本政策との関係
 我が国の対エジプト国別援助計画の重点分野の一つが社会・経済基盤の整備であり上下水道の整備はこれに含まれる。従って、本案件は我が国の基本政策に合致している。

2-5.無償資金協力を実施する理由
 エジプトは後発開発途上国であり、本案件の実施につき、同国政府より高い優先順位を付して要請がなされている。
3.案件概要

3-1.目的
 本計画は、ギザ市上水道整備計画マスタープランの一部を構成するものであり、同市ピラミッド北部地区における給水率の向上、供給される水質の改善による水因性疾患の減少を通じた同市住民の生活レベルの向上を目的としている。

3-2.案件内容
 供与限度額は43億3,100万円(平成15年度:9.82億円、平成16年度:26.09億円、平成17年度:7.40億円)。
 ギザ市ピラミッド北部地区における送水幹線、配水池、配水ポンプ場等の建設及びエジプト国内にて調達困難な配水管等の供与

3-3.環境社会配慮、外部要因リスクなど留意すべき点
 次の事項がエジプト政府によって確保されること。
(1)エジプト側の負担部分の予算の確保・工事の進捗
(2)エジプト側上水道運営組織の財政体質の改善
(3)完成後の維持管理のための人員及び予算の確保

3-4.無償資金協力の成果の目標(アウトカム)
(1) 当該地区住民1人当たりの給水量が現在の1日当たり50-100リットルから大幅に増加する。
(2) 低水質の井戸給水の必要がなくなり、安全で安定した量の水の供給が可能にな る。
(3) ギザ市における衛生事情を改善する。
(4) エジプトとの二国間関係を増進する。
4.事前評価に用いた資料等及び有識者等の知見の活用

(1)先方政府からの要請書
(2)政策協議結果
(3)第3回無償資金協力実施適正会議


このページのトップへ戻る
目次へ戻る