平成18年9月1日
(1)「医薬品供給センター整備計画」(供与限度額:7億6,100万円)
(2)「コチャバンバ県灌漑施設改修計画(第1期)」(供与限度額:3億1,000万円)
(1)ボリビアは南米における最貧国の一つであり、妊婦死亡率420/10万出生(2000年)、5才未満児死亡率71/1000出生(2002年)と周辺諸国に比べ高い死亡率となっているが、このような中、ボリビアは、2001年に貧困削減戦略文書を策定し、保健関連目標として乳幼児死亡率の低下や妊産婦の健康改善を掲げ、2003年に策定された国家保健政策において、母子ユニバーサル保険(以下「SUMI」という)が実施されることとなった。また、同年国家医薬品供給制度を整備し、SUMI対象の必須医薬品供給のため医薬品供給センター(以下「CEASS」という)を実施機関とする供給体制を構築した。CEASSは医薬品供給に係るボリビア唯一の公的非営利機関として重要な役割を担っている。
(2)CEASSは、中央センターと11の地方センターから構成されているが、中央センターは医薬品の保管容量が不足しており適切な保管管理が行えず、保冷設備もないため、保冷保管が必要な品目は別施設の保冷庫を借用して活動を行っている。また、中央・地方センター共に配送車両が不足しているため、民間業者に配送委託をせざるを得ないが、配送日数に最大20日も要するうえに配送日が不確実である等、計画的運送の支障となっている。
CEASSは安価なジェネリック医薬品を大量に一括購入することにより現在取り扱っている必須医薬品の全てを市場価格以下で全国の公的医療施設に供与している。しかしながら、保管・配送能力の不足によりSUMI対象必須医薬品供給量の全国シェアはおよそ10%にすぎず、国民全体の25%に及ぶ医薬品にアクセスできない貧困層に対する医薬品供給の支障となっている。
(3)このような状況の下、ボリビア政府は、CEASSの中央センターの施設建設及び中央・地方センターの機材整備に必要な資金につき、我が国に無償資金協力を要請してたものである。
(4)この計画の実施により、保管、配送環境が整備され、医薬品の取扱量が増加し、医薬品が貧困層にまで行き渡ることが期待される。
(1)ボリビアは、農業セクターがGDPの15.6%(2004年世銀)、全体就業人口の44%を占める主要産業の一つである。しかし、その多くは小規模農家で天水農業による伝統的農法で栽培されているため農業生産性は低く、生産量が国内需要を満たすには至っていない。
(2)このような中、国家計画「国家農牧・農村開発戦略2005」では、農業分野の優先改題として農業・農村インフラの整備を目標に掲げている。同国では灌漑施設の整備は国家の重要政策となっている。
(3)本案件の対象地域であるコチャバンバ県は、上記整備の重点地区となっている。同地域は年間降水量が少なく、灌漑用水なしでは年間を通じた農業生産は困難である。一方、既存灌漑システムの用水路は老朽化による漏水が激しく、加えて都市部通過箇所では、下水本管が未整備のため都市下水が流入して水質が悪化し、野菜栽培への利用が制限されている状況であることから、灌漑施設の改修は緊急課題となっている。
(4)このような状況の下、ボリビア政府は、同県アンゴスツーラ地区(コチャバンバ市、キリャコリョ市、ティキパヤ市及びコルカピューラ市)における灌漑施設の改修に必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請したものである。
(参考)
ボリビア共和国は、総人口が900万人で、一人当たり国民総所得が960ドル(2004年)(世銀ランク)である。