地球環境

持続可能な開発
Sustainable Development

平成17年8月

1.「持続可能な開発」とは

 「環境と開発に関する世界委員会」(委員長:ブルントラント・ノルウェー首相(当時))が1987年に公表した報告書「Our Common Future」の中心的な考え方として取り上げた概念で、「将来の世代の欲求を満たしつつ、現在の世代の欲求も満足させるような開発」のことを言う。この概念は、環境と開発を互いに反するものではなく共存し得るものとしてとらえ、環境保全を考慮した節度ある開発が重要であるという考えに立つものである。

2.「地球サミット」から「ヨハネスブルグ・サミット」へ

(1)「国連環境開発会議」(「地球サミット」)(1992年)

 1970年代始め頃から人間環境について様々な決定がなされるようになり、その後、オゾン層の破壊、地球温暖化、熱帯林の破壊や生物多様性の喪失など地球環境問題が極めて深刻化し、世界的規模での早急な対策の必要性が指摘された。その結果、1992年に、「国連環境開発会議」(UNCED、「地球サミット」)が開催され、環境分野での国際的な取組みに関する行動計画である「アジェンダ21」が採択された。同会議には、182か国及びEC、その他多数の国際機関、NGO代表などが参加した。

(2)「国連環境開発特別総会」(1997年)

 「地球サミット」から5年を経た1997年には、国連環境開発特別総会(UNGASS)が開催され、「アジェンダ21の一層の実施のための計画」を採択した。

(3)「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(「ヨハネスブルグ・サミット」)(2002年)

(イ)「地球サミット」開催から10年後の節目に当たる2002年9月に、アジェンダ21の見直しや新たに生じた課題などについて議論を行うため、「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(WSSD、「ヨハネスブルグ・サミット」)が開催された。成果文書として、首脳の持続可能な開発に向けた政治的意思を示す文書である「持続可能な開発に関するヨハネスブルグ宣言」と、貧困撲滅、持続可能でない生産消費形態の変更、天然資源の保護と管理、持続可能な開発を実現するための実施手段、制度的枠組みといった持続可能な開発を進めるための各国の指針となる包括的文書である「ヨハネスブルグ実施計画」が採択された。同サミットには、世界の政府代表や国際機関の代表、産業界やNGO等2万人以上が参加し、21世紀初頭を飾るに相応しい地球環境問題を考える大規模な会議となった。

(ロ)国連事務総長の提案(WEHAB)

 アナン国連事務総長は、ヨハネスブルグ・サミットに際し、水(Water)、エネルギー(Energy)、保健(Health)、農業(Agriculture)、生物多様性(Biodiversity)の5分野を重視し、各々の頭文字を取って、「WEHAB」と呼び、それぞれの分野について次のとおり指摘した。

(i)水:10億人の人々が安全な飲料水を得ていない。20億人以上の人々が適切な衛生設備を持っていない。毎年200万人の子供達が水に関連した疾病で死亡している。アクセスを改善する必要がある。

(ii)エネルギー:20億人がエネルギーを享受していない。再生可能エネルギーの利用を増やす必要がある。各国は京都議定書を締結すべきである。

(iii)保健:年間300万人が大気汚染を原因に死亡している。マラリア等の熱帯病は汚染された水と不衛生に密接に関連している。貧困層の病気の研究が重要。

(iv)農業:世界の農業用地の3分の2が劣化していると見られる。農業生産を高めることが必要。

(v)生物多様性:世界の熱帯雨林とマングローブの半分が破壊された。このような過程を逆転させる必要がある。

3.ヨハネスブルグ・サミットのフォローアップ

(1)持続可能な開発委員会(CSD)

(イ)1992年の地球サミットで設置が決まった国連組織であるCSDは、アジェンダ21の実施進捗振りの監視及び見直しを行なうことなどを主な目的としている。国連経済社会理事会の下に設置されており、毎年春に総会が行われる。

(ロ)CSDは、ヨハネスブルグ・サミットの結果、引き続き国連システム内の持続可能な開発に関するハイレベル委員会であるとされ、2003年5月に開催された第11会期で、2004年以降2年を1サイクルとし、中心的に取り上げるテーマ群と各サイクルで取り上げる分野的横断事項を決定した。第1サイクル(2004-2005年)は、水、衛生等、第2サイクルはエネルギー等とされている。

(2)日本の取組み

(イ)「国連持続可能な開発のための教育の10年」

  • 持続可能な開発をあらゆるレベルで具体化していくためには、人づくり、とりわけ、教育が重要である。こうした観点に立ち、日本は、2002年の第57回及び2003年の第58回国連総会において「教育の10年」に関する決議案を提出し、全会一致で採択された。また、この分野で主導的な役割を担っているユネスコに財政支援を行い、さらなるリーダーシップの発揮を要請するとともに、各国政府に地域社会を含めあらゆるステークホールダーと連携しつつ、本「10年」の着実な実施を求めている。

(ロ)持続可能な生産・消費形態への転換

  • 21世紀の社会は、環境を良くすることが経済を発展させ、経済が活性化することによって環境も良くなっていくような関係を築き、質の高い持続可能な社会を目指していくことが重要である。
  • 日本政府は、ヨハネスブルグ実施計画に基づき、我が国が策定する持続可能な生産形態への転換を加速するための10年間の枠組みとして「循環型社会形成推進基本計画」を2003年3月に閣議決定した。

(ハ)水

  • 2003年3月に京都、滋賀、大阪で開催された第3回世界水フォーラムには、182の国・地域から24000人以上が参加した。その際開催された閣僚級国際会議には170の国・地域、47の機関が参加した。同閣僚会議では、行動指向の閣僚宣言のほか、43か国、18国際機関による501件の自発的な取組をまとめた「水行動集」(Portfolio of Water Actions)が発表され、また、その着実な実施を図っていくためのフォローアップの仕組みとして「ウェブサイト・ネットワークの設立」が発表された。日本政府は、会議主催国として、同年5月末にその暫定的な運用を開始した。今後の本格的な運用については、関連国際機関と協議中である。
  • また、このフォーラムの際、日本は160億円の水資源無償資金協力の創設、5年間で約1000人の上下水道分野における人材育成などを盛り込んだ包括的な貢献策である「日本水協力イニシアティブ」を発表した。さらに、米や仏とこの分野での協力に合意し、他国や国際機関との連携をより深めていく方針である。
  • 2003年5月のG8エビアンサミットでは、第3回世界水フォーラムを踏まえた水に関するG8行動計画が策定された。

(ニ)森林

  • 我が国は、アジアにおける持続可能な森林経営の促進、特に違法伐採問題への取組を重視しており、インドネシア等と協力して「アジア森林パートナーシップ(Asia Forest Partnership)」を2002年のWSSDの際に発足させ、推進中である。2003年6月には、メガワティ・インドネシア大統領訪日の際に、「日インドネシア違法伐採対策協力共同発表及び行動計画」の署名式を両国首脳立ち会いの下で実施した。このような地域的取組・協力が世界の持続可能な森林経営の発展に貢献することを期待している。

(ホ)防災

  • 災害の予防、対策準備、被害拡大防止は、持続可能な開発の諸課題を達成するための前提とも言うべきものである。ヨハネスブルグ実施計画は、21世紀の安全な世界のために防災への取組強化を求めており、我が国は2003年の第58回国連総会に決議案を提出し、2005年1月に神戸において国連防災世界会議が開催され、「兵庫行動の枠組み2005-2015」が採択された。

(ヘ)環境関連途上国支援

  • 我が国は、環境問題を全人類的課題と位置づけ、これまでも重点的に取り組んできでおり、2002年のWSSDに合わせ「持続可能な開発のための環境保全イニシアティブ(EcoISD)(別紙)」を策定し、経済発展に伴う環境汚染への対応や、環境問題の根源にある貧困の解決、さらには地球規模の環境問題への対応のための支援を行っている。
  • 2002年度の日本の環境分野における援助実績は、無償資金協力、円借款、技術協力及び国際機関に対する拠出金等の合計で約4,054億円であり、ODA全体に占める割合は約34.9%となっている。

(i)地球温暖化対策

 途上国に温暖化対策に関する技術の移転・普及を図るとともに、科学的、社会的、制度的側面を含めた温暖化問題への対処能力の向上を進めている。

(ii)環境汚染対策

 急速な経済成長を遂げつつあるアジア諸国を中心に、都市部での公害対策及び生活環境改善(大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理等)への支援の重点化を進めている。日本は、国内の公害問題に取り組む過程で多くの経験と技術を蓄積しており、それらを活用して途上国の公害問題に協力している。

(iii)「水」問題への取組

 3.(2)(ハ)を参照。

(iv)自然環境保全

 住民の貧困削減を考慮しつつ途上国の自然保護区等の保全管理、森林、砂漠化防止及び自然資源管理に対する支援を実施している。

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