
地球環境ファシリティ
(Global Environment Facility:GEF)
平成23年6月
1.目的・性格
- (1)開発途上国及び市場経済移行国が、地球規模の環境問題に対応した形でプロジェクトを実施する際に追加的に負担する費用(incremental cost ※1)につき、原則として無償資金を提供する。
- (2)GEFは、4つの環境関連条約※2の資金メカニズムとして世界銀行(世銀)に設置されている信託基金で、世銀、UNDP、UNEP等の国際機関がGEFの資金を活用してプロジェクトを実施する。
2.設立の経緯
- (1)1989年9月の世銀・IMF合同開発委員会において、地球環境の保全または改善のための基金を仏・独が提案。その後、世銀理事会の決議に基づいて1991年5月に第1回参加国会合が開かれ、3年間の期限(1991年7月から1994年6月※3)でGEFパイロットフェーズが発足した。
- (2)パイロットフェーズの終了時、パイロットフェーズで蓄積した知見・ノウハウを踏まえて改組し、1994年に正式にGEFがスタート(「GEF1」と呼称※4)。その後、4年おきに3回の増資を行い、2010年5月、第5次増資の交渉が決着し、現在GEF5期間中(2014年6月まで)。
3.対象分野
| |
対象分野 |
投入事業資金累計(1991年〜2009年) [単位:百万ドル] |
| 1) |
生物多様性 |
2,882 |
| 2) |
気候変動 |
2,812 |
| 3) |
複数分野 |
1,143 |
| 4) |
国際水域汚染防止 |
1,122 |
| 5) |
残留性有機物質(POPs) |
370 |
| 6) |
土地劣化 |
343 |
| 7) |
オゾン層保護 |
182 |
(注)土地劣化(砂漠化・森林減少)及びPOPsは、第2回総会(2002年10月、北京)において、対象分野として追加された。
- ※1 GEF資金はincremental costについてのみ拠出され、個々のプロジェクト全額を支給することはない(co-financing)。これにより、開発プロジェクトが環境に配慮した形で立案されるような梃子とする意義をもつ。これまで,GEF資金88億ドルの投入と共に他の機関から386億ドルの資金がもたらされている(1991-2009年)。なお、カルタヘナ議定書のバイオセイフティ・クリアリング・ハウスや気候変動枠組条約における国別報告書等、資金メカニズムとして指定されている条約等の趣旨を実現するため必須の事業には、例外的に100%拠出される。
- ※2 国連気候変動枠組条約、生物多様性条約、国連砂漠化対処条約、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)。
- ※3 GEFの会計年度は世銀と同様、7月初日〜6月末日。
- ※4 第1次増資は1994年7月から1998年6月。
4.構造と参加国
(1)総会(Assembly)
- 全参加国代表で構成(182カ国)
- 主にGEFの政策全般をレビューするほか、GEF設立規定(Instrument)の改正をコンセンサス方式で決定する。
- 原則3年に1回の開催だが、実際は増資期間に合わせ、4年ごとに開催されている(第1回:1998年 ニューデリー。第2回:2002年 北京。第3回:2006年 ケープタウン。第4回:2010年 プンタデルエステ)。
(2)評議会(Council)
- 日本を含む32の代表国メンバーで構成(先進国14、途上国16、移行経済国2)。
- 年2回(通常5月と11月)または必要に応じ開催。
- 意思決定は原則コンセンサス方式による。ただし、ダブルマジョリティ方式の投票による意思決定方式(基礎票と拠出比例票それぞれの60%以上の獲得を要する)も用意されている。
- 日本からは、評議員(Council Member)として財務省開発機関課開発企画官が、同代理(Alternate)として、外務省地球環境課首席事務官が登録されている。また、アドバイザーとして、環境省国際協力室からも参加。
(3)GEF事務局
(4)実施機関
- 世銀、国連開発計画(UNDP)及び国連環境計画(UNEP)の3つの実施機関(Implementing Agencies)並びに7執行機関(Executing Agencies: ADB、IDB、AfDB、EBRD、UNIDO、FAO、IFAD)が、GEFの資金を活用してプロジェクトを実施する。
(5)トラスティ
5.資金規模とわが国の資金協力
- (1)GEFパイロットフェーズ(試験期間)[1991年7月〜1994年6月]
- (2)GEF1[1994年7月〜1998年6月]
- 資金規模20.1億ドル
-
米国 4.30億ドル(21.3%)
日本 4.15億ドル(20.6%)
- (3)GEF2[1998年7月〜2002年6月]
- 資金規模26.7億ドル(新規拠出19.8億ドル)
-
米国 4.30億ドル(21.7%)
日本 4.13億ドル(20.8%)
- (4)GEF3[2002年7月〜2006年6月](プレッジベース)
- 資金規模29.3億ドル(新規拠出22.1億ドル)
-
米国 4.30億ドル(19.5%)
日本 4.23億ドル(19.1%)
- (5)GEF4[2006年7月〜2010年6月](プレッジベース)
- 資金規模31.4億ドル(新規拠出23.0億ドル)
-
米国 3.20億ドル(13.9%)
日本 3.05億ドル(13.3%)
- (6)GEF5[2010年7月〜2014年6月](プレッジベース)
- 資金規模43.4億ドル(新規拠出35.4億ドル)
-
米国 5.75億ドル(16.2%)
日本 5.05億ドル(14.3%)
6.多数国間環境条約との関係
気候変動枠組条約、生物多様性条約及びPOPs条約は、条約上、GEFが途上国等支援のための(暫定的な)資金メカニズムとして機能することを明記しており、条約とGEFとの間のMOUにより、GEFが各条約の締約国会議(COP)のガイダンスに従うことを明記している。また、京都議定書及びカルタヘナ議定書は、それぞれ気候変動枠組条約、生物多様性条約を通じてGEFを資金メカニズムとしている。
オゾン層保護に関するモントリオール議定書は、多数国間基金を設けており、GEFに関する規定は持たないが、多数国間基金が対象としない国について、補完的な資金源となっている。また、砂漠化条約は、条約上はGEFを資金メカニズムとする明示的な規定はないが、COP決定によってGEFを条約上の資金メカニズムとしている。