地球環境

地球環境ファシリティ
Global Environment Facility:GEF)

平成21年4月

1.目的・性格

(1)開発途上国及び市場経済移行国が地球規模の環境問題に対応した形でプロジェクトを実施する際に追加的に負担する費用 (incremental cost ※1)につき、原則として無償資金を提供すること。

(2)GEFは国際機関ではなく、世銀、UNDP、UNEP等の既存組織を活用した資金メカニズム。

2.設立の経緯

(1)1989年9月の世銀・IMF合同開発委員会において、地球環境の保全または改善のための基金を仏・独が提案。その後、世銀理事会の決議に基づいて1991年5月に第1回参加国会合が開かれ、3年間の期限(1991年7月から1994年6月 ※2)でGEFパイロットフェーズが発足した。

(2)パイロットフェーズの終了時、それまでの経験等をふまえて改組と以後4年間の資金規模について合意が成立し、1994年に正式にGEFがスタート(「GEF1」と呼称 ※3 )。その後2回の増資を経て、2006年6月、第4次増資の交渉が決着し、現在はGEF4期間中(2010年6月まで)。

3.対象分野

  対象分野 投入事業資金(1991年〜2003年)
(単位:百万ドル)
1) 気候変動 1,590.90
2) 生物多様性 1,638.70
3) 国際水域汚染防止 633
4) オゾン層の保護 172
5) 土地劣化 19.2
6) 残留性有機物質(POPs) 86.3

(注)土地劣化及びPOPsは、第2回総会(2002年10月、北京)で対象分野に追加された。

※1 GEF資金はincremental costについてのみ拠出され、個々のプロジェクト全額を支給することはない(co-financing)。これにより、開発プロジェクトが環境に配慮した形で立案されるような梃子とする意義をもつ。なお、カルタヘナ議定書のバイオセイフティ・クリアリング・ハウスや気候変動枠組条約における国別報告書等、資金メカニズムとして指定されている条約等の趣旨を実現するため必須の事業には、例外的に100%拠出される。

※2 GEFの会計年度は世銀と同様、7月初日〜6月末日。

※3 第1次増資は1994年7月から1998年6月。

4.構成と参加国

(1)運営

 世界銀行(IBRD)、国連開発計画(UNDP)及び国連環境計画(UNEP)の3つの実施機関(Implementing Agencies)により、共同運営される。各国が世銀に設置されるGEF信託基金に資金を拠出し、各実施機関がその資金を取り入れてプロジェクトを実施する。各実施機関の役割分担は、おおむね次のとおり。

IBRD:投資プロジェクト、基金の管理

UNDP:技術協力プロジェクト

UNEP:科学的分析

 なお、GEF資金に対するアクセス改善のため、3実施機関の下に7執行機関(Executing Agencies: ADB, IDB, AfDB, EBRD, UNIDO, FAO, IFAD)を設定し、GEF事業を実施している。

(2)構造

(イ)総会(Assembly)

(ロ)評議会(Council)

(ハ)GEF事務局

5.資金規模とわが国の資金協力(財務省予算)

(1)GEFパイロットフェーズ(試験期間)[1991年7月〜1994年6月]

(2)GEF1[1994年7月〜1998年6月]
 資金規模20.2億ドル
 米   4.3億ドル (21.3%)
 日本  4.15億ドル(20.2%)

(3)GEF2[1998年7月〜2002年6月]
 資金規模27.5億ドル(うち7億ドル弱がGEF1からの繰り越し)
 米   4.3億ドル (20.8%)
 日本  4.13億ドル(20.0%)

(4)GEF3[2002年7月〜2006年6月](プレッジベース)
 資金規模30億ドル(新規拠出22.8億ドル)
 米   5.0億ドル (20.86%)
 日本  4.23億ドル(17.63%)

(5)GEF4[2006年7月〜2010年6月](プレッジベース)
 資金規模31.3億ドル(新規拠出22.8億ドル)
 米   3.2億ドル (13.98%)
 日本  3.1億ドル (13.32%)

6.多数国間環境条約との関係

 気候変動枠組条約、生物多様性条約及びPOPs条約は、条約上、GEFが途上国等支援のための(暫定的な)資金メカニズムとして機能することを明記しており、条約とGEFとの間のMOUにより、GEFが各条約の締約国会議(COP)のガイダンスに従うことを明記している。

 また、京都議定書及びカルタヘナ議定書は、それぞれ気候変動枠組条約、生物多様性条約を通じてGEFを資金メカニズムとしている。

 オゾン層保護に関するモントリオール議定書は、多数国間基金を設けており、GEFに関する規定は持たないが、多数国間基金が対象としない国について、補完的な資金源となっている。また、砂漠化対処条約は、条約上はGEFを資金メカニズムとする明示的な規定はないが、COP決定によってGEFを条約上の資金メカニズムとしている。

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