地球環境

ストックホルム条約
(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約:
Stockholm Convention on Persistent Organic Pollutants (POPs)

平成21年7月

1.背景・作成の経緯

(1)1992年6月の国連環境開発会議(UNCED)で採択されたアジェンダ21の第17章では、海洋汚染の大きな原因となっている物質の一つとして「合成有機化合物」を挙げるとともに、この問題への国際的な取組みを開始するための政府間会合の開催を要請しており、これを受けて1993年の国連環境計画(UNEP)第17回管理理事会決定によって、「世界行動計画」の採択のための政府間会合を行うことが決定された。

(2)1995年10月〜11月、ワシントンにおいて米国国務省とUNEPの共催により、約100か国の政府代表団、国際機関、非政府機関等の代表が参加した政府間会合が開催され、環境問題に関する「世界行動計画」及び同計画への各国のコミットメントを示す「ワシントン宣言」が採択された。右宣言には、特に早急な対応が必要であると考えられる12の残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants : POPs)の減少に向けて、これらの物質の排出を規制するために法的拘束力のある国際的な枠組を確立することに向けて行動することが含まれている。

(3)これを受けて、1997年2月の第19回UNEP管理理事会において、POPsの規制について1998年から法制化に向けた国際交渉を開始し2000年末までに結論を出すことが決定された。1998年6月から5回にわたってPOPsの規制に関する政府間交渉会議が開催され、2001年5月、ストックホルムで行われた外交会議において、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」が採択された。

2.締結状況

 2004年5月17日に発効。2009年7月現在、152か国及び欧州共同体(EC)が署名、我が国を含む164か国(G8では加、独、仏、英)及びECが締結している。

3.残留性有機汚染物質(POPs)について

(1)POPsとは何か
 毒性が強く、難分解性、生物蓄積性、長距離移動性、人の健康又は環境への悪影響を有する化学物質のこと(ダイオキシン類、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、DDT等)。

(2)規制の必要性
 POPsは、環境中に放出された際、偏西風やグラスホッパー現象(蒸発、凝結を繰り返し、徐々に極域へ移動する現象)等を通じて国境を移動するものと見られており、実際にPOPsの放出がなされていない地域である極域に生息するアザラシ等からもPOPsが検出されている。従って、POPsの国際規制を強化し、その環境への放出を防止することが必要である。

4.条約の主な内容

 残留性有機汚染物質から人の健康と環境を保護することを目的とし、(1)PCB等9物質(附属書A掲載物質)の製造・使用、輸出入の禁止(2)DDT(附属書B掲載物質)の製造・使用・輸出入の制限、(3)非意図的に生成されるダイオキシン等4物質(附属書C掲載物質)の放出削減、及びこれらの付属書掲載物質の廃棄物の環境上適正な管理等を定めている(注1)。第4回締約国会議(2009年5月)において新規9物質の附属書掲載が決定された(未発効)(注2)

  条約発効時からの附属書掲載物質 第4回締約国会議で附属書に追加された物質
附属書A掲載物質 アルドリン
クロルデン
ディルドリン
エンドリン
ヘプタクロル
ヘキサクロロベンゼン
マイレックス
トキサフェン
ポリ塩化ビフェニル(PCB)
テトラブロモジフェニルエーテル及びペンタブロモジフェニルエーテル
ペンタクロロベンゼン
クロルデコン
ヘキサブロモビフェニル
リンデン
α-ヘキサクロロシクロヘキサン
β-ヘキサクロロシクロヘキサン
ヘキサブロモジフェニルエーテル及びヘプタブロモジフェニルエーテル
附属書B掲載物質 DDT パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とその塩、及びパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド(PFOSF)
附属書C掲載物質 ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン及びポリ塩化ジベンゾフラン
ポリ塩化ビフェニル(PCB)
ヘキサクロロベンゼン
ペンタクロロベンゼン

(注1)現在の規制対象12物質の内、PCB及びヘキサクロロベンゼンは附属書A及び附属書Cの両方に掲載されている。
(注2)新規9物質の追加に関する附属書の改正は、寄託者(国際連合事務総長)による附属書の採択についての通報日から1年後に効力を生ずることとなっている(条約第二十二条4)。新規9物質の内、ペンタクロロベンゼンは附属書A及び附属書Cの両方に掲載されている。

5.予算

 条約事務局の予算は、締約国会議において決定される(出納業務はUNEPが行う)。締約国は、国連分担率を基に算出される分担率に応じて条約事務局の予算を負担している。我が国の分担率は、米国が未締結である状況を受けて上限の22%であり、2009年は約86万6千ドルを拠出している。

6.締約国会議

(1)2005年5月、第1回締約国会議が開催され(於:ウルグアイ)、締約国会議手続規則等法的事項、財政・予算事項、条約運営にかかる事項、補助機関(残留性有機汚染物質検討委員会:POPRC)の設置等が決定された。我が国は、POPRCアジア地域の一メンバーとして選出された(任期4年)。

(2)2006年5月、第2回締約国会議が開催され(於:ジュネーブ)、バーゼル条約及びロッテルダム条約とのシナジーを促進する決議等が採択されたほか、条約の有効性評価を目的としてPOPs汚染実態のモニタリングと分析を行う世界モニタリング計画に関し、今後の作業計画を立案するアドホック技術作業部会の設立が決定された。

(3)2007年5月、第3回締約国会議が開催され(於:セネガル)、第1回有効性評価のための世界モニタリング実施計画、同実施計画のための地域グループ及び調整グループの設置が合意された。また、条約の実施促進を目的として能力構築と技術移転を行う地域センターの選定プロセスが決定された。

(4)2009年5月、第4回締約国会議が開催され(於:ジュネーブ)、附属書に9種の化学物質を追加掲載する決定が採択されたほか、第1回有効性評価が取りまとめられ、今後の有効性評価の手法を検討するワーキンググループ設置が決定された。また、能力構築と技術移転を実施する地域センターが8か所選定された。なお、遵守委員会の設立交渉は妥結せず、第5回締約国会議へと持ち越された。我が国より、北野大(まさる)明治大学教授がPOPRCメンバーに再任された(任期2010年〜2014年)。

(5)第5回締約国会議は2011年5月に開催予定(於:ブエノスアイレス)。

7.ウェブサイト

ストックホルム条約事務局
 http://www.pops.int/他のサイトヘ

日本の国内実施計画(環境省ホームページ)
 http://www.env.go.jp/chemi/pops/plan/all.pdf(PDF)PDF 他のサイトヘ

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