地球環境

ウィーン条約/モントリオール議定書
(オゾン層の保護のためのウィーン条約:Vienna Convention for the Protection of the Ozone Layer/オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書:Montreal Protocol on Substances that Deplete the Ozone Layer

平成21年9月

1.背景等

(1)地球を取り巻くオゾン層は、生物に有害な影響を与える紫外線の大部分を吸収しているが、冷蔵庫の冷媒、他方で、電子部品の洗浄剤等として使用されていたCFC(クロロフルオロカーボン)、消火剤のハロン等は、大気中に放出され成層圏に達すると塩素原子等を放出し、オゾン層を破壊している。
 オゾン層の破壊に伴い、地上に達する有害な紫外線の量が増加し、人体への被害(視覚障害・皮膚癌の発生率の増加等)及び自然生態系に対する悪影響(穀物の収穫の減少、プランクトンの減少による魚介類の減少等)がもたらされる。

(2)このようなオゾン層破壊のメカニズム及びその悪影響は、1970年代中頃より指摘され始め、その後、国際的な議論が行われ、

(イ)1985年3月22日に、オゾン層の保護を目的とする国際協力のための基本的枠組みを設定する「オゾン層の保護のためのウィーン条約」が、

(ロ)1987年9月16日に、同条約の下で、オゾン層を破壊するおそれのある物質を特定し、当該物質の生産、消費及び貿易を規制して人の健康及び環境を保護するための「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が、

それぞれ採択されるに至った。なお、条約及び議定書の事務局は、両者ともナイロビの国連環境計画(UNEP)に置かれている。

2.条約及び議定書の概要

(1)「オゾン層の保護のためのウィーン条約」の概要

 本条約においては、締約国が、

(A)オゾン層の変化により生ずる悪影響から人の健康及び環境を保護するために適当な措置をとること(第2条第1項)

(B)研究及び組織的観測等に協力すること(第3条)

(C)法律、科学、技術等に関する情報を交換すること(第4条)等について規定している。

(2)「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」の概要

(イ)議定書に定める規制措置
 本議定書において規定する主な規制措置は次のとおりである。

(A)各オゾン層破壊物質(ODS:Ozone Depleting Substances)の全廃スケジュールの設定(第2条のA〜H)

(B)非締約国との貿易の規制(規制物質の輸出入の禁止又は制限等)(第4条)

(C)最新の科学、環境、技術及び経済に関する情報に基づく規制措置の評価及び再検討(第6条)

(ロ)議定書の下での規制措置の強化

 モントリオール議定書の採択後、議定書締約国の間でオゾン層の破壊状況と規制措置につきさらに検討が行われた結果、オゾン層の破壊が予想以上に進んでいることが判明したこと等から、

(A)1990年6月  議定書第2回締約国会合(ロンドン会合)

(B)1992年11月  議定書第4回締約国会合(コペンハーゲン会合)

(C)1995年12月  議定書第9回締約国会合(モントリオール会合)

(D)1997年9月  議定書第9回締約国会合(モントリオール会合)

(E)1999年12月  議定書第11回締約国会合(北京会合)

の5回にわたって規制措置の強化が実施された。

(参考)ウィーン条約及びモントリオール議定書の締約国数(2009年9月現在)

3.開発途上国援助

(1)経緯

(イ)1990年6月の議定書第2回締約国会合(ロンドン会合)において、モントリオール議定書に基づく規制措置を自力で実施する十分な資金・技術を有していない開発途上国(議定書第5条1適用国)を援助するために、「オゾン層保護基金(モントリオール議定書の実施のための多数国間基金)」を中核とする暫定的な資金供与の制度の設立につき合意され、同基金が1991年1月より暫定的に発足した。

(ロ)1992年11月の議定書第4回締約国会合(コペンハーゲン会合)で、資金供与の制度の正式な設立につき合意され、1993年1月よりオゾン層保護基金が正式に発足した。

(2)オゾン層保護基金の概要

 オゾン層保護基金は、国連分担率を基礎として、議定書第5条1非適用国(先進国)の拠出によって賄われる。
 基金は、執行委員会(Executive Committee;締約国計14ヶ国(先進国及び途上国より各7ヶ国)で構成。我が国及び米国は常任メンバー国)により運営され、世界銀行、UNEP、UNDP及びUNIDOが援助の実施機関となっている。
 なお、基金事務局はモントリオールに置かれている。

(3)オゾン層保護基金の資金規模

 同基金は、3ヶ年を1期として、締約国会合において資金規模が決定される。これまでの資金規模の推移は次のとおりであるが、我が国は基金発足以来、米国に次ぐ資金拠出国となっている(括弧内は当該期間における我が国拠出額)。

 第1期(1991〜1993年):2億4000万ドル(約3300万ドル)
 第2期(1994〜1996年):5億1000万ドル(約6500万ドル)
 第3期(1997〜1999年):5億4000万ドル(約8500万ドル)
 第4期(2000〜2002年):4億7570万ドル(約9900万ドル)
 第5期(2003〜2005年):5億7300万ドル(約1億400万ドル)
 第6期(2006〜2008年):4億7000万ドル(約8800万ドル)
 第7期(2009年〜2011年):4億9000万ドル(約8073万ドル)

4.最近の動き

 議定書採択から20周年に当たる2007年9月にモントリオールで開催された第19回締約国会合においては、代替フロンであるHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)の削減スケジュールの前倒しに係る議定書の調整が決定され、オゾン層保護と気候変動対策の双方に資する成果として注目された。

 2008年11月にドーハで開催された第20回締約国会合では、オゾン層保護基金の今後3年間の資金補填規模が決定されたとともに、オゾン層破壊物質バンク(市中に出回っている冷蔵・冷凍・空調機器等の冷媒として使用・貯蔵されているもの等)対策が中心的な議論となり、既に回収されたクロロフルオロカーボン(CFC)の破壊を優先してパイロット事業を実施することになった。

5.今後の課題

 モントリオール議定書の規制スケジュールに基づく5条国における2010年までのCFC全廃を確認するとともに、第19回締約国会議で削減スケジュールが前倒しされたHCFCの規制への取組みを促進することが最重要課題である。それらに加え、オゾン層破壊物質の回収・破壊や気候変動枠組条約との連携等、新たな課題に対する検討が必要である。また、米国に次ぐトップドナーとして、オゾン層保護基金及び事務局予算が効率的・効果的に運用されるよう、今後も我が国の一層のイニシアティブが期待されている。

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