地球環境

国連持続可能な開発のための教育の10年
United Nations Decade of Education for Sustainable Development:UNDESD

平成18年4月

1. 経緯

(1)「持続可能な開発」のために教育が極めて重要な役割を担うことについては、すでに1992年に開催されたリオ・サミットの際にも認識されており、同サミット後、国連持続可能な開発委員会(CSD)においてユネスコが中心となって「持続可能な開発」のための教育のあり方について検討が進められてきた。

(2)ヨハネスブルグ・サミット実施計画の交渉過程で、国内NGOの提言を受け、我が国が提案し、各国政府や国際機関の賛同を得て実施計画文書に「2005年から始まる『持続可能な開発のための教育の10年』の採択の検討を国連総会に勧告する」旨の記述が盛り込まれることとなった。これを受け、我が国より、第57回国連総会に「持続可能な開発のための教育の10年」に関する決議案を提出。我が国の働きかけにより、先進国と途上国の双方を含む47ヶ国が共同提案国となり、満場一致で採択された。

2. 目的

 アジェンダ21、国連ミレニアム開発目標及びヨハネスブルグ・サミット実施計画を踏まえ、「持続可能な開発」を進めていくためには、あらゆる国・地域において官民がこぞって取組を行う必要があり、これを促進していくためには基礎教育、高等教育、教員教育、環境教育等を充実させ、市民の啓発活動を粘り強く展開していくことが必要であるという認識に立って、国連において、2005年から2014年までを「国連持続可能な開発のための教育の10年」とし、その下で各国政府、国際機関、NGO、団体、企業等あらゆる主体間での連携を図りながら、教育・啓発活動を推進する。

3. 第57回国連総会決議の内容

(1)2005年1月1日から始まる10年を「国連持続可能な開発のための教育の10年」(以下、「教育の10年」)と宣言する。

(2)ユネスコをリード・エージェンシーとし、ユネスコが関連国連機関等と協力して、「教育の10年」の国際実施計画案を策定する。

(3)各国政府はユネスコが作成する国際実施計画を考慮し、2005年までに「教育の10年」を実施するための措置をそれぞれの教育戦略及び行動計画に盛り込むことを検討する。

(4)第58回国連総会の仮議題に「教育の10年」を含むことを決定する。

4. 採択後の動き

(1)国連等における国際的な動き

(イ)第3回世界水フォーラム(2003年3月16〜23日)
 同フォーラム閣僚会議において採択された水行動集の中に、政府の働きかけにより「教育の10年」が含まれた。

(ロ)ユネスコ執行委員会
 第166回執行委員会(2003年3月31日〜4月16日)において、ユネスコが「教育の10年」の推進の基盤となる国際実施計画案の骨子を第32回ユネスコ総会(同年秋開催)までに作成し、進捗状況についてユネスコが次期国連総会に報告することを求める決議が採択された。その後、同骨子を踏まえた国際実施計画案が作成され、第172回執行委員会(2005年9月13日〜29日)において承認された。なお、当省は、この国際実施計画の策定を支援するため2004年3月、ユネスコに対し10万ドルを拠出した。

(ハ)国連大学・第1回ウブントゥ・グループ会合(2003年4月16〜17日)
 国連大学が第1回ウブントゥ・グループ作業会合及び拡大会合を開催し、関係高等教育機関、広中参議院議員、小杉GEA事務総局長、廣野成蹊大学教授及び関係省(環境、文科、外務)等が参加、WSSD以降の進捗状況が報告された。

(参考)ウブントゥ・グループ
 WSSDの際にウブントゥ村で世界の11の高等教育機関(含むユネスコ)が集まって結成されたグループ。持続可能は開発の推進に向けた科学技術教育を強化する旨の宣言を採択した。

(ニ)アジア協力対話(ACD)
 ACD第2回会合(2003年6月22日)において、我が国より協力プロジェクトとして「環境教育」を提案した。2004年6月7日及び8日、東京において「環境教育」推進対話を開催し、ACD参加国の政府の代表を中心に、国際機関、有識者、NGO等を含め活発な意見交換が行われた。2005年9月20日及び21日には、東京において、第2回「環境教育」推進対話を開催し、「生産と生活のグリーン化」というテーマのもと、企業の取組と家庭・地域の取組という2つの側面から活発な議論が行われ、また横浜の関連施設を視察した。

(参考)アジア協力対話(Asia Cooperation Dialogue
 アジアの発展を目的に参加者が関心を持つ事項に関して自由に意見交換する場。参加国は22か国。ACDの枠組における協力プロジェクトは、コンセンサス方式ではなく、ACDの枠内でアジア諸国間で進めるのに適当なプロジェクトを、その提案国(プライム・ムーバーと呼ばれる)を中心に、参加できる国が参加する方式で進められる。

(ホ)第58回及び第59回国連総会(2003年12月24日、2004年12月22日)
 第57回国連総会において採択された決議をより強化するために、我が国より更に決議案を提出。第58回国連総会においては45ヶ国が、第59回国連総会においては34ヶ国が共同提案国となり、全会一致で採択された。

(ヘ)国際立ち上げ式典(2005年3月1日)
 国連本部において開催された本件「教育の10年」の国際立ち上げ式典に、我が国から有馬元文部科学大臣が出席し、我が国の貢献について紹介した他、世界のエネルギー事情に触れつつ、持続可能でないライフスタイルを変更させる意識改革の必要性を訴えると共に、あらゆる関係者の「教育の10年」への取り組みを呼びかけるスピーチ(英文日本語訳)を行った。(同式典には、有馬元文部科学大臣の他、松浦ユネスコ事務局長、アナン国連事務総長夫人、サラ・ユニセフ事務局次長、スティーブン・ロックフェラー教授(ロックフェラー兄弟財団理事長)がスピーチを行い、コナレ・アフリカ連合委員長やリンドバーグ前スウェーデン教育科学次官の他、各国代表部、国連・国際機関、教育関係NGOなど約160名が会場に参集した。)

(ト)持続可能な開発委員会第13会期(CSD13)(2005年4月20日)
 我が国はCSD13の機会に国連本部において、国連経済社会局及びユネスコと共に「教育の10年」のサイドイベントを開催した。プレゼンテーションを通じて、「教育の10年」に深く携わる関係者の各々の取組を共有し、本件に対する参加者の関心を高めると共に推進に向けた協力を働きかけた。

(チ)アジア太平洋地域における立ち上げ式典(2005年6月28日)
 2005年6月28日及び29日に名古屋大学において、国連大学とユネスコが主催する会議「グローバリゼーションと持続可能な開発のための教育」が開催され、6月28日にこれに先立ち、アジア太平洋地域における「教育の10年」の立ち上げ式典が行われた。

(リ)その他国際場裡における推進
 我が国の働きかけの結果、2005年7月のグレンイーグルズG8サミットの成果文書である「気候変動、クリーン・エネルギー、持続可能な開発」の中に、また、同9月の国連首脳会合の成果文書の中に、「教育の10年」を推進していく旨の文言が盛り込まれた。

(2)国内における動き

(イ)環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律
 2002年12月18日に与党環境施策に関するプロジェクトチームの環境教育推進に関する小委員会が開催され、「教育の10年」の推進体制作りのためにユネスコ、関係省(環境、文科、外務)、NGOが協力して取り組むべきことが申し合わされた。その後同小委員会が与党環境の保全・教育の促進に関するプロジェクトチームに格上げされ、本プロジェクトチームにおいて、2003年6月17日、環境教育等に関する議員立法のため「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律案」がとりまとめられた。本法律案は国民、NPO、事業者等による環境保全への理解と取組の意欲を高めるため、環境教育の進行や体験機会、情報の提供を行うもの。2003年7月18日に国会において成立し、同年7月25日に公布された。また、この基本方針は2004年9月に閣議決定され、同10月に法律が完全施行された。

(ロ)わが国における実施計画
 2005年12月27日、「教育の10年」に係る施策の実施について、関係行政機関相互間の緊密な連携を図り、総合的かつ効果的な推進を図るため、内閣に関係省庁連絡会議が設置された。円卓会議の開催や国民からの意見募集を通じ、2006年3月30日にわが国における「教育の10年」の実施計画が決定された。(同実施計画、関係省庁連絡会議についての詳細(内閣官房の関連ページ他のサイトヘ))。

(ハ)国内NGO

 2003年6月21日に「教育の10年」を推進するための環境・教育関係NGOの横断的組織「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)が発足した。同年9月に、ユネスコが発表した国際実施計画枠組案に対する提言書を提出した他、国内各地で関連する会合を実施しており、2005年3月6日には「教育の10年」のキックオフミーティングを開催した。

(ニ)日本ユネスコ国内委員会
 ユネスコが作成する国際実施計画に日本として貢献するために、日本ユネスコ国内委員会教育小委員会において有識者より構成される「教育の10年」のワーキンググループが設置された。右会合でまとめられた提言が2003年7月の日本ユネスコ国内委員会において採択され、ユネスコに提出された。

(ホ)地球環境行動会議(GEA)
 2003年10月24〜26日に東京で「持続可能な未来のために〜教育・IT・天然資源」国際会議を開催した。

5.今後の予定

 広くアジアにおいて「教育の10年」を推進することを目的に、本年6月14日及び15日、アジア協力対話(ACD)第3回「環境教育」推進対話を仙台において開催する予定。同対話においては、この3月に策定したわが国における「教育の10年」実施計画の内容を公表すると共に、地域の取り組みとして仙台広域圏等の地域の拠点(RCE:Regional Center of Expertise)活動などを紹介する。また、アジア諸国関係者との間での意見交換を行う。

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