平成23年2月
1992年(6月) UNCED(国連環境開発会議)
1995〜1999年 IPF(森林に関する政府間パネル)
1997年(6月) UNGASS(国連環境開発特別総会)
1997〜2000年 IFF(森林に関する政府間フォーラム)
2001年〜 UNFF(国連森林フォーラム)
(1)背景
森林問題を巡っては、従来から、特に熱帯林を中心として急速な減少・劣化の進行等が指摘され、1992年6月UNCED(国連環境開発会議、通称「地球サミット」)で採択された『アジェンダ21』第11章「森林減少対策」には、熱帯林、温帯林、北方林を含む全ての種類の森林の多様な役割・機能の維持や、森林の持続可能な経営及び保全の強化等が挙げられている。また、UNCEDでは「森林原則声明」(注)も採択された。
(注)「森林原則声明」("Forest Principles")
正式名称:「全ての種類の森林の経営、保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明」
→ 森林に対する各国の主権の確認、森林の保全・回復及び持続可能な経営の実施に向けて各国は努力し、国際社会は協力すべきこと等、森林の保全、持続可能な経営・開発の実現に向け国レベル、国際レベルで取り組むべき15項目の内容を規定。
(2)世界の森林の減少・劣化(deforestation and forest degradation)
(イ)世界の森林面積(2005年)= 約39.5億ヘクタール(地球の陸地面積の約30.3%)
<地域別>
アフリカ 16.1%
アジア 14.5%
欧州(含:ロシア) 25.3%
北中米 17.9%
オセアニア 5.2%
南米 21.0%
(ロ)世界の森林面積の減少(2000〜2005年)
= 年間平均約-731.7万ヘクタール(1990〜2000年)
= 年間平均約 -886.8万ヘクタール
(ハ)世界の森林面積増減の比較(2005年森林面積:2000年比)
アフリカ -0.62%
アジア +0.18%
欧州 +0.07%
北中米 -0.05%
オセアニア -0.17%
南米 -0.50%
世界全体 -0.18%
(ニ)熱帯林が減少している理由
上記出典:国連食糧農業機関(FAO)State of the World's Forests 2005
(3)森林は地球環境の保全と経済社会の発展に重要な役割を担っているが、森林の減少・劣化の進行は止まっていない。森林問題は各国、関係国際機関、NGO等が、持続可能な森林経営の推進に向けて、協力して解決していくべき地球的規模問題の1つである。
| 年月 | 経緯 |
|---|---|
| 1992年6月 | UNCED(「地球サミット」)の『アジェンダ21』に「森林減少対策」(第11章)が含まれ「森林原則声明」も採択された。 |
| 1995年4月 | 国連持続可能な開発委員会(CSD)第3回会合においてアドホックで自由参加(open-ended)のIPFをCSDの下に設置することを決定。IPFは1997年第5回CSD会合へ最終報告を提出することとされた。 <IPFの設立目的>
|
| 1995年6月 | 第50回経済社会理事会組織会期において同パネルの設置に関する決議案を採択 |
| 1995年9月 | 〜1997年2月までに4回の会合を開催 |
| 1997年4月 | 第5回CSDへ、国家レベル、国際レベルで取り組むべき多数の行動提案("proposals for action")を盛り込んだ最終報告書を提出 |
(イ)各国及び国際的なレベルでの森林に関するUNCED合意の実施状況
1)国家森林計画及び土地利用計画等を通じたUNCED合意の実行方策
2)森林減少・劣化の原因究明
3)森林に関連した伝統的知識の保護・利用の促進方策
4)砂漠化の影響を受けた脆弱な地域及び大気汚染の影響を受けた地域における(再)造林と森林回復のための支援方策
5)森林低被覆率国における森林保全対策等
(ロ)資金協力及び技術移転における国際協力
(ハ)科学研究、森林評価及び持続可能な森林経営の基準・指標
1)全ての種類の森林の多様な利益の評価
2)森林の多様な利益の適切な評価方法についての検討
3)基準・指標の適用、統一化等の促進方策
(ニ)森林の生産物及びサービスに関連した貿易と環境
(ホ)国際機関及び適切な法的メカニズムを含む多国間の措置等
1)国際機関等の取組み状況等の把握
2)法的措置を含む新たな国際約束の検討
IPF第4回(最終)会合(1997年2月、ニューヨーク):
国レベル、国際レベル等で取り進めるべき行動提案("proposals for action") 等を含む最終報告書を採択(最終報告書は第5回CSDへ提出)。なお、ポストIPFを如何なる形でフォローアップすべきかの点については、森林に関する法的文書(legally binding instrument)(森林条約を含む)の取り扱いに関する各国の考えの相違も絡み、第5回CSD会合での議論に持ち越された。
日本は、IPFの事務局運営を支援するため、国際熱帯木材機関(ITTO)を通じてIPF事務局長及びスタッフ1名のセカンドメント経費を支出した他、IPF事務局(ニューヨーク)に対し10万ドルを拠出した。
| 年月 | 経緯 |
|---|---|
| 1997年6月 | 第19回国連環境開発特別総会(UNGASS)において、IPFの後を受け、アドホックで自由参加(open-ended)のIFFを期限付きでCSDの下に設置することを決定。 IFFは1999年第7回CSD及び2000年第8回CSD会合へ報告を提出することとされた。 <IFFの設立目的>
|
| 1997年7月 | 経済社会理事会において上記内容からなる決議を採択 |
第1回会合:1997年10月1日〜3日 ニューヨーク
第2回会合:1998年8月24日〜9月4日 ジュネーブ
第3回会合:1999年5月3日〜14日 ジュネーブ
第4回会合:2000年1月31日〜2月11日 ニューヨーク
カテゴリーI:森林に関する政府間パネル(IPF)行動提案の実施促進等
(a)IPF行動提案の実施促進方策
(b)持続可能な森林経営の進捗状況のモニター
カテゴリーII:IPFからの未解決事項などの検討
(a)新たな国際基金の創設・その他の資金調達方法
(b)貿易と持続可能な森林経営の調和方策
(c)持続可能な森林経営のための環境保全上適正な技術移転の方策
(d)その他のIPF検討項目で更なる検討が必要な事項の検討
(e)国際機関、森林関連条約("instrument")の役割・活動等の分析
カテゴリーIII:国際的な取決め及びメカニズムの検討
IFF第4回会合(2000年1〜2月、ニューヨーク):→「国連森林フォーラム」の設立
IFFプロセスの最終会合として、最大の懸案事項であった「国際的な取決め及びメカニズム」の議論の動向に各国の高い関心が集まっていたが、条約作成推進派(加等)と反対派(米、伯等)の意見の差異は解消されず、結果として今後の条約作成の検討の可能性をも残した形で、「国連森林フォーラム(United Nations Forum on Forests;UNFF)を設立し、今後も持続可能な森林経営の実施の促進や政策対話等を継続することで各国は一致した。結果として、1997年10月から4回にわたって行われたIFF会合の最終報告書が採択され、同報告書は、2000年4〜5月のCSD8に提出された。なお、条約については、各国や国際機関等による持続可能な森林経営に向けた取組のモニタリングや評価をふまえ、5年以内に法的枠組を策定するマンデートの要素(parameters)について検討することになっている。資金問題、技術移転等については今後UNFFの枠組で議論が続けられるものと見込まれる。
日本は、IFF事務局運営を支援するため、国際熱帯木材機関(ITTO)を通じてIFF事務局スタッフ1名のセカンドメント経費を支出した。また、IFF事務局(ニューヨーク)に対し、5万ドルを拠出した。
| 年月 | 経緯 |
|---|---|
| 2000年10月 | 経済社会理事会再開会合でUNFFの設立決議を採択 |
| 2001年2月 | 組織会合及び非公式協議(事務局のNY国連本部内の設置を決定) |
| 2001年6月11日〜22日 | UNFF第1回会合(於:NY) |
| 2002年3月4日〜15日 | UNFF第2回会合(於:NY)(閣僚級) |
| 2003年5月26日〜6月6日 | UNFF第3回会合(於:ジュネーブ) |
| 2004年5月3日〜14日 | UNFF第4回会合(於:ジュネーブ) |
| 2005年5月16日〜27日 | UNFF第5回会合(於:NY)(閣僚級) |
| 2006年2月13日〜24日 | UNFF第6回会合(於:NY) |
| 2007年4月16日〜27日 | UNFF第7回会合(於:NY) |
| 2009年4月20日〜5月2日 | UNFF第8回会合(於:NY) |
| 2009年10月30日 | UNFF第9回会合特別会(於:NY) |
| 2011年1月24日〜2月4日 | UNFF第9回会合(於:NY)(閣僚級) |
UNFF活動を支援しIPF/IFF行動提案を実施するための森林に関する国際機関のパートナーシップ。世銀、FAO、ITTO、UNEP、UNDP、CBD等14の国際機関・条約事務局等からなる。
<多年度作業計画の主要点>
(イ)共通事項として「資金」「技術移転」「人材育成」「貿易」等を毎回議論。
(ロ)各会合の重点分野
UNFF2:森林の減少・劣化への対策森林保全・保護等
UNFF3:森林の経済的側面、森林の健全性と生産性等
UNFF4:森林の社会・文化的側面、持続可能な森林経営の基準・指標等
UNFF5:活動状況のレビュー、法的文書策定の要否の検討等
(イ)森林の多様な価値を重視し、貧困、土壌劣化及び飲料水等の対策として持続可能な森林経営を進める。
(ロ)森林法規の実行と生物資源を含む林産物の違法な国際貿易に対する取組を直ちに実施するとともに、国際社会は関連の制度・人材の能力育成のための支援を行うことを慫慂する。
(ハ)持続的な伐採の達成のための取組及び非持続的な伐採に対処するための取組を直ちに実施することを慫慂する。
(ニ)持続可能な森林経営のための財源増、森林法施行等のためのパートナーシップと国際協力を創設・強化する。
(イ)NLBIの概要
UNFF6で合意された森林に関する4つの世界的目標を掲げた上で、持続可能な森林経営の促進のために、1)各国が講じるべき25項目の国内政策及び措置(国家森林プログラムの整備・実施、持続可能な森林経営を促進する政策の策定・実施等)、並びに、2)19項目の国際協力及び実施手段(持続可能な森林経営のための実施手段強化に向けたハイレベルの政治的コミットメント確保に向けた努力、国内法に基づき森林に関する違法行為に対処するための能力強化、違法な林産品等の違法貿易への対処に向けた国際協力等)につき記述。
(ロ)MYPOWの概要
1)2015年までのUNFFセッションは2年に1度開催。
2)2015年までの各UNFFセッションの具体的な議題を以下のとおり設定。
| UNFF8(2009年) | 「環境変化における森林」及び 「持続可能な森林経営のための実施手段」 |
| UNFF9(2011年) | 「人々、生計及び貧困削減のための森林」 |
| UNFF10(2013年) | 「森林と経済開発」 |
| UNFF11(2015年) | 「森林:国際的な森林枠組に関する進捗、課題及び進むべき道」 |
3)各セッションにおける分野横断的な課題として、実施手段、森林法の施行及びガバナンスを設定。また、各セッションにおいて一つの緊急の課題についても議論。
4)地域プロセス等による取組を慫慂し、事務局に対してそのインプットがなされる。
5)UNFF9及びNFF11において、ハイレベル・セグメントを開催。
(イ)資金動員のための戦略を検討するアドホック専門家会合の設置,(ロ)持続可能な森林経営及びNLBIの実施並びにGOFsの達成を推進するための「促進プロセス」の開始等を内容とする持続可能な森林経営のための実施手段に関する決議を採択。
閣僚会合(2011年2月2〜3日)の結果,2012年の国連持続可能な開発会議(リオ+20)に向けたインプットとして,(イ)持続可能な森林経営に必要な条件作りを通じた人々の生計改善,(ロ)クロス・セクター及びマルチ・セクターの政策・メカニズム等の策定・実施,(ハ)NLBI及びGOFsの達成努力の加速,(ニ)リオ3条約事務局等関係機関の間の一貫性・シナジーの促進等へのコミットメントを含む「閣僚宣言」を採択。
「人々,生計及び貧困削減のための森林」の議題の下,森林法の執行・ガバナンスの強化,途上国の能力構築の促進,参加型メカニズムの強化,地域・コミュニティ企業の促進,NLBIの国家開発戦略への統合等を主な内容とする決議を採択。