平成19年10月
小型武器は、紛争を長期化、激化するだけではなく、紛争終了後、人道援助や復興開発活動を阻害し、紛争の再発等を助長する原因となっている。
特に、反政府ゲリラ等はあらゆるタイプの小型武器を使用していると言われており、不十分な治安に対する防御のために、一般市民が武器を求めるといった悪循環(市民の武装化)にも陥っている。
このような背景から、非合法に流通し、過剰に蓄積された小型武器をどのように回収、破棄していくか、また、小型武器が非合法に流通しないように、いかに規制していくかが、国際社会において緊急の課題となっている。
【参考1】小型武器データ
“小型武器の使用の結果、少なくとも毎年50万人が死亡”〜2002年小型武器事務総長報告〜
“小型武器は事実上の大量破壊兵器”〜国連事務総長ミレニアム・レポート〜
“世界には6億丁以上の小型武器が存在し、その6割が文民による合法保有”〜2002年小型武器事務総長報告〜
【参考2】「小型武器」の定義(国連小型武器政府専門家パネルでの報告書)
致命的な戦争手段として使用するため軍隊仕様で製造された武器で、(1)一人で携帯・使用が可能な「小火器(Small Arms)」、(2)数名で運搬・使用が可能な「軽兵器(Light Weapons)」、(3)弾薬及び爆発物の3種類があるとされている。
1995年1月にガーリ国連事務総長(当時)が「平和への課題・追補」で小型武器規制を提唱したのを受け、同年6月に他国に先駆けて小型武器問題への取り組みを提唱して以来、我が国は、国連を中心とする枠組みを通じて主導的な役割を果たしてきた。具体的には、国連総会に小型武器決議案を提出し、国際世論の関心を高めるとともに、小型武器問題の解決に向けた道筋を提示してきた。
【参考1】国際的取組への我が国の貢献
1995年 国連総会で小型武器政府専門家パネルの設置を求める決議案を提案
1995年以来ほぼ毎年決議案を提出。2005年もコロンビア、南アとともに提出し、コンセンサスで採択。
1997年 国連小型武器政府専門家パネル
我が国の堂之脇外務省参与(元軍縮代表部大使)が議長を務め、小型武器の定義や24の包括的な勧告を含む報告書をまとめた。
1999年 国連小型武器政府専門家グループ
我が国の堂之脇参与(当時)が議長を務め、国際社会が更にとるべき措置と2001年迄に開催される小型武器に関する国際会議に関する勧告を含む報告書をまとめた。
2000年7月 宮崎イニシアティブの発表
九州・沖縄サミットG8宮崎外相会合に際し、小型武器問題解決のための措置として国連内に小型武器基金(200万ドル規模)を設置することを発表。
2001年7月 国連小型武器会議
小型武器非合法取引の防止、除去、撲滅に向けた「行動計画」が採択された。同会議においては、我が国の堂之脇参与(当時)が副議長として、閣僚レベルの一般討論演説の議事進行を務めた。
2003年7月 第一回国連小型武器中間会合
猪口邦子軍縮代表部大使(当時)が議長を務め、我が国は、会合およびその準備過程において、加盟国、国連、NGOなどに広汎に働きかけ、会合を成功に導いた。
2006年6-7月 国連小型武器行動計画履行検討会議
「行動計画」のフォローアップ事項の一つで、行動計画の履行状況を検討するもの。同会議では成果文書に合意することができなかったが、一般討論演説や事項別討論等を通じて行動計画を引き続き履行していく各国の決意が改めて確認された。
我が国は伊藤大臣政務官(当時)のステートメントにて、現場プロジェクトの実施における優先的課題(小型武器管理のための制度・能力構築支援、紛争の影響を受けた個人及び地域コミュニティへの配慮、効果的な支援の探求)と併せ、2007年に東京ワークショップを開催することを発表した。また、小型武器プロジェクトについて、我が国より(イ)小型武器管理強化のための制度・能力構築支援、(ロ)人間の安全保障の観点から、小型武器回収と紛争の影響を受けた個人及びコミュニティへの支援、(ハ)効果的な支援実施のための方策の探求、を優先課題とする新小型武器政策を発表。
2007年3月 小型武器東京ワークショップの開催
我が国の主催で開催され、18カ国より計26名の政府関係者に加え、国会議員、国際機関関係者、国内外NGO関係者、有識者計29名が参加して活発な議論が行われた。同ワークショップでは、国際社会が引き続き国連小型武器行動計画に基づき取組を進めていく必要性などが確認された。
【参考2】小型武器行動計画の概要
行動計画は、前文、非合法取引規制に関する具体的措置(国家レベル、地域レベル、グローバル・レベル)、履行・国際協力と支援、フォローアップから構成されている。
現場における実際の被害を削減するため、我が国は、アジア、アフリカ等において武器回収と開発を組み合わせた回収・廃棄プロジェクトを実施している。この他にも、広く小型武器対策に資する取組として、小型武器関連法制度の整備支援や法執行機関への能力構築支援、元兵士や元児童兵の武装解除・社会復帰事業、小型武器対策の国際・地域協力促進を図るセミナーの開催等を行っている。このような取組の実績は2001年から2005年までで総計約305億円(269百万ドル)。
【参考】最近の代表的プロジェクト例
(武器回収・廃棄)
(地域セミナー)いずれも国連等と共催
(1)行動計画のフォローアップ事項
(イ)トレーシング国際文書の採択
トレーシングに関する国際協力の枠組みを構築するための交渉が2005年6月妥結し、「小型武器の特定と追跡に関する国際文書」が第60回国連総会で採択された。
(※)トレーシングとは、非合法に流通している武器が回収・押収された場合、それらの武器が如何なるルートにて、武器製造国或いは輸出国から流出したかを追跡する(trace)こと。
(ロ)ブローカリングへの取組
ブローカリング(非合法なブローカー(仲介)取引の規制)に関する政府専門家会合は2006年11月より開始し、2007年6月の最終会合で、非合法なブローカー取引の規制に関する勧告をとりまとめた報告書が作成された。
(ハ)履行検討会議の開催
2006年6-7月にNYで開催された(上記2.参照)。
(2)今後の日程:2008年に国連にて開催が予定されている。
小型武器隔年会合の開催
2006年に我が国が南ア、コロンビアと共に提出した小型武器決議案で開催が決定したもの。同機会には、トレーシング国際文書の履行状況についても会合が行われる予定。