通常兵器の軍縮及び過剰な蓄積禁止に関する我が国の取組
小型武器問題
1 小型武器とは
小型武器は、紛争を長期化、激化させるだけではなく、紛争終了後も人道援助や復興開発活動を阻害し、紛争の再発等を助長する原因となっている。
このような背景から、非合法に流通し、過剰に蓄積された小型武器をどのように回収、破棄していくか、また、小型武器が非合法に流通しないように、いかに管理、規制していくかが、国際社会が一丸となって取り組むべき課題となっている。
【参考】「小型武器」の定義
1997年に開催された国連小型武器政府専門家パネルの報告書においては、「小型武器」とは、致命的な戦争手段として使用するため軍隊仕様で製造された武器であり、(1)一人で携帯・使用が可能な「小型武器(Small Arms)」、(2)数名で運搬・使用が可能な「軽兵器(Light Weapons)」、(3)弾薬及び爆発物の3種類があるとされた。
2005年に国連小型武器行動計画(PoA)の関連文書として採択された国際トレーシング文書(ITI)においては、「爆発物の作用により、弾丸、銃弾又は発射体を排出若しくは発射するように設計されている、又は容易に排出若しくは発射するように改造できる、携帯可能な致死性兵器」として定義されている。
2 我が国の国連での主導的役割
1995年1月にガーリ国連事務総長(当時)が「平和への課題・追補」で小型武器問題を提起したことを受け、我が国は、同年6月に他国に先駆けて同問題への取組を提唱して以来、国連を中心とする枠組みを通じて主導的な役割を果たしてきた。具体的には、国連総会に小型武器決議案を提出し、国際世論の関心を高めるとともに、小型武器問題の解決に向けた道筋を提示してきた。
【参考1】国際的取組への我が国の主な貢献
| 1995年 | 国連総会で小型武器政府専門家パネルの設置を求める決議案を提案 |
| 1995年以来ほぼ毎年小型武器に関する決議案を提出。2001年以降はコロンビア、南アフリカと共同で提出してきている。 | |
| 1997年 | 国連小型武器政府専門家パネル |
| 我が国の堂之脇外務省参与(元軍縮代表部大使)が議長を務め、小型武器の定義や24の包括的な勧告を含む報告書をまとめた。 | |
| 1999年 | 国連小型武器政府専門家グループ |
| 我が国の堂之脇参与(当時)が議長を務め、国際社会が更にとるべき措置と2001年までに開催される小型武器会議に関する勧告を含む報告書をまとめた。 | |
| 2000年7月 | 宮崎イニシアティブの発表 |
| 九州・沖縄サミットG8宮崎外相会合に際し、小型武器問題解決のための措置として国連内に小型武器基金(200万ドル規模)を設置することを発表。 | |
| 2001年7月 | 国連小型武器会議 |
| 小型武器非合法取引の防止、除去、撲滅に向けた「行動計画」が採択された。同会議においては、我が国の堂之脇参与(当時)が副議長として、閣僚レベルの一般討論演説の議事進行を務めた。 | |
| 2003年7月 | 第一回国連小型武器中間会合 |
| 猪口邦子軍縮代表部大使(当時)が議長を務め、我が国は、会合およびその準備過程において、加盟国、国連、NGOなどに広汎に働きかけ、会合を成功に導いた。 | |
| 2007年3月 | 小型武器東京ワークショップの開催 |
| 我が国の主催で開催され、18か国からの政府関係者に加え、国会議員、国際機関関係者、国内外NGO関係者、有識者が参加して活発な議論が行われた。 | |
| 2019年3月 | 「人命を救う軍縮」基金への拠出 |
| グテーレス国連事務総長が軍縮アジェンダ(2018年)において立ち上げを表明した小型武器対策のための基金に対し、我が国から2.2億円(200万米ドル)を拠出。 |
【参考2】国連小型武器行動計画の概要
行動計画は、前文、非合法取引規制に関する具体的措置(国家レベル、地域レベル、グローバル・レベル)、履行・国際協力と支援、フォローアップから構成されている。その後に作成された国際トレーシング(追跡)文書(2005年)や非合法小型武器ブローカリング(仲介)政府専門家会合報告書(2007年)と共に、国連加盟国が小型武器問題に取り組む上での重要な行動指針となっている。
- (1)非合法取引規制に関する具体的措置
- 小型武器非合法取引を規制するための法制度整備
- 小型武器非合法取引に対するトレーシングのための措置(刻印、製造・移譲等に関する記録保持)
- 実効的な輸出入許認可制度の確立・維持
- 小型武器の非合法ブローカー取引の規制
- 武器禁輸措置の効果的実施の確保
- 小型武器の回収・破壊等を含むDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)の実施
- 武力紛争で被害を受けた児童の特別なニーズへの取組
- 各国の法執行機関・国境管理機関・税関による情報共有
- 各国による行動計画実施に関するデータの収集
- 市民社会との協力
- 教育・啓蒙
- (2)履行・国際協力と支援
- 国家、国際機関、市民社会等の協力
- 行動計画の実施のため支援
- 被害国における法制度整備、法執行等の分野における能力構築への支援
- 税関・警察・軍備管理担当機関の間の協力、経験の共有
- DDRへの支援
- (3)フォローアップ措置
- 行動計画の実施状況を検討する会議の開催
- トレーシング(追跡)に関する国際文書策定の可能性調査
- ブローカー取引規制に関する国際協力強化のための措置
【参考3】国連小型武器行動計画のフォローアップ
- (1)国際トレーシング文書の採択
トレーシングに関する国際協力の枠組みを構築するための交渉が2005年6月に妥結し、「小型武器の特定と追跡に関する国際文書」 が第60回国連総会で採択された。 - (注)トレーシングとは、非合法に流通している武器が回収・押収された場合、それらの武器がいかなるルートで、武器製造国あるいは輸出国から流出したかを追跡する(trace)こと。
- (2)ブ口一力リングへの取組
ブ口一力リング(非合法なブローカー(仲介)取引の規制)に関する政府専門家会合が2006年11月に開始され、2007年6月の最終会合で、非合法なブローカー取引の規制に関する勧告をとりまとめた報告書が作成された。
3 我が国による小型武器対策支援
我が国は、アジア、アフリカ等において、非合法小型武器による被害に対処し、小型武器管理能力を強化するための二国間ベース及び国際機関経由の支援を実施してきている。
2019年には、グテーレス国連事務総長が軍縮アジェンダ(2018年)において立ち上げを表明した「人命を救う軍縮」基金に対し、2.2億円(200万米ドル)の拠出を行った。同基金は、平和構築や開発支援の中で小型武器対策を行うことで、紛争予防及び平和の持続に向けて、より効果的な取組を行うとの考えの下、国連内に新たに設けられたもの。
