オーストリア共和国
薗浦外務大臣政務官のオーストリア訪問(結果)
1.第2回国連内陸開発途上国(LLDC)会議出席

11月3日から5日にかけて,ウィーンにて第2回国連内陸開発途上国(LLDC)会議が開催され,我が国からの代表として薗浦政務官が出席しました。
会議冒頭,潘基文国連事務総長から,LLDCの抱える課題の解決に向けて,経済面での一層の地域統合及び国家間のパートナーシップの重要性が強調されました。これに続いて,フィッシャー・オーストリア共和国大統領(議長国),クテサ国連総会議長等が基調講演を行った後に,各国によるステートメントが行われました。
我が国のステートメントでは,薗浦大臣政務官から,アフリカにおける貿易円滑化やメコン地域におけるインフラ整備,中央アジアにおける人材育成等,我が国によるLLDCの支援に向けた取組を紹介するとともに,今後も,LLDCのパートナーとして,LLDCの総合的な物流環境の整備に取り組んでいく決意を表明しました。
(注)会議では,英語にてステートメントを実施。
会議の最終日には,LLDCの課題解決に向けた10年間の取組目標「ウィーン行動計画(Vienna Programme of Action for Landlocked Developing Countries for the Decade 2014-2024)」及び「ウィーン宣言(Vienna Declaration)」が採択され,閉幕しました。
(参考)
内陸開発途上国(Landlocked Developing Countries:LLDC)
国土が海から隔絶され,地勢的に開発に不利な途上国をいう。32か国あり,その大半がアフリカ(16か国)とアジア(10か国)に位置する。
第2回国連内陸開発途上国(LLDC)会議
内陸開発途上国が抱える貿易やインフラ開発を始めとする課題を話し合う会議。第1回会議は,2003年にアルマティ(カザフスタン)で開催され,成果文書「アルマティ行動計画」を採択。第2回会議は,アルマティ行動計画の10年間の進展を話し合うとともに,次の10年間に向けたLLDCの新たな行動計画の策定を目指して開催されたもの。
2.フレデリック・シャバ・ジンバブエ国連代表部常駐代表との会談

4日午後,薗浦政務官は,フレデリック・シャバ・ジンバブエ国連代表部常駐代表との会談を行いました。
薗浦政務官は,次回TICADの開催に向けた協力を要請するとともに,国連安保理改革をはじめとする国際場裡での連携強化を働きかけました。また,日本企業の現地進出にとり,ジンバブエの投資環境整備・改善が重要である旨伝えました。
シャバ大使から,TICADのアフリカ開催に向けた日本の前向きな検討に対する謝意が述べられ,国連安保理改革の必要性に関して,双方で認識を共有しました。また,先方より,今後の二国間の更なる関係強化に向け,両国による更なる話し合いを進めていきたいとの意向が示されました。
3.ベイブット・アタムクロフ・カザフスタン投資発展省官房長との会談

4日午後,薗浦政務官は,ベイブット・アタムクロフ・カザフスタン投資発展省官房長との会談を行いました。
薗浦政務官は,両国関係は極めて良好であり,経済面での関係強化とともに,今後もインフラ整備や技術供与に関する協力を続けていきたい旨述べました。また,我が国にとって天然資源の輸入先多角化の重要性を指摘しつつ,資源の豊富なカザフスタンをはじめとする中央アジアとの関係を一層強化していきたい旨伝えました。
アタムクロフ官房長は,日本との経済関係の重要性とともに,10月23日に日・カザフスタン投資協定が署名されたことを踏まえ,更なるビジネス関係強化のために尽力していきたい旨述べました。
また,薗浦政務官から,カザフスタンの経済発展のためには,アジア開発銀行(ADB)をはじめとする国際金融機関との連携強化が重要である旨述べたところ,先方は,カザフスタンはADB等既存の国際金融機関と密接な関係を構築しており,今後もこの関係を維持していきたい旨述べました。
4.カルィクベク・スルタノフ・キルギス運輸・通信大臣との会談

4日午後,薗浦政務官は,カルィクベク・スルタノフ・キルギス運輸・通信大臣との会談を行いました。
薗浦政務官は, 本年7月の岸田外務大臣のキルギス訪問に際して行われた国際幹線道路の改修に関するプレッジのほか,道路維持管理機材及び人材育成に関する無償資金協力の交換文書への署名に触れつつ,今後も民主化を進めるキルギスの国造りに役立つ支援を行っていきたいと述べました。
これに対し,スルタノフ運輸・通信大臣から,JICAを通じて日本から受けた多くの支援に対する謝意が述べられるとともに,今後も両国の友好な関係を維持していきたい旨述べられました。
5.マフマダミン・マフマダミノフ・タジキスタン国連常駐代表との会談

4日午後,薗浦政務官は,マフマダミン・マフマダミノフ・タジキスタン国連常駐代表(元労働社会保護大臣)との会談を行いました。
薗浦政務官は,日本がこれまで経済インフラ整備などの分野で積極的に支援を行ってきた点に触れ,タジキスタンの安定は地域の安定にとって極めて重要である旨を伝えました。また,隣国アフガニスタン情勢について意見交換が行われ,日本は今後とも中央アジアの安定に貢献していきたい旨述べました。
マフマダミノフ大使から,これまでの日本から受けた幅広い支援に対する謝意が述べられるとともに,今後も国連における協力をはじめ,様々な分野において両国の友好な関係を維持していきたい旨述べられました。
6.トーマス・グレミンガーOSCEスイス常駐代表との会談

5日午前,薗浦政務官は,トーマス・グレミンガーODCEスイス常駐代表(注:スイスは本年のOSCE議長国)との会談を行いました。
薗浦政務官からは,OSCE議長国であるスイスの努力を称え,日本としてもOSCEとの関係を強化していきたい旨伝えました。また,ウクライナでOSCEが果たす役割と努力に敬意を表するとともに,ウクライナ危機について,(1)「法の支配」や「領土の一体性」といった原則が尊重されるべきとの観点,及び(2)安全保障面において,欧州だけではなくアジアにも影響を及ぼし得るとの観点から,OSCEをはじめ国際社会と協力して対処していきたい旨述べました。
グレミンガー常駐代表からは,本年6月の日OSCE共催会議の開催及び日本のOSCEに対するこれまでの貢献に対して謝意を表明し,日本との関係を一層強化していきたい旨述べられました。また,日本に対して,OSCEの取組に対する力強い政治的メッセージの発出とOSCEの危機管理分野での活動に対する更なる支援を要請しました。 特に,ウクライナ情勢については,紛争の長期化への懸念を表明したうえで,OSCE特別監視団の現在の活動を説明しつつ,日本の継続的な支援を要請しました。
7.ミヒャエル・リンハルト・オーストリア外務事務次官との会談


5日午前,薗浦政務官は,ミヒャエル・リンハルト・オーストリア外務事務次官との会談を行いました。
薗浦政務官は,先月27日から28日にかけて将来の課題のための日・オーストリア委員会がオーストリアで開催され,実り多き議論が行われたことに対し謝意を伝えました。
リンハルト外務事務次官から,日・オーストリア委員会を重視しており,今後も定期的に開催を継続していきたい旨述べるとともに,社会保障協定の早期締結と二重課税防止のための租税条約改定交渉の早期妥結について要請がありました。また,12月にオーストリアで開催される第3回核兵器の人道的影響に関する会議に対して,日本が各国中最大の代表団を派遣する予定であることにつき謝意が述べられました。さらに,オーストリア側が要請している武器輸出条約(ATT)事務局のウィーンへの誘致活動等について意見交換が行われました。
8.天野之弥国際原子力機関(IAEA)事務局長との会談


5日午前,薗浦政務官は,天野之弥国際原子力機関(IAEA)事務局長との会談を行いました。
薗浦政務官は,福島事故への対応に関し,IAEAからの海洋モニタリングの専門家の派遣など,我が国とIAEAとの具体的協力が進展していることについて謝意を表明し,天野事務局長が重視する途上国における原子力の平和的利用の促進への支持を表明しました。また,イランの核問題の現状について意見交換を行うとともに,目下の国際社会の最大の課題であるエボラ出血熱対策について,IAEAの取組を評価し,今後の連携強化の必要性を確認しました。
天野事務局長からは,日本が核物質防護条約改正の締結を歓迎し,原子力安全に関する福島閣僚会議等の関連会議の開催,IAEAの各種ミッション派遣などの取組を説明するとともに,今後の更なる協力の重要性が強調されました。
9.ラインホルト・ロパトカ・オーストリア国民党会派院内総務との会談


5日午前,薗浦政務官は,ラインホルト・ロパトカ・オーストリア国民党会派院内総務との会談を行いました。
薗浦政務官は,日本とオーストリアの友好な関係に触れつつ,東日本大震災に伴う日本産農産物のEUへの輸入規制について,規制の撤廃及び緩和に向けた協力を要請しました。
ロパトカ国民党会派院内総務からは,日・オーストリア関係は,経済,文化,スポーツなど幅広い分野で緊密な関係が構築されている旨述べつつ,オーストリアは輸出指向国であり,EUのみならず,域外の日本は重要な友人である旨発言がありました。また,オーストリアは原発に対して非常に慎重な立場をとっており,食品の安全性に対する国民の見方は厳しいものの,日本の要請は関係閣僚にしっかり伝達したい旨回答がありました。
その他,両者はISILを始めとする国際情勢についての意見交換を行いました。