経済外交

日・IRENA(国際再生可能エネルギー機関)共催「アフリカ及び太平洋島嶼国における再生可能エネルギー導入支援研修」及びセミナー:「世界の再生可能エネルギー事業の展望と課題~アジアとアフリカから」(概要と評価)

平成26年2月18日

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1 概要

  • (1)2月3-6日、東京にて、日(外務省・環境省)・IRENA(国際再生可能エネルギー機関)共催にて、アフリカや太平洋島嶼国での再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)の普及促進および人材育成等に資することを目的として、13名(アフリカ7名、太平洋島嶼国6名)を対象として「アフリカ及び太平洋島嶼国における再生可能エネルギー導入支援研修」を実施した。また、2月7日、東京にて、日・IRENA共催セミナー「世界の再生可能エネルギー事業の展望と課題~アジアとアフリカから」を開催した。冒頭、木原誠二外務大臣政務官が基調講演を行い、上記13名の研修生、国内の企業関係者等約100名が参加した。
  • (2)両事業は、世界で唯一、再生可能エネルギーに特化しているIRENAに対する我が国としての貢献であると共に、アフリカの低炭素成長が重要な取り組みの一つとして議論されたTICAD V(第5回アフリカ開発会議)や、PALM6(第6回太平洋・島サミット)の機会に沖縄で開催した日IRENA共催のワークショップのフォローアップとして実施したものでもある。

2 アフリカ及び太平洋島嶼国における再生可能エネルギー導入支援研修

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(1)研修対象国

 再生可能エネルギーの潜在可能性を調査するためにIRENAが実施したRRA(Renewable Readiness Assessment)調査実施済国(予定国を含む)である、アフリカ及び太平洋島嶼国のエネルギー関連政府関係者等が参加した。

アフリカ:
ガンビア共和国(2名)、ガーナ共和国(1名)、スワジランド共和国(1名)、セネガル共和国(1名)、ニジェール共和国(1名)、モザンビーク共和国(1名)
太平洋島嶼国:
キリバス共和国(2名)、サモア独立国(1名)、マーシャル諸島共和国(1名)、バヌアツ共和国(1名)、フィジー共和国(1名)

(2)講師

 トビー・クチュール E3アナリティクス再生可能エネルギー部門長、アンスガー・キエン ワールド・フューチャー・カウンシル・アフリカリエゾンオフィス課長、ロヒット・カンサル インド新・再生可能エネルギー省、ドロナ・ウパッドヘイ ITパワー・コンサルタント、鈴木 薫JICA(国際協力機構)産業開発・公共政策部参事役、松尾 直樹 クライメート・エキスパーツ代表取締役、長田 稔秋 経済産省資源エネルギー庁省エネルギー新エネルギー部政策課国際室課長補佐、その他

(3)主な研修・講義内容

  • 再生可能エネルギー導入目標設定の役割や設定手法
  • マクロエネルギー政策や再生可能エネルギー分野における日本の協力、太陽光発電技術
  • 再生可能エネルギーの政策メカニズム、電力系統、投資家の観点
  • アフリカにおける固定価格買取制度(FIT)
  • 日本におけるFIT
  • インドにおける電力入札制度や導入支援策
  • 再生可能エネルギー技術および経済性評価
  • 資金調達のためのプロジェクトプロポーザルの作成方法
  • アフリカにおけるプロジェクト資金調達の機会
  • 太平洋島嶼国におけるプロジェクト資金調達の機会
  • 施設見学(パナソニックセンター東京を訪問、スマートグリッドや太陽光ランタンの技術等についての説明を受ける)

(4)評価

 アフリカや太平洋島嶼国は化石燃料への依存が高い、電力系統が安定しない等の課題があることから、特にIRENAは同地域における再エネ普及促進に力を入れており、日本政府としてもIRENAとの共催により実施した今般の研修を通して、同地域における再エネの今後の普及に向けて、貢献することができたものと思料される。

 研修参加者からは、再生可能エネルギー普及のためにはどのような政策が有効か、資金調達のためにどのようなスキルが必要かなど、国内外の専門家より学ぶことができたとし、日本とIRENAが共催して行った本研修を評価する声が寄せられた。

3 セミナー「世界の再生可能エネルギー事業の展望と課題~アジアとアフリカから」

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(1)プログラムの概要

プログラムの冒頭、木原誠二外務大臣政務官が行った基調講演では、再生可能エネルギーの重要性が高まる中、OECD・開発援助委員会諸国中トップとなるエネルギー分野での日本のODA支援、IRENAとも行っている様々な協力などの実績について紹介。また、世界の再生可能エネルギー普及のため、民間部門の役割の重要性を強調しつつ、再生可能エネルギー普及への課題やファイナンス・技術面も含めた民間セクターの役割等について、有意義な議論が行われるよう期待を表明。(スピーチ原稿(PDF)PDF
セッション1
 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の小山雅臣上級プログラム・オフィサーから、「世界における再生可能エネルギーの現状と未来:再生可能エネルギー・シェアの倍増なるか」をテーマに講演が行われた。IRENAによる再生可能エネルギーの世界的な市場分析を通じて、特に太陽光パネルなど再生可能エネルギー導入にかかるコストは低減傾向にあることなどが、多くのデータに基づいて説明された。(プレゼン資料(PDF)PDF
セッション2
 アフリカ開発銀行(AFDB)のウゾアマカ・ヌワマラ上級気候変動スペシャリストから、「アフリカにおける再生可能エネルギー普及に向けた課題、民間セクターの役割」をテーマに講演が行われた。アフリカにおける再生可能エネルギー普及についての大きなポテンシャル、また行政手続きや規制などの課題やリスク等を特定し、それに対する様々な対応策を示すとともに、投資環境の改善に向けた昨今の変化や、AFDBによるプロジェクト・ファイナンスの例などを紹介。(プレゼン資料(PDF)PDF
セッション3
 アジア開発銀行(ADB)のアンソニー・マックスウェル上級エネルギー・スペシャリストから、「アジアにおける再生可能エネルギー普及に向けた課題、民間セクターの役割」をテーマにした講演が行われた。アジア・太平洋島嶼国における再生可能エネルギーの導入が、右肩上がりに成長を続けていることが紹介されるとともに、島嶼国が直面する様々な課題、特に技術を導入した後の運用面の課題が示され、現地の人材のキャパビルの重要性が指摘された。また、再生可能エネルギー導入に欠かせない革新的技術を持つ日本を始めとする様々なアクターと引き続き密に協力していく意向が示された。(プレゼン資料(PDF)PDF
パネルディスカッション
(モデレーター:(一財)日本エネルギー経済研究所・山口馨研究理事)
 パネルの冒頭に、(株)ソニー・コンピューター・サイエンス研究所の北野宏明代表取締役社長及び(株)富士電機発電・社会インフラ事業本部電力流通システム部小島武彦担当主席より、それぞれアフリカや島嶼国など電力系統が整備されていない地域において行ったプロジェクトを紹介しつつ、再生可能エネルギーの導入にあたっての課題や、それを乗り越えるための日本の技術や知見などを具体的に説明。(プレゼン資料 ソニー・コンピューター・サイエンス(PDF)PDF富士電機(PDF)PDF
 これを受けて、ADBのマックスウェル上級エネルギー・スペシャリスト及びAFDBのヌワマラ上級気候変動スペシャリストから、それぞれの地域で課題を克服するためには民間セクターや政府当局者、銀行など様々なアクターの連携が欠かせない点などプロジェクト・ファイナンスの視点に立ったコメントなどが出された。また、フロアからは研修に参加したアフリカの政府関係者から、持続可能なプロジェクトとするためには、負担可能なコスト設定が必要である旨の指摘がなされるなど、活発な議論が行われた。
 以上の議論を受けて、再生可能エネルギー導入にあたっての大きな課題の一つである、経済的自立性や持続可能性について、キャパシティビルディングや地元の産業などと一体となった中長期的システム作りなどが肝要であると総括された。

(2)評価

 本セミナーでは,再生可能エネルギーの普及促進に向けアフリカやアジア大洋州島嶼国地域のポテンシャルや普及に当たっての課題,ファイナンスや技術を含めた民間セクターに対しての期待,様々なアクターとの連携の必要性などについての専門的かつ具体的な議論を通じて,これら地域での再生可能エネルギーの普及に向けた取組にとって,実際的で役に立つ知見が共有された。

 特に、パネルディスカッションにおいては、日本企業が実際にアフリカや島嶼国等で行っているプロジェクトの経験を通じて再生可能エネルギーの導入にあたっての課題や、それを乗り越えるための日本の技術や知見、きめ細かな対応などが具体的に示され、セミナーに参加したアフリカや太平洋島嶼国の政府関係者も活発に質問するなど、日本企業の魅力、また官と民がグローバルに連携していく潜在性について理解を促す有意義な議論となった。

 また、セミナーには多くの日本企業関係者が参加するなど、アフリカや太平洋島嶼国での再生可能エネルギー事業の展開に対する高い関心が示された。



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