ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)

ハーグ条約に係るアジア太平洋シンポジウム

平成28年7月11日

 6月29日(水曜日)及び30日(木曜日),早稲田大学において,外務省,ハーグ国際私法会議(HCCH)事務局及び早稲田大学は,「ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)に係るアジア太平洋シンポジウム」を共催しました。

 同シンポジウムは,(1)ハーグ条約実施に携わる関係者の知見を深め,実施体制の強化を図るとともに,(2)アジア太平洋地域におけるハーグ条約非締約国に締約国の知見を共有し,(3)我が国法曹関係者等がハーグ条約の国際的な議論に参加する機会を設定することを目的として行われました。

 同シンポジウムには,HCCH及びアジア太平洋地域を中心とする21の国と地域から,64名の専門家が参加するとともに,公開セッションには120名を超える聴衆が参加し,活発な議論が行われました。

1 概要

 本シンポジウムは,締約国の中央当局及び司法当局関係者並びに非締約国の関係者に参加を限定した非公開セッションと,一般からの参加も可能な公開セッションの2部構成で実施されました。

(1)非公開セッション

  •  非公開セッションでは,締約国の中央当局及び司法当局関係者並びに非締約国の関係者を4つのグループに分け,経験豊かな外国人及び日本人のモデレーター2名のリードの下,「常居所地/監護権」,「13条b(ハーグ条約に定める返還義務の例外としての重大な危険)」,「(返還)命令の執行方法」及び「タイムフレーム」の4テーマにつき,実践的な議論を行いました。条約の求める迅速な子の常居所地国への返還についての趣旨と各国の様々な制度の在り方を踏まえた充実した議論となりました。
  •  また,昨年9月に我が国が世界に先駆けて導入したオンラインでのモニタリング付面会交流(ウェブ見まもり面会交流)について,参加者自身に実際にロールプレイを実施してもらい,制度の仕組みについての理解を深めてもらいました。

(2)公開セッション

  •  初日(29日)の公開セッションでは,冒頭,能化正樹外務省領事局長,クリストフ・ベルナスコーニHCCH事務局長及び古谷修一早稲田大学教務部長(法学学術院教授)が共催団体を代表して開会の辞を述べました。
  •  続いて,スーザン・ジェイコブス米国務省児童問題担当特別顧問から,基調講演として,国境を越えた子の連れ去りを巡る問題の解決においてハーグ条約が果たしている役割について,米国における実績等を交えつつ話がありました。
  •  二日目(30日)の公開セッションでは,まず,「デモンストレーション:協議のあっせん(ADR)及び裁判所における家事調停」と題し,劇形式で我が国のハーグ条約事案に係る友好的解決プロセスとしての協議のあっせん(ADR)と家事調停について紹介するデモンストレーションが行われました。
  •  続いて,非公開セッションの分科会における議論について,各分科会を担当したモデレーターから,議論の簡単な紹介が行われました。
  •  その後,「ハーグ条約の締約国拡大に向けた課題と今後の展望」と題したパネルディスカッションが行われました。当該パネルディスカッションでは,進行役をアンセルモ・レイエスHCCHアジア太平洋地域事務所代表が務め,クリストフ・ベルナスコーニHCCH事務局長,ザレハ・カマルディン・マレーシア国際イスラム大学学長,アンマリ-・ハチンソン・ドーソン・コーンウェル法律事務所パートナー弁護士及び能化正樹外務省領事局長がパネリストとして,ハーグ条約締結に係る意義や課題,締結後に求められる取組等について議論を行いました。
  •  これらを総括する形で,クリストフ・ベルナスコーニHCCH事務局長から「結論と提言(PDF)別ウィンドウで開く」が発表され,最後に濵地雅一外務大臣政務官が閉会の辞を述べ,シンポジウムを閉幕しました。

2 評価

  • (1)内外から多くの参加者を得た本件シンポジウムは,我が国を始めとする締約国にとって,お互いの知見を共有することができ,条約の一層の効果的実施に向けたよい機会となりました。このような機会をはじめ,各国の対応力を充実させるための取組が様々な形で今後とも望まれるとの声も多くあがりました。また,締約国のみならず,多くの国内法曹関係者にとっても条約の実施について知見を深める機会を提供することができました。
  • (2)また,シンポジウムには締約国のみならず,アジア太平洋地域の非締約国からも多数の関係者が参加しており,締約国と共に議論をすることを通じて,今後,それら非締約国がハーグ条約への加入を進めていくにあたり,各国の様々な制度の在り方を踏まえた上で,取り組むべき課題や展望について具体的なイメージを持つことができたとの評価が得られました。
  • (3)加えて,裁判内調停やウェブみまもり面会交流といった我が国の制度について,参加者に分かりやすい形で紹介し,理解を促すことができました。


Get Adobe Reader(別ウィンドウで開く) Adobe Systemsのウェブサイトより、Acrobatで作成されたPDFファイルを読むためのAdobe Readerを無料でダウンロードすることができます。左記ボタンをクリックして、Adobe Systemsのウェブサイトからご使用のコンピュータに対応したソフトウェアを入手してください。

このページのトップへ戻る
ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)へ戻る