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最近のシンガポール情勢と日・シンガポール関係

2011年10月

1. 内政

(1)基本政体:立憲共和制(1965年8月9日マレーシアより分離・独立)
(2)元首:トニー・タン(2011年9月に第7代大統領に就任。任期6年)
(3)国会:一院制。議席数87。任期5年。
(4)首相:リー・シェンロン

リー・シェンロン首相率いる人民行動党(PAP)政権は引き続き盤石な体制を維持するも、2011年5月の選挙は、87議席中、過去最大の6議席を落とした。この結果を受け、2011年5月18日、内閣改造を実施。

2. 外交

ASEANの原加盟国として、ASEAN重視の外交政策を推進。また、東アジアにおける安全保障面・経済面での米国の関与を重視。中国の成長は自国の経済発展につながるものとして歓迎し、活発な要人往来が行われている一方、台湾とも伝統的に友好関係にある。日本に対しても、地域におけるプレゼンスをより高めることを期待している。

2009年はAPEC議長として、地域経済統合及び経済成長のあり方についての議論をリード。2010年議長の日本と連携・協力を強化した。

3. 国防

(1)国防政策

(イ)シンガポールを取り巻く地政学的条件から、国防は軍事力のみでは全うできないとの判断により、国民を心理・社会・経済・民事・軍事の各分野にわたって組織化するトータル・ディフェンス(総合防衛)政策を推進。ナショナル・サービス(2年間の義務兵役、訓練終了者は即応予備役に登録され、年間最高40日間の招集訓練に13年間参加することが義務付けられている)の充実を図っている。

また、国防政策の優先順位は高く、国防関連予算は、2010年度予算で約110億シンガポール・ドルで予算総額の約32.3%と最大のシェアを占めている。

(ロ)五カ国防衛取極(FPDA:1971年11月に英国、豪州、ニュージーランド、マレーシア及びシンガポールの間で締結)に基づき、これら4カ国と軍事協力関係にある。ASEAN諸国等との間で共同演習等の二国間の軍事交流を積極的に推進し、また、自国の地理的条件に伴う演習地不足を補うために、タイ、インドネシア、オーストラリア、ブルネイ、ニュージーランド、米国等で訓練を行っている。

(2)国防組織及び指揮系統

(イ)常備軍事力は、陸軍5万人、海軍9千人(潜水艦4隻、哨戒船艇・沿岸戦闘艦艇約25隻)、空軍約1万3千5百人となっており、ASEAN内で最も近代化が進んでいる。非常時には予備役約30万人の動員が可能とされている。

(ロ)制服軍人は、国防第一事務次官の直接指揮を受けることとなっており、完全なシビリアン・コントロールの下で運営されている。

(ハ)非常時の軍隊発動権は、形式上大統領にあるが、実際には主要閣僚で構成する国防閣僚会議が行使。

4. 経済

(1)マレーシアからの分離・独立(1965年)後、「外資導入を軸とする工業化」等を積極的に推進。1996年1月、経済協力開発機構(OECD)途上国リストを「卒業」した。

(2)実質GDP成長率の推移

実質GDP成長率の推移
1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010
6.9% 9.7% -2.3% 4.0% 2.9% 8.7% 6.4% 7.9% 7.7% 1.2% -2.0% 14.5%

(出典:シンガポール統計局)

(3)戦略的な経済政策

国内産業構造の高度化や、サービス(運輸、金融、教育等)のハブ機能強化を推進(近年のシンガポール経済を、バイオメディカル、製造業、サービス業等が牽引)。バイオメディカル産業については「バイオポリス」、情報通信・メディア産業については「フュージョノポリス」といった産業集積拠点を設置。

(4)経済連携枠組構想の推進

シンガポールはこれまでに、日本、米国、中国、豪州等、13の国及び地域と自由貿易協定/経済連携協定(FTA/EPA)を締結。また、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)などの広域経済連携構想にも積極的で、アジア太平洋地域における自由貿易の推進に努めている。

(5)最近の経済動向

2008年9月のリーマンショック以降、シンガポール経済も世界的な景気後退の影響を被り、2009年の実質GDP成長率は-1.3%とマイナス成長を記録した。その後、世界経済が持ち直すとともに、2009年半ばから回復局面に入り、2010年には、海外の堅調な需要を背景にエレクトロニクスや医薬品を中心とする製造業の景況が急回復するとともに、カジノに代表される統合リゾート施設の開業による観光関連産業の拡大等を受け、年通年で14.5%程度の成長を達成。2011年についても5~6%程度の安定成長を見込んでいる。

5. 日本・シンガポール関係

(1)概観

長年にわたり、両国間には大きな懸案はなく、要人の往来も活発であり、二国間関係は極めて良好。1970年代後半以降の工業化推進の過程では、多くの分野において日本の経験が参考とされた。現在、先進国となったシンガポールとの間では日・シンガポール経済連携協定(JSEPA)やJSPP21(後述)等、先進的な取組が行われている。2006年には、日・シンガポール外交関係樹立40周年を迎え(外交関係樹立は1966年4月26日)、両国で文化行事等が開催された。

なお、2006年6月には天皇皇后両陛下がシンガポールを御訪問された。2007年3月(公式実務賓客)、2009年10月(実務訪問賓客)及び2010年11月(APEC首脳会議出席)にはリー・シェンロン首相が来日。2009年5月にはナザン大統領が国賓として来日。同11月には、APEC閣僚会議出席のために岡田外務大臣及び直嶋経済産業大臣が、APEC首脳会議出席のために鳩山総理が訪問した。2011年10月、玄葉外務大臣はシンガポールを訪問し、シャンムガム外相兼法相との間で日・シンガポール外相ワーキングランチ等を行った。

(2)協力の枠組み

(イ)日・シンガポール新時代経済連携協定
  (The Japan-Singapore Economic Agreement for a New Age Partnership(JSEPA))

2002年1月、小泉総理のシンガポール訪問の際、ゴー・チョクトン首相との間で協定に署名。2002年11月30日に発効した。本協定は、日本にとって初めての経済連携協定であり、貿易・投資のみならず、金融、情報通信、人材育成といった分野を含む包括的な二国間の経済連携を図る枠組み。2007年、更に自由化を拡大した改正議定書が発効。

(ロ)JSPP21(Japan-Singapore Partnership Programme for the 21st Century
  「21世紀のための日本・シンガポール・パートナーシップ・プログラム」

ODA卒業国であり、技術協力について開発援助実績を有しているシンガポールと共同で途上国支援を行うもの。主にアジア太平洋、アフリカ及び中東の国々を対象として実施しており、2009年には、海上航行安全、ASEAN事務局の能力強化、交番システム等に関する技術研修等を実施した。

(3)文化・人物交流

(イ)文化交流及び文化協力に対するシンガポール側の関心は高く、特に日本語普及及び日本研究振興に対して熱心である。在シンガポール日本国大使館でも、年間計画に基づき日本映画祭、音楽祭等各種文化・スポーツ事業を実施すると共に、シンガポール政府・民間団体等の行う行事に対し積極的に協力している。

(ロ)1995年10月には東京において、「第1回日本・シンガポール・シンポジウム」が開催され、両国の政府・経済関係者、学者、ジャーナリスト等が共通の関心事項につき幅広く意見交換を行った。本シンポジウムは、1994年8月に村山総理がシンガポールを訪問した際に両国間の知的交流を促進するための場として開催を提唱したのに対して、ゴー首相の賛意を得て開催されたものである。両国の外交関係樹立40周年である2006年には第6回シンポジウムがシンガポールにおいて、2009年2月には、第7回シンポジウムが日本にて開催された。また、2011年4月には第8回シンポジウムがシンガポールにて開催された。

(ハ)シンガポール日本商工会議所は、1991年5月に「日本商工会議所シンガポール基金(JCCI Singapore Foundation)」を設立し、毎年日系企業より資金を集め、シンガポールの機関、団体及び個人に対し表彰を行うことにより、シンガポールの文化・芸術・学術・スポーツ振興に協力している。

(ニ)2007年3月の日シンガポール首脳会談において、リー首相より、日本文化情報の発信拠点として「日本センター」をシンガポールに設置することを提案、両国で検討を進めることで一致。11月の首脳会談においては、「ジャパン・クリエイティブ・センター(Japan Creative Centre)」の早期設置に向け協力していくことに合意。デザイン、ファッション、アニメ等、現代の日本の魅力を若者を始めとする多くの人々が体感できる場所として、2009年11月14日開所。

(ホ)青少年交流の進展
JENESYSプログラムを通じた訪日教育旅行の拡大等、青少年交流も拡大。訪日観光客は東日本大震災後、前年比40%減となった。

(4)金融危機の影響を受けた両国経済関係

2008年後半の景気後退局面では、製造業を中心に、進出日系企業も製造ラインの停止等少なからず影響を受けた。他方、水関連産業やエネルギー分野等では、日本企業による将来に向けた積極的な投資も行われている。不動産、レストラン投資等、シンガポールからの対日投資は活発である。

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