欧州

ロシア連邦(Russian Federation)

基礎データ

平成29年11月30日

  • ロシア連邦国旗

一般事情

1 面積

約1,710万平方キロメートル(日本の45倍,米国の2倍近く)
(参考:ソ連:約2,240万平方キロメートル 日本の60倍)
(出典:ロシア国家統計庁)

2 人口

1億4,680万人(2017年1月)(参考:ソ連:2億8,862万4千人/1990年1月1日)
(出典:ロシア国家統計庁)

3 首都

モスクワ

4 公用語

ロシア語

5 宗教

ロシア正教,イスラム教,仏教,ユダヤ教等。

6 略史

年月 略史
9世紀 キエフルーシの成立
988年 キリスト教国教化(後のロシア正教)
1207年 モンゴル軍の侵攻。「モンゴル・タタールの軛」始まる
1472年 モスクワ大公国のイヴァン3世「全ルーシの君主」と号す
1480年 「モンゴル・タタールの軛」終わる
1712年 ペテルブルク(現在のサンクトペテルブルク)遷都
1917年 ロシア革命
1922年 ソヴィエト連邦成立
1991年 ソヴィエト連邦解体
ロシア連邦誕生(エリツィン初代大統領)
2000年 プーチン大統領就任
2008年 メドヴェージェフ大統領就任(プーチン首相)
2012年5月 プーチン大統領就任

政治体制・内政

1 政体

共和制,連邦制(共和国や州等83の構成主体からなる連邦国家)

2 元首

大統領:プーチン,ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ(2012年5月就任)

3 議会

  • 連邦院(上院)と国家院(下院)の二院からなるロシア連邦議会
  • (1)連邦院(定数:各連邦構成主体から2名ずつ,任期:連邦構成主体首長及び議会ごとに異なるが概ね4~5年)
  • (2)国家院(定数:450,任期5年(小選挙区比例代表並立制))

4 政府

5 内政状況

(1)第1-2期プーチン政権(2000年5月~2008年5月)
 プーチン大統領は,チェチェン紛争を終了させ,国内の分離主義を掃討したほか,「強い国家」の建設を掲げ,議会勢力及び地方勢力の掌握といった中央集権化や反政権の新興財閥の解体やマスコミの統制等,政治的な安定を追求。また,持続的な経済発展に成功し,「優先的国家プロジェクト」(保健,教育,住宅建設,農業)を通じて国民生活の向上を図った。退任直前の2008年2月には「2020年までの国家発展戦略」を策定し,イノベーション型の経済発展,肥大化した官僚主義や,行き過ぎた中央集権の改善等を提唱。
(2)メドヴェージェフ政権(2008年5月~2012年5月)
 メドヴェージェフ大統領(当時)はプーチン路線を継承しつつ(プーチン首相とのタンデム),経済の「近代化」を最重要視し,経済改革と同時に政治改革の実施の必要性を提唱。大統領の任期(4年から6年へ)及び国家院の任期(4年から5年へ)の延長,連邦院の構成変更,NPO法改正,連邦構成主体首長(知事等)の住民による直接選挙制の復活等,種々の政治改革を実現。
(3)第3期プーチン政権(2012年5月~)
 国内批判を容易に抑え込めた第1-2期と異なり,大規模な抗議デモを経験した第3期プーチン政権は,従来以上に国内世論を注視。2014年3月のクリミア「併合」後には,プーチン大統領は愛国主義的傾向を強める国民世論の圧倒的な支持を獲得。ロシア経済が苦境にある2015年以降も,2016年9月の国家院(下院)選挙で政権与党「統一ロシア」が450議席中343議席を獲得し,また大統領としても高い支持率を維持。一方,2017年に入り,大規模な反汚職デモが3月,6月に発生しているほか,2018年3月に大統領選挙を控えるプーチン大統領の65歳の誕生日(10月9日)に合わせた反政府集会が国内約80都市で実施されるなどの動きも見られる。

外交

1 全般

  • 多極化世界の追求
    世界の多極化とロシアの大国としての地位強化を目指す。BRICS,G20,上海協力機構等の多国間枠組みで活動を活発化。
  • ユーラシア統合
    CIS,集団安全保障条約機構,ユーラシア経済同盟等を通じて旧ソ連圏の結束・強化を図る。
  • 経済低迷からの脱却の試み
    2014年以降の経済低迷からの脱却策の模索,産油国との連携,デジタル経済の推進。
  • アジア太平洋地域への統合
    発展するアジア太平洋地域との経済的結びつきを強化することで極東・シベリア地方の開発を促進。

2 米国

 メドヴェージェフ政権時には,米露関係の改善をめざすオバマ政権の方針(米露関係の「リセット」)の下,新START条約(戦略兵器削減条約後継条約)締結,ロシアのWTO加盟に向けた協力(2012年8月22日,ロシア正式加盟)等,一定の成果が見られた。しかし,特に第三期プーチン政権発足後のロシア国内での政権批判に対する締め付け強化や欧州MD配備問題,2014年のクリミア「併合」を含むウクライナ情勢等を受け米露関係は悪化。
 2017年1月に就任したトランプ大統領はテロ対策やシリア情勢でロシアとの協力を模索。2017年7月のG20の際には,プーチン大統領とトランプ大統領の初めての首脳会談が行われた。11月のダナンAPECの際には,両首脳は短時間言葉を交わし,シリアに関する「米露首脳共同声明」を発表。しかし今後の米露関係の展望は依然不透明。

3 EU/NATO

(1)EU
 ウクライナ情勢,マレーシア機撃墜(2014年7月)等を受けて対立が先鋭化するも,依然として最大の経済パートナー。特に中・東欧諸国はロシアのエネルギーに大きく依存。
(2)NATO
 ロシアは,2015年12月に改定した安全保障戦略の中で,ア NATOの軍事的潜在力の増強,イ NATOへのグローバル機能の付与,ウ (同盟)ブロック国の軍事活動の活発化,エ 同盟の拡大,オ 同盟軍事インフラのロシア国境への接近をロシアに対する脅威と記述。これに対し,NATOは2016年7月に行った首脳会合で,東方のNATO同盟国(エストニア,ラトビア,リトアニア及びポーランド)における軍事プレゼンスを強化することを決定している。
 2014年のロシアによるクリミア「併合」を受けて露・NATO間のすべての実務的な協力が停止されていたが,2016年4月には2年ぶりに露・NATO理事会大使級会合が再開され,立場の相違は認めつつ一定の対話が行われている。

4 CIS諸国

 ロシア外交の最優先地域。ロシアは,独立国家共同体(CIS)に加盟する旧ソ連の諸国を,伝統的な友好善隣関係や歴史的なつながりによって結ばれた特別な国々とみなして積極的な外交を展開している。

 また,ロシアは上海協力機構(SCO)といったCIS以外の多数国間枠組みも活用。2015年1月には,ユーラシア経済同盟が創設され,中国が「一帯一路」の一環として進めるシルクロード経済ベルト構想との接合に向けて調整を行うなど,地域を超えた関係強化も志向している。2016年以降はユーラシア経済同盟と中国,インド等を含む経済圏として「大ユーラシア・パートナーシップ」構想を積極的に発信。安全保障上は,集団安全保障機構(CSTO)を引き続き重視。
(注)独立国家共同体(CIS):1991年,バルト諸国を除く旧ソ連諸国が外交問題の調整等を行うため設立。2005年,トルクメニスタンが加盟国から準加盟国へ。2009年,グルジアが脱退。

5 アジア太平洋諸国

(1)アジア太平洋地域全般
 ロシアは,極東・東シベリアの開発促進のため,発展するアジア太平洋地域への統合を積極的に推進しており,2012年9月にウラジオストクにおいてAPEC首脳会議を開催。2016年5月には,ソチにおいて露ASEAN首脳会合を開催(ロシアでの実施は初)。
(2)中国
 露中両国は互いを「戦略的パートナー」と規定し,首脳の頻繁な相互訪問により親密な関係をアピール。両国の二国間関係は,長年の懸案であった国境問題が2004年10月に解決されて以来,経済・軍事面を中心に発展。2010年以降,中国は,ドイツ・オランダ両国を抜き,ロシアにとって最大の貿易相手国となっている。
 2012年以降毎年行っている共同海上演習を2016年には初めて南シナ海で,2017年には初めてオホーツク海で実施,同年末に最新兵器の対中武器輸出契約が開始されるなど,協力の深化が見られる。国連,BRICS(ブラジル,ロシア,インド,中国及び南アフリカ)や上海協力機構等,国際場裏における他国間枠組みでの連携も見られる。
(3)インド
 2000年に戦略的パートナーシップを宣言。毎年1回の首脳会合開催について合意され,2017年6月に訪露したモディ首相はプーチン大統領と8回目となる首脳会談を実施。2009年以降,ロシアにとってインドは最大の武器輸出相手国。一連の要人往来を通じて軍事技術協力及び原子力協力を推進している。

6 中東

 イランの核問題では,2015年7月の合意達成に積極的・建設的役割を果たす。

 シリア情勢については,アサド政権の要請を受け,2015年9月30日にシリアに空爆を開始。2017年以降,トルコ,イランと共に政権・反政府勢力を集めたアスタナ会合や「シリア国民対話会議」の開催を主導する等,プレゼンスを発揮。

 トルコによる露軍機撃墜(2015年11月24日)を受け,トルコとの対立を深めたものの,2016年6月のトルコ大統領発書簡を受け,関係は正常化。

国防

1 ロシア連邦軍

(1)軍機構

 ロシア連邦軍は,3軍種(地上軍,海軍,航空宇宙軍)・2独立兵科(戦略ロケット部隊,空挺部隊)で構成される。運用面では,地理的に分割した西部,中部,南部,東部の4つの「軍管区」に権限を委譲し,各軍管区には,所在する3軍の通常兵器部隊を一元的に運用する「統合戦略コマンド」を設置,各軍管区司令官が統合戦略コマンド司令官を兼任する(戦略兵器部隊は指揮系統外)。また,北極圏を網羅的に所掌するため,西部軍管区から独立する形で北洋艦隊を中核に「北部統合戦略コマンド」を設置し,北洋艦隊司令官が北部統合戦略コマンド司令官を兼任する。

(2)総兵力
現役約83.1万人(準軍事組織「国境軍,国内軍他」約50万人を除く)
  • ・地上軍:兵員約31.5万人(空挺部隊4.5万人を含む)
  • ・海軍:兵員約15万人,潜水艦62隻,主要水上艦艇33隻,哨戒艇,機雷艇,両用艦艇等187機
  • ・航空・宇宙軍:兵員約16.5万人,戦闘機等1,046機
  • ・戦略部隊:兵員約5万人,ICBM324基,戦略原潜13隻,戦略爆撃機76機
  • ・特殊部隊:兵員約0.1万人
  • ・指揮支援要員:兵員約15万人
予備役約200万人
(3)東部軍管区
配備状況
  • ・地上軍:軍管区内に4個軍司令部を配置
  • ・海軍:潜水艦23隻(戦略原潜5隻を含む),主要水上艦艇7隻,作戦機約42機及び海軍歩兵
  • ・航空・宇宙軍:作戦機286機
北方領土周辺:近年,2016年から2020年の東部軍管区(及び西部軍管区)における計画の実現として,北方領土及び千島列島周辺におけるロシア軍による調査・整備等の活動が活発化している。
  • ・太平洋艦隊の基地設置の可否を調査するため,「クリル諸島」(千島列島)への探検航海を実施(2016年5-9月,2017年6-9月)。千島列島中部に位置し,旧日本軍飛行場や大型艦艇揚陸に適した海岸等が存在する「松輪島」に飛行場及び滑走路が再建された。
  • ・国後島及び択捉島に地対艦ミサイル(2016年末)や無人機を配備。
  • ・ショイグ国防大臣は国家院において,「クリル諸島」(千島列島)防衛のため,年内に同地に1個師団の配備を表明した(2017年2月)。また,同大臣は日露2+2会談において,当該配備が第三国向けではなく国土防衛のためであり,沿海地方,アムール州,サハリン州が対象であると述べた(2017年3月)。

2 国防戦略等

(1)「ロシア連邦国家安全保障戦略」(2015年12月31日承認)
 NATOの軍事活動を最も大きな脅威とし,米国によるMDシステムの欧州,アジア太平洋地域,中東への配備を世界の安全保障構造を侵食するものとして批判。一方で,中国との関係を世界及び地域的安定性を維持する重要な要素とし,その発展を追求するとしている。
(2)軍事ドクトリン(2014年12月25日改定)
 軍事的な環境として,「軍事的危険性」や「軍事的脅威」が情報空間及びロシア内部にシフトする傾向にあるとの認識を示す。また,「軍事的危険性」として,「NATO東方拡大」,「MDシステム配備」,「グローバル・ストライク構想」等を列挙。核兵器については,核兵器は紛争抑止重要な要素であり,核兵器・大量破壊兵器による攻撃を受けた場合及び通常兵器による攻撃であっても,ロシアの国家の存続の脅威がある場合には,対抗手段として核兵器をしようする権利を留保する旨記載。
(3)「ロシア連邦軍,その他の軍,軍部隊組織及び期間の構築及び発展並びに防衛産業複合体の近代化の計画(プログラム)実現に関する」大統領令(2012年5月)
2020年に向け,ロシア連邦軍等における近代化装備,武器及び特殊器材の割合を70%とすること。
核抑止戦力,航空・宇宙防衛手段,通信・偵察・指揮システム,電子戦システム,無人航空機システム,ロボット化された攻撃システム,近代的輸送航空機,精密兵器及び精密兵器への対抗手段,兵士の個人防護対策システムの開発。
ロシア連邦の戦略的利益を防護するための,北極のロシア連邦領域及び極東を第一とする海軍の発展。
国防省は,同大統領令を踏まえて策定した「2013年から2020年までの国防省活動計画」において,人員補充や装備導入等13項目に関する年ごとの目標値を設定し,軍改革を具体的に推進している。

3 軍改革等

(1)軍改革
 ロシア国防省は,1994年及び1999年のチェチェン紛争,2008年のグルジア紛争の教訓を踏まえ,セルジュコフ国防大臣の就任を契機に軍改革を推進した。肥大化した軍機構を機能的な即応集団に変革することを念頭に,「コンパクト化」,「近代化」,「プロフェッショナル化」を掲げ,「軍の機構改編(統合運用,軍管区の統廃合)」,「装備の更新(2020年までに近代化装備率70%を追求)」及び「定員削減・兵役制度の変更(職業軍人比重の増加)」に取り組んできた。
軍機構:エリアごとの統合運用を実現するため,(従来の6軍管区から)4軍管区体制への移行(2010年12月)と併せ各軍管区に統合戦略コマンドを設置した。また,指揮系統や装備の調達維持に係る重複・無駄を排除するため3軍種・3独立兵科体制を構築した(2015年8月からは3軍種・2独立兵科)。
装備:老朽化が深刻であった軍の装備だが,2012年以降,3万以上の新型主要兵器が配備され,現在,最新装備率は即応部隊で58%を超えるに至った(航空・宇宙軍で66%,海軍で47%)。
定員・兵役:2000年には120万超であった定員を段階的に(将校を中心に)削減し100万人を切った。現在の現役兵力はおよそ83万人であり充足率は93%。一方,徴兵主体の兵役制度を改め,契約勤務制度(職業軍人)を導入し,職業軍人の比率上昇に努めた結果,職業軍人数は全体で38万4千人となり,下士官では100%を達成した。
(2)国防費
 国防費は2010年以降増加の一途をたどっている。予算については,2015年の3兆2,740億ルーブルをピークに(2016年予算:3兆1,490億ルーブル,2017年予算:2兆8,360億ルーブル),油価下落等による財政状況を反映し減少に転じた。しかしながら,2016年は修正予算により増額(3兆8,889億ルーブル)したため,最終的な執行額は3兆7,750億ルーブルと前年比増となっている。

4 新START条約の発効

(1)発効
 2010年4月8日,米露両大統領が署名。2月6日,ミュンヘンにおいて米露間で批准書が交換され,同日発効した(期限2021年2月)。
(2)概要
発効後7年間で,運搬手段(ICBM,SLBM,戦略爆撃機)を800基(機)(うち配備状態の運搬手段は700基(機)) に,戦略核弾頭数を1,550発にそれぞれ削減。
履行状況確認のための検証手段について規定。
発効日をもってモスクワ条約に代わる(モスクワ条約は発効日をもって効力を停止)。

経済

1 主要産業

鉱業(石油,天然ガス,石炭,金,ダイヤモンド等),鉄鋼業,機械工業,化学工業,繊維工業

2 GDP(2016年)

1兆2,807億米ドル

3 経済成長率

1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
-5.3% 6.4% 10.0% 5.1% 4.7% 7.3% 7.2% 6.4% 7.4% 8.1% 5.2% -7.8% 4.3% 4.3% 3.4% 1.3% 0.6% -3.7% -0.2%

4 貿易(2016年)

(1)輸出:2,817億ドル (燃料等鉱物製品,鉄鋼,貴金属等)
(2)輸入:1,917億ドル (機械類,医薬品,衣類)
(3)主な貿易相手国:

  • 輸出:上位からオランダ,中国,ドイツ,ベラルーシ,トルコ,イタリア
  • 輸入:上位から中国,ドイツ,米国,ベラルーシ,フランス

5 為替レート

58.37ルーブル/ドル(2017年11月26日)

6 経済状況(2017年11月)

 石油・天然ガスなどの天然資源に経済的・財政的に依存するロシアでは,2015年,国際的な原油価格の低迷を受けて経済・財政状況が悪化した。
 2014年以来,原油価格の低迷を受けて下落していたルーブルの対米ドルレートは油価の上昇に伴い2016年には徐々に回復し,2017年7月には2014年6月比で約60%まで回復。また,株価も2016年頭を底に,回復傾向。インフレ率は,2015年には食料品を中心に高い水準にあり12.9%であったが,2016年には5.4%,2017年1月-6月には2.3%と落ち着きを見せている。こうした状況を受け,2016年の成長率は,2015年の成長率(マイナス2.8%)から改善し,マイナス0.2%となった。2017年は,油価の安定もあり,各機関の見通しとも,プラスの予想。

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