アフリカ

TICAD V
横浜行動計画
2013-2017

平成25年6月3日

  目次
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 TICAD参加者により合意された「横浜宣言2013」の指針は、本行動計画に具体化されている。本行動計画は、今後5年間(2013年-2017年)にTICADプロセスを通じて達成すべき目標を掲げるとともに、アフリカ諸国及び国際パートナーを含むTICAD V参加者によって実施される具体的施策を提示するものである。
 
 本行動計画を通じて、アフリカ自身の取組、女性と若者の主流化、そして人間の安全保障の促進は、開発課題のあらゆる面において一層重視される。
 
 また、TICADプロセスは、引き続き、南南協力及び三角協力を強化していく。
 
 
TICADプロセスは、インフラや農業の優先分野において、貿易・投資を促進するとともに、民間セクターの積極的な関与を促進し、成長の原動力を強化する。それは、広域バリューチェーンの構築や雇用促進、技術やノウハウの移転を促進し、また、観光分野を始め、アフリカの持続的な成長に資する潜在性を有するセクターを強化する。
 
1.セクター別課題
 
アフリカは、今日、世界で最も統合が遅れている大陸である。域内の経済交流は低調で、世界貿易の中で最も小さい。アフリカの世界貿易に占める割合はわずか3%に留まっており、域内貿易はアフリカ全貿易量の12%と低い。
貿易は、成長を加速化する上で重要である。この観点から、ドーハラウンドの交渉妥結及び「貿易のための援助(’’Aid for Trade’’)」の促進は、世界貿易機関(WTO)が目指す多角的貿易体制にアフリカを取り込んでいくことを容易にし、ひいてはアフリカの成長を世界経済の繁栄へと導く。また、成長回廊及びサプライチェーンを整備することによって、域内貿易を増加させる必要がある。これらは、より大きな市場を創出し、アフリカを資源取引依存からの脱却による経済の多角化を助長し、競争力向上を促進する。さらに、コストの引き下げ、生産性向上、及び貧困削減にも寄与し、アフリカ大陸に多大な恩恵をもたらす。
 民間資本のアフリカへの流入は、今や政府開発援助を上回っている。他方、これら資本は、資源採取産業及び資源が豊富な国に集中している。外国投資は、雇用と地元企業の機会を創出し、さらに、技術移転をもたらすという点で付加価値を生む。民間資本の流入量を増加させ、インフラ、農業、製造業、観光といったセクターにも投資を呼び込むことが課題である。また、観光は、成長の大きな可能性を有しており、競争力を高めるために、政府と観光業界は適切な政策と戦略を採用する必要がある。
 
 民間セクターは、アフリカ経済に果たす役割が増してきており、その成長は、中間層の創出を後押ししている。特に携帯電話の普及といった情報通信技術(ICT)の成功に見られるように、アフリカ大陸に消費者市場を作り出した。中小企業の生産性の向上及び資源取引依存から脱却した産業の多角化、更に長期融資へのアクセス向上及び能力向上は、競争力強化、ひいては、強固な経済構造の構築の鍵となる。また、インフォーマルセクターが拡大し、女性と若者の雇用機会の増加に寄与していることは特筆すべきである。さらに、インフォーマルセクターの生産性向上は、所得能力を高める一方、インフォーマルな民間セクターがフォーマルなものへと変換すれば、より多くの雇用機会を創出する。
 アフリカは、主に、開発志向国家によって構成され、効果的な国家の介入、規制及び計画を必要とする。国営団体・企業は、引き続き、アフリカ開発にとって不可欠な公共セクター開発を支えるとともに、国家インフラの整備、公共サービスへの不平等なアクセス軽減、さらには、安定的な雇用と経済アクセスを確保し、開発志向国家の構築を支援する重要な役割を果たす。
 
2.成果目標
(1)アフリカ全貿易量に占める域内貿易の割合の拡大
(2)アフリカにおけるビジネス環境の改善
(3)アフリカの輸出量の増加
 
3.TICAD Vが支援するアフリカの取組
(1)アフリカ域内貿易加速化のための行動計画
  (a) 域内及びREC間貿易促進のための地域経済共同体(RECs)への技術支援
  (b) アフリカ域内貿易加速化のためのサービス部門の自由化
     (i)  研究
     (ii) サービス貿易統計
        (iii) 域内のサービス市場開発への支援
    (iv) 国家戦略計画におけるサービスの主流化
        (v) 域内規制当局への技術支援
    (vi) ビジネス・プロセス・アウトソーシング及びITアウトソーシングのための政策枠組み
  (c) 国家開発戦略におけるアフリカ域内貿易の主流化(貿易政策立案における民間セクター、インフォーマルな民間セクター、女性の役割強化)
  (d) 貿易に関する相互の情報交換のためのセンター創設
 (e) 統一的な国境管理及び税関通過
  (f) アフリカの税関機関における倫理行動規範の促進及び腐敗防止
  (g) 域内統合及び貿易円滑化のためのアフリカの税関機関の能力強化
 
 
(2)アフリカ産業開発の加速化(AIDA)
(a) 産業政策管理、産業部門のデータ収集及びモニタリングのための能力強化及び技術支援
(b) 産業能力開発、技術移転及び普及センター及び施設の設立 
(c) 技術的支援センターの設立
(d) アフリカの大学におけるイノベーション担当の教授の職の創設、アフリカ技術・イノベーション・イニシアティブの実施
 
4.TICAD Vの重点分野
(1)広域開発のための域内統合推進、特に貿易に関連したインフラ整備、貿易円滑化、貿易障壁の撤廃、各国政府及び地域経済共同体(RECs)の能力強化を通じた域内・地域間の貿易促進
(2)競争の促進及びビジネスコストの軽減(ビジネス環境の改善(含む法制度・財政制度、知的財産の保護に関連する改革))を通じた投資促進。これら改革により観光部門を含む、産業開発の競争力と産業開発に適した環境の向上
(3)持続可能な資源開発の促進支援、資金の流れ及び地域社会との関係における透明性及び説明責任の観点から民間セクターの責任ある活動を奨励
(4)民間セクター開発支援(特に中小企業及び女性企業家の資金アクセスの向上、民間投資を呼ぶ込むための公的資金の活用、地元企業の生産性及び管理能力の向上)
(5)アフリカ女性のリーダーシップ、管理、起業における能力強化
(6)アフリカ産品の世界市場へのアクセス促進
(7)制度強化のための能力向上支援及び成長加速、開発持続、貧困削減に資する分野における研修強化
 
 
アフリカの中長期的な自律的成長を可能とするため、TICADプロセスは経済成長の基盤の強化に重点を置く。経済成長の基盤は、インフラ整備、人材育成、イノベーションと科学技術開発に分類できる。これらは全て、成長を可能にする重要な要素であり、全ての経済活動の発展にとり重要な触媒である。
 
1.セクター別課題
 
インフラ不足は、高い生産・取引コストを通じて、企業の競争力を低下させるため、ビジネス活動を制約する1つの大きな要因である。地方インフラが貧困層の経済活動の改善に不可欠である一方で、アフリカにおける経済統合の重要性に鑑みれば、広域インフラも必要である。主要な生産地及び消費地や、主要都市間を繋ぐ運輸回廊は、特に内陸国の貿易を円滑にする。また、アフリカの電力供給は信頼性が低く価格が高いことを踏まえれば、アフリカの持続可能な成長を支えるための安価、低炭素かつ信頼性の高い電力供給が必要である。特に、全ての人にエネルギーへのアクセスを確保するための国連事務総長による「万人のための持続可能なエネルギー」イニシアティブを通じた支援が必要である。
アフリカ連合(AU)のアフリカ・インフラ開発プログラムの試算によれば、2012年-2020年の優先行動計画で示されたアフリカ大陸のインフラ整備には、680億ドル又は今後9年間で年間75億ドルの資金が必要とされる。また、PIDAの2040年までの長期実施に必要な資本コストは3600億ドル以上と推定される。アフリカ大陸のインフラ・ギャップ、特にコスト全体の約95%を占めるエネルギーと運輸の分野におけるインフラ・ギャップを埋めるには、より一層の民間投資が必要とされる。アフリカの貿易を支え、成長を促進し、雇用を創出するためには、官民連携(PPPs)を通じた民間セクターの資金動員の促進を含め、こうしたセクターに対する変革的な投資が必要である。
 
(2) 人材育成
アフリカ経済の変革に必要な質の高い労働力を支える人材の蓄積が重要である。そのためには、ポスト基礎教育、技術・職業教育・訓練(TVET)、及び高等教育に対する支援を強化し、雇用創出のために教育カリキュラムを労働市場の現実に整合させていくことが必要である。持続可能な開発のための教育といったコンセプトなどを通じ、持続可能な成長に貢献する人材を育成することも重要である。カイゼン(質・生産性向上)などのように、官民双方の質及び生産性を改善するためには、就職後の能力開発もまた重要である。国内及び地域レベルでの行政官の能力向上は、あらゆる分野における適切な政策の立案及び状況に応じた効率的な実施のために不可欠であり、特に法の支配の推進及び良い統治の強化にとり重要である。 
 
アフリカ諸国が様々なセクターにおいて競争力及び生産性を向上させるためには、専門的及び技術的なスキルと施設が必要である。アフリカ経済を知識集約型経済に変革させるためには、知識、熟練した人材、インフラといった点で、科学技術の能力向上を図ることが必要である。科学技術推進の取組は、経済の現実のニーズに則したものとすべきであり、教育システムが実用的なスキル及びあらゆるレベルでの質の高い教育を提供することを確保するためにも、様々な関係者との緊密な対話が重要である。アフリカ諸国は、AUによる「科学技術総合行動計画(CPA)」の採択や汎アフリカ大学構想の打ち上げを通じ、科学技術の重要性を認識した。地域の能力を向上させ、既存の能力をより活用するためには、科学技術に対する関心を更に高める必要がある。
 
2.成果目標
(1) インフラ整備に対する投資額の増加
(2) 科学研究及び技術移転の促進
(3) 大学の卒業者数及び技術・職業教育・訓練(TVET)の研修員数の増加
 
3.TICAD Vが支援するアフリカの取組
(1) アフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)
(2) 科学技術総合行動計画(CPA)
(3) 能力向上戦略的枠組み(CDSF)
(4) 汎アフリカ大学(PAU)及び研究拠点
(5) AUCの若者ボランティア・プログラム
 
4.TICAD Vの重点分野
(1) 都市部及び地方部の双方における基幹インフラ整備(特に経済成長に必要な安価で信頼性の高い持続可能なエネルギーインフラ、水インフラ、広域運輸回廊開発及び情報通信技術)。官民連携(PPPs)などを通じた民間セクターの大型インフラプロジェクトへの関与の促進
(2) 持続可能な都市開発への支援
(3) 特に科学及び工学分野における高等教育の推進
(4) 雇用に繋がる高度なスキルを提供する技術・職業教育・訓練(TVET)の促進
(5) 必要な能力開発の取組を通じた公共セクターにおける人材育成の促進
(6) 科学技術分野における機関、制度及びすべての関係者とのパートナーシップの構築及び強化
(7) 科学・技術・工学・数学(STEM)分野の指導と学習の強化
(8) 若者の雇用及び起業に関する革新的プログラムの強化
 
 
 
アフリカにおいて農業の雇用と生計手段の創出力は格段に大きく、最大の経済セクターとなっている。そのため、TICADプロセスではアフリカの経済及び社会において農業が果たす役割を特に重要視してきた。
 
1.セクター別課題
 
包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)の下、アフリカにおける農業生産の増大及び農業生産性の向上に向けた取組は順調に進捗している。他方、特にアフリカ大陸における食料需要の増加及び農業の変革のためには、例えば肥料やその他の投入資材へのアクセス向上など、アフリカ諸国及び多様な国際的パートナー間の更なる協調した取組が求められている。また、この観点から言えば、持続可能な漁業及び養殖業の拡大にも留意する必要がある。
公的セクターが、投資に繋がるビジネス環境整備の促進及び公共財供給の側面において、引き続き重要な役割を担う一方、民間セクターが引き続き、生産や農業の変革プロセスの基盤となる。農民が自給自足の農業から商業的農業へ移行するためには、バリューチェーンへの均衡のとれた組込み及び市場指向型農業の発展を通じた市場機会及び資産へのアクセス向上が必要である。被援助国や小規模農家を含む現地の人々、投資家の利益を調和させるために、農業への投資は、責任ある農業投資原則(PRAI)に沿った、責任ある形で促進されるべきである。
また、小農及び小規模農家は、アフリカ諸国における大半の食料を生産していることから、これらの農民、特に女性に平等なアクセスと機会が確保されるよう特別な留意が必要である。これに関し、女性農民特有のニーズに対する配慮や、女性農民団体の活動拡大のための支援は、農業生産と農村所得の増加のために重要である。
 アフリカ諸国における農業は、気候変動や世界経済による自然災害や経済リスクに近年ますます影響されやすくなっている。よって、食料及び栄養安全保障を確保するには、特に砂漠化、干ばつ、洪水等の気候変動の影響に対して、より強靱な農業及びコミュニティが必要である。これら状況に鑑み、土地、水、生物多様性といった環境の多様性とともに、肯定的外的要因や価格及び市場リスクを緩和する政策を考慮に入れつつ、農業を推進すべきである。
 さらに、研究開発はアフリカにおける農業成長の源である。それゆえ、農業研究及びアフリカ人研究者への研修を促進することは重要である。また、農業統計システムの改善も、適切な農業政策の実現にとって重要である。
 持続可能な農業生産の増大及び農業生産性の向上は、食料と栄養の安全保障を通じた飢餓及び栄養不良の削減に効果的であるほか、貧困削減と持続可能で包摂的な経済成長にとって重要である。
 
2.成果目標
(1)CAADPに掲げられている農業セクターにおける成長率6%の達成
(2)「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」における取組を通じた2008年から2018年までのコメ生産量の倍増
 
3.TICAD Vが支援するアフリカの取組
包括的アフリカ農業開発プログラム(CAADP)
 
4.TICAD Vの重点分野
(1)CAADPプロセスに沿い、またCARDを通じた、農業生産の増大及び農業生産性の向上
(2)自給的農業から商業的な農業への移行を促すとともに、域内の流通も含めた’’farming as business’’(儲かる農業)アプローチを通じ、小農(特に女性)のための市場志向型農業を促進
(3)被援助国の関係者が広く恩恵を受ける形で民間セクターの関与を促進。小農(特に女性)に十分な配慮を行い、必要なインフラ及び先進的かつ実用的な農業技術(農産物加工、収穫後の貯蔵及び市場へのアクセス改善等)を含めたバリューチェーン整備を促進
(4)気候変動による自然災害の増加に対し、適切な土地保全、水管理や政府及びコミュニティ・レベルの能力強化による災害に強靱なインフラ開発を含め、農業及びコミュニティの強靱性を強化し、国の食料及び栄養安全保障を確保
(5)価格の乱高下及び市場の失敗に対処するリスク緩和のための取組の支援(保険、貯蔵、情報システム、貿易政策等)
(6)農業に従事する女性のエンパワメントのための他の取組に加え、「農業、食料安全保障及び環境」のテーマの下、アフリカの女性によるプロジェクト及びイニシアティブの支援を可能にするアフリカの女性のための基金(Fund for African Women)の財政及び技術的能力を強化
(7)女性及び若年層の雇用創出及び食料安全保障、貧困削減を確保するため、漁業及び養殖業を支援
 
 
 近年、多くのアフリカ諸国は、持続可能な開発を推進するため、組織的及び技術的能力を強化している。しかしながら、アフリカは、未だ、自然災害及び気候変動の影響に最も脆弱な地域である。TICADプロセスは、持続可能な開発を促進するため、気候変動に強靱な社会の構築を目指す。
 
1.セクター別課題
 
 気候変動は、農業や漁業のようなアフリカの主要な経済セクターが、気候に敏感で脆弱なこと、また気候変動によって、ますます深刻な影響を受けると予測されていることから、既存の開発課題を複合化する。環境災害を予測し、対処することができ、かつ、生物多様性の保全と持続可能な利用や砂漠化と土地劣化予防が可能な気候変動に強靱な社会の構築を特に重視しなければならない。本行動計画では、環境・気候変動に対する取組みをインフラ、農業、水など様々なセクターを通じて明確にしている。
 
 アフリカにおいて、干ばつは、自然災害の中で最も頻繁に発生し、最も多くの犠牲者を生み出す。また、サイクロンによって引き起こされる嵐と洪水は、アフリカの島嶼国及び沿岸国に深刻な被害をもたらす。アフリカにおける自然災害は、干ばつや洪水などほとんどが気候関連であり、気候変動への適応の取組は、防災の努力と直接繋がっている必要がある。高齢者、女性、障害者のような脆弱なグループに特別に配慮しつつ、開発の諸課題に防災を主流化することが重要である。
 
2.成果目標
(1)森林及び土地管理の改善を通じた森林減少の抑制
(2)気候変動適応プログラムへの投資増加
(3)再生可能エネルギーへのアクセス向上
(4)防災研修員数の増加
(5)国家開発計画に防災を主流化する国の数の増加
 
3.TICAD Vが支援するアフリカの取組
(1)森林経営
(2)生物多様性保全
(3)土地管理
(4)緑の長城構想
(5)気候変動に関するアフリカの戦略
(6)気象学に関するアフリカの統一戦略(天候及び気候サービス)
(7)アフリカの干ばつ危機対策及び強靱性
 
4.TICAD Vの重点分野
(1)環境政策の立案及び環境技術分野における人材育成及び取組の促進
(2)多様な生物の持続可能な利用と土地及び森林資源の管理の促進
(3)持続可能な土地管理並びに干ばつ対策及び砂漠化対処に関するアフリカの計画への有効的な支援
(4)世界防災閣僚会議in東北で採択された「21世紀型の防災」の下、開発における防災の主流化、総合的な防災対策の推進
(5)特に乾燥及び半乾燥地域における干ばつに対する強靱性の強化や嵐、洪水及び沿岸浸食の防止などの自然災害対策の実施
(6)全てのレベルにおける防災に関する人材育成、組織制度、情報システムの開発
(7)AAP(アフリカ気候変動適応支援プログラム)を含む適応の取組及び気候変動への適応分野への投資に有利な政策環境の促進
(8)水力、太陽光、地熱、バイオマス及び風力発電を含めた再生可能エネルギーへの投資促進
(9)気象学に関するアフリカの統一戦略(天候及び気候サービス)の支援
(10)REDDプラス(森林の減少及び劣化に由来する排出の削減等)のプロジェクトの推進
(11)気候変動適応プログラムを含めた自然リスク及び防災に関するメディア専門家、計画立案者、公務員の訓練
(12)都市型リスク管理プラットフォームの設立
(13)国連プロセスにおけるポスト兵庫行動枠組み(2005年-2015年)の議論への貢献
(14)第20回AUサミットで採択されたリオ+20に関するアフリカの地域プログラムの実施
(15)アフリカの過酷かつ予測不可能な気候状態に対処するための早期警報システムの支援
 
 
 MDGsの達成期限である2015年が近づく中、特に保健、教育、水と衛生分野においてMDGs達成に向けた努力をさらに加速化する必要がある。TICADプロセスは、貧困削減及び人間の基本的ニーズを満たすことに必要な持続的な人間開発の確保に重要な要素として、これら取組を支援する。また、脆弱層に対するセーフティーネットの役割にも注意を払う必要がある。
 
1.セクター別課題
 
初等教育における男女間格差及び純就学率は、「万人のための教育」イニシアティブの下、多くのアフリカ諸国において顕著に改善した。しかしながら、高等教育への堅固な基礎を構築するためには、引き続き就学率及び修了率を増加させるとともに、初等及び中等教育の質を向上させる必要がある。また、「第二次教育の10年」のためのAU行動計画の国内実施及びモニタリングの強化は、非識字の根絶の重要性に着目するものであり、教育政策の実施改善に資する。
 
 健康の改善は、社会経済成長を下支えする健全な労働力の生産に貢献する。1990年代と比較してアフリカ大陸全体では妊産婦死亡率(MMR)及び乳幼児死亡率(IMR)は改善しているものの、ほとんどの国においては、いくつかの保健関連MDGsの達成が困難な状況である。これらMDGs達成に向けた取組を加速化するためには、基礎的保健サービスを利用するための妨げとなっている格差の解消が必要である。そのためには、必要な時に必要な保健サービスを手頃な価格で受けられること、すなわち、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現に向けた保健システムの強化が必要であり、母子・新生児保健(MNCH)及びリプロダクティブヘルスを含めた効果的な基礎的保健サービスの利用及び普及の促進が求められる。また、アフリカ大陸における健康改善を進めるにあたっては、ワクチン接種及び予防接種のような費用対効果の高いプログラムの促進を含めて、幼年期における成長阻害を減少させる取り組みやHIV/エイズ等の感染症及び非伝染性疾患(NCDs)の予防及び治療にも特段の関心が払われる必要がある。
 
効果的な水資源管理及び安全な水の供給とアクセスの改善並びに総合的な廃水管理は、持続可能な経済成長及び生活状況の改善に必要不可欠である。衛生状況の改善は、病気予防及び人間としての尊厳の基本であることから、人間の安全保障の推進に貢献する。女性は、水供給設備の主な使用者であることが多く、各家庭の衛生面で中枢的役割を果たすことから、水管理及び衛生施設の改善における女性の平等な参画の確保は必要不可欠である。
 
2.成果目標
(1)特に女子、また地方や遠隔地を考慮した初等及び中等教育の完全普及と職業訓練の増加
(2)脆弱層への公共保健サービスの拡大を通じた医療保障の増加
(3)専門の技能を持つ分娩介助者による分娩の平均割合の増加
(4)リプロダクティブヘルスに関するマプト行動計画に政策を整合するAU加盟国数の増加
(5)2015年までに、AU加盟国において母子保健に関する国民への教育のために報道機関の活用の増加
(6)標準体重以下の5歳未満の子どもの削減
(7)新生児含めた5歳未満児、妊産婦及び母親の命を救う
(8)国家計画を考慮しつつ家族計画の提供に向けた進捗の確保
(9)HIV/エイズ、結核、マラリアに関連した死亡者数の削減
(10)水供給サービスの範囲及び持続可能性の向上により、安全な飲料水へのアクセスの増加
(11)産前及び産後ケアの更なる促進
 
3.TICAD Vが支援するアフリカの取組
(1)アフリカにおける第二次教育の10年「2006-2016」
(2)アフリカ妊産婦死亡削減加速化キャンペーン(CARMMA)
(3)エイズ・結核・マラリア等感染症に係るアブジャ行動計画
(4)セクシャル・リプロダクティブヘルスと権利に関する行動計画(マプト行動計画)
(5)エイズ・ウォッチ・アフリカ(AWA)イニシアティブ
(6)水と衛生に関するアフリカビジョン2025
 
4.TICAD Vの重点分野
(1)適切な教育施設の供給、教員の能力向上及び関係者の管理行政能力の改善を通じた、初等及び中等教育並びに職業訓練への衡平性に配慮したアクセス及び質の向上
(2)ナレッジに基づく教育開発と、フォローアップ及び成果測定を適格に行うメカニズムを確保するための教育管理情報システムの強化
(3)母子保健、リプロダクティブヘルス、感染症及び非伝染性疾病に特別に配慮しつつ、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを進展させるための保健制度の強化
(4)アフリカ諸国が自国の政策とアフリカ妊産婦死亡削減加速化キャンペーン(CARMMA)及びセクシャル・リプロダクティブヘルス権利に関する行動計画(マプト行動計画)とを整合させるための支援
(5)AUCの保健サービス・医療提供システムの強化
(6)持続可能な水供給を確保するための節水対策の実施を含めた持続可能な水資源管理の促進
(7)都市及び地方双方における安全な水及び衛生状態の持続可能な供給及びアクセスの改善
(8)国家及び地域レベルで水と衛生をフォローアップ及びモニタリングするためのシステムを2016年までに強化
(9)CAADPにおいて使用されるコンパクト・アプローチに則った水と衛生に関するアフリカビジョン2025の実施
(10)総合的な廃棄物管理の促進
 
 
 
 平和と安定はアフリカの社会経済開発の前提条件である。過去20年間でアフリカでは平和と安定の取組において大きく前進を遂げたものの、主にサヘル地域、アフリカの角及び大湖地域において、依然として紛争が存続しており、人々の強制的移住及び国境を越えた不安定な状況を生み出している。
 
 また、民主主義及びグッドガバナンスについても、安定し、かつ安全な社会及び社会経済開発の土台としてその重要性を認識するべきである。地域で生まれた、平和と安定の定着に向けたイニシアティブや取組を支援し、強化する必要がある。
 
1.セクター別課題
 
 平和で安定した大陸を実現するため、アフリカ自ら多大なリーダーシップを発揮してきた。特にアフリカ連合(AU)はアフリカに一層平和と安定をもたらすため、地域経済共同体と密接に協力しつつ、アフリカ平和安全保障アーキテクチャー(APSA)の実施を通じ、重要な役割を果たしてきた。APSAを完全に実行するため、国際社会がアフリカの取組に対し継続的に支援することは重要である。
 
 国際社会は、アフリカ自身による紛争予防及び解決、平和構築、平和支援活動及び紛争終結後の復興に対する取組を引き続き支援する必要がある。この関連で、国連もアフリカのこうした取組に関与し続けるべきである。国連が果たす役割の重要性に鑑み、特に安全保障理事会などの国連諸組織の改革は重要である。
 多くの場合、若者の失業、ジェンダー不平等、極度の貧困及び経済格差などの社会経済的要因から生まれる不満は、暴力や紛争を生み出す。こうした紛争の要因を軽減するためには、万人が恩恵を受ける包摂的な開発が必要である。
 
  国際組織犯罪、テロ及び海賊を含む国境を越える課題に対する世界の懸念が高まっている。こうした問題は、社会を不安定化させ、新たな紛争を生み出す。このため、アフリカ諸国及び国際パートナーは、テロとの闘いとテロの資金源の一掃に向けて一致した行動をとり、こうした問題から脅威を受ける国々を支援する必要がある。身代金の支払い、人身売買、麻薬取引、偽造薬品、小型武器・軽火器、密漁、廃棄物の不法投棄、マネー・ロンダリングなどが含まれる。ソマリア沖及びギニア湾などにおける海賊は、海上航行、船舶輸送及び関連活動の安全及び保安に対し深刻な脅威を与えるため、公海上及び陸上双方における包括的解決が必要である。
 
 民主主義及びグッドガバナンスを推進するアフリカの取組は、安定及び成長のために重要であり、支援する必要がある。これらは政府機関の行政効率性及び反汚職イニシアティブに対する支援を含む。
 
2.成果目標
(1) アフリカ平和安全保障アーキテクチャー(APSA)の実施
(2) アフリカ機関の人的・組織的能力を強化するためのAU/NEPADによるRECsの能力向上支援プログラムの実施
(3) テロ対策及び組織犯罪撲滅のための訓練を受けた人員数の増加
(4) APRM枠組みの下でレビュー済みの国々における国家行動プログラムの支援
(5) ジェンダー不平等是正のための女性の経済アクセス拡大に関するプログラムへの支援増加
(6) 若者の雇用機会創出のための中小企業の支援増加
 
3.TICAD Vが支援するアフリカの取組
(1) アフリカ平和安全保障アーキテクチャー(APSA)
(2) AU/NEPADによるRECs能力向上支援プログラム
(3) アフリカ・ピア・レビュー・メカニズム(APRM)
(4) 民主主義、選挙及びガバナンスに関するAU憲章
(5) 麻薬コントロールに関するAU行動計画(2013-2017)
(6) アフリカ統一的海洋戦略2050
(7) アフリカにおけるジェンダー平等に関するAU宣言
(8) 雇用促進及び貧困削減に関するAU行動計画
 
4.TICAD Vの重点分野
(1) 平和と安定に関連する取組を効率的に実施するためのアフリカのオーナーシップ及び能力支援
(2) アフリカ自身の能力向上イニシアティブへの支援を通じたRECsの組織能力開発
(3) 紛争予防、強制的移住の解決、紛争終結後の復興の達成並びにテロ、国際組織犯罪、海賊との闘いに対するアフリカ自身の取組への支援増加
(4) 政策立案及び実施のための行政官の能力強化支援及び選挙プロセスの促進、サービス提供の改善、治安部門改革におけるアフリカ自身の取組支援
(5) 大陸における平和と安全の維持にかかるAU及びRECsの役割の向上、及びこれら課題における国連との協力推進
(6) 将来の平和維持及び平和構築活動に参画可能な人材に関するデータベースの開発、及び国連やAUのガイダンスと支援を通じたこれらの人材の能力向上
(7) アフリカにおけるグッドガバナンスの強化、特にAPRMにおいてレビュー済みの国々における国家行動プログラムの実施支援
 
 
 TICADプロセスのより効果的なモニタリング及びフォローアップを確保するとともに、AUCが共催者に加わったことを反映しつつ、AUの慣習に従ってアフリカの参加を増やすため、2008年のTICAD IVで創設された3段階からなるフォローアップ・メカニズムを以下のとおり改訂する。
 
1.共同事務局:日本国外務省、アフリカ連合委員会(AUC)、国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UNOSAA)、国連開発計画(UNDP)、世界銀行
 
2.モニタリング合同委員会:日本政府及び関連政府機関、TICAD共催者、アフリカ連合常駐代表委員会(PRC)、在京アフリカ外交団(ADC)、NEPAD計画調整庁、国際機関及びドナー諸国
 
3.フォローアップ会合
(1) 高級実務者会合(年1回)
(2) 閣僚級会合(年1回)
(3) 首脳会合(5年に1回)

このページのトップへ戻る
アフリカへ戻る