ネパール
ネパール(Nepal)
基礎データ


一般事情
1 面積
14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍)
2 人口
2,969万4,614人 (2023年 世銀)
3 首都
カトマンズ
4 民族
パルバテ・ヒンドゥー、マガル、タルー、タマン、ネワール等
5 言語
ネパール語
6 宗教
ヒンドゥー教徒(81.3%)、仏教徒(9.0%)、イスラム教徒(4.4%)他
7 国祭日
9月20日(憲法公布日(2015年))
8 通貨
- ネパール・ルピー
- 1円=約0.92ネパール・ルピー(2025年4月1日現在)
- 1米ドル=約137.09ネパール・ルピー(2025年4月1日現在)
9 識字率
71%(2022年 世銀)
10 略史
年月 | 略史 |
---|---|
1769年 | プリトゥビ大王による国家統一 |
1846年~ | ラナ将軍家による専制政治 |
1951年 | 王政復古 |
1956年 | 日本・ネパール外交関係樹立 |
1990年 | 民主的な新憲法導入 |
2007年1月 | 暫定憲法成立 |
2008年5月 | 制憲議会発足 |
2010年5月 | 制憲議会を1年延長 |
2011年5月、8月 | 制憲議会をそれぞれ3か月延長 |
2011年11月 | 制憲議会を6か月延長 |
2012年5月 | 制憲議会が期限内の憲法制定に至らず任期満了 |
2012年5月 | 制憲議会が期限内の憲法制定に至らず任期満了 |
2013年3月 | 制憲議会再選挙実施のための選挙管理内閣発足 |
2013年11月 | 第2回制憲議会選挙実施 |
2014年1月 | 制憲議会開会 |
2015年9月 | 新憲法公布 |
2017年5、6、9月 | 地方選挙を3度に分けて実施 |
2017年11、12月 | 州・連邦下院議会選挙実施 |
2018年3月 | オリ(ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派(UML)党首)政権発足 |
2021年7月 | デウバ(ネパール・コングレス(NC)党首)政権発足 |
2022年12月 | ダハル(ネパール共産党マオイスト・センター(MC)党首)政権発足 |
2023年1月 | ダハル(MC)・オリ(UML)他連立政権議会信任 |
2023年3月 | ダハル(MC)・デウバ(NC)他連立政権議会信任 |
2024年3月 | ダハル(MC)・オリ(UML)他連立政権議会信任 |
2024年7月 | オリ(ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派(UML)党首)政権発足 |
政治体制・内政
1 政体
連邦民主共和制
2 元首
ラムチャンドラ・ポーデル大統領
3 議会
二院制(上院59議席、下院275議席(うち、女性議員の割合三分の一以上(注)ネパール憲法における規定数))
4 政府
- (1)首相
- カドガ・プラサード(KP)・シャルマ・オリ
- (2)外相
- アルジュ・ラナ・デウバ
5 内政
1996年よりネパール統一共産党毛沢東主義派(マオイスト)が武力闘争を行い、政情不安定が続いていたが、2006年に包括和平が成立し、2008年には制憲議会選挙を実施。制憲議会初会合では、王政が廃止され、連邦民主共和制に移行することが決定された。
その後、制憲議会での憲法策定作業が難航し、2012年5月、任期内に憲法が制定されないまま制憲議会が解散。2013年11月、憲法制定のための議会再選挙が実施され、2014年1月、制憲議会開会以降、憲法制定に向けた協議が進められ、2015年9月20日に新憲法が公布された。
2015年10月、オリ(ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派(UML)党首)政権が発足するも、その後与野党の対立により、2016年7月、オリ首相が辞任し、翌8月、ダハル(ネパール共産党マオイスト・センター(MC)党首)政権が発足した。2017年5月、地方選挙(第1回投票)が実施された後、ダハル首相は、ネパール・コングレス党(NC)と交わしたとされる紳士協定を踏まえて辞任を表明し、翌6月、シェール・バハドゥール・デウバNC党首が首相に就任し、新政権が発足した。
その後、新憲法の下、17年5月、6月、9月に地方選挙が20年ぶりに、11月及び12月に連邦下院・州議会選挙が初めて実施された。選挙はUMLが勝利し、18年2月15日にオリUML党首が新首相に就任、UMLとMCによる連立政権が発足した。また同年5月には、連立与党であるUMLとMCが党統合し、新たにネパール共産党(NCP)が誕生した。
2020年12月、NCP内の派閥争いの末、内閣の勧告を受けたバンダリ大統領が下院議会解散を決定し、議会は解散。しかし、2021年2月、ネパール最高裁は、今次の解散は違憲であり無効と判決し、13日以内の下院招集をネパール政府に指示した。同年3月、下院議会が再開した一方、最高裁はNCPの党名につき、同名の他党が既に存在していたことを理由に政党法違反と判断。選挙管理委員会は最高裁の判断に基づきNCPの党登録を取消し、同党は統合前のUMLとMCの2党に戻った。
2021年5月、オリ首相は下院において首相信任決議の実施を発表。その後、MCはオリ政権への支持を取り下げた。信任決議採択の結果、賛成票が過半数に達せず、オリ首相に対する信任は否決され、同首相は憲法上、辞任することになった。大統領府は、各党に多数派となる連立政権の発足を求める声明を公表したが、連立にむけた政党間の協議がまとまらなかったため、バンダリ大統領は憲法に従い最大政党の党首であるオリ首相を首相に再任命した。その後、再任後の首相信任決議可決は難しいと判断した内閣の勧告を受けたバンダリ大統領は下院議会解散を決定。7月、ネパール最高裁は今次解散を違憲であり無効と判断した。その後、与党内部の分裂により、ネパール・コングレス(NC)党を中心とする党連合が議会内での最大勢力となったため、最高裁はデウバNC党首の首相任命を政府に命じ、バンダリ大統領によりデウバ党首が首相に任命された。
2022年11月に行われた第2回ネパール連邦下院選挙ではデウバ党首率いるNCが第1党となったものの、過半数を得た政党はなく、同年12月25日に至り、ダハルMC(ネパール共産党マオイスト・センター)党首は、オリ党首率いるUML他との連立を決定。翌26日、ダハルMC党首が首相に就任し、2023年1月に下院にて野党NCを含むほとんどの党の合意により信任された。
しかし、2023年2月、次期大統領選候補者を巡る政党間の対立から、連立を組んでいたUML他大部分の閣僚が辞任する事態が発生。3月上旬の大統領選挙後に実施された信任投票においては、NC他の支持によりダハル首相の信任決議案が可決された。
2024年1月、上院選挙(1/3改選)が実施され、連立与党側が勝利したが、その後、上院議長の後任を巡りMCとNC間の対立が生じ、同年3月4日、ダハル首相は連立を解消し、野党UML等との新たな連立内閣を発足させた。また、同13日、憲法上求められる首相信任決議案が下院において賛成多数で可決された。これはダハル首相就任後、3度目の信任決議可決となった。
2024年7月3日、UMLが政権離脱し、最大野党であるネパールコングレス(NC)と協力し新政権樹立に取り組むことを発表。12日にダハル首相の信任投票が行われ信任が否決されたため、MC・UML他によるダハル連立政権は崩壊。14日、ポーデル大統領が、UML・NC他、下院過半数を占める政党が支持するオリ党首(UML)を首相に任命し、21日にオリ首相の信任投票が行われ信任決議が可決された。
外交・国防
1 外交基本方針
非同盟中立、近隣諸国との友好関係の維持。
2 軍事力
- (1)予算
- 約570億ルピー(全体予算比3.3%)(2023/2024年度、ネパール財務省)
- (2)兵役
- 志願制
- (3)兵力
- 陸軍約9.66万人(ミリタリーバランス2022)
経済
1 主要産業
農林業、貿易・卸売り業、不動産
2 GDP(名目)
5兆5,707億ルピー(約40.91億ドル)(2023年度 世銀)
3 一人当たりGDP
161,509ルピー(約1,337ドル)(2023年度 世銀)
4 GDP実質成長率
2.0%(2023年度 世銀)
5 物価上昇率
7.1%(2022年度、世銀)
6 外貨準備高
約93.2億ドル(2022年、世銀)
7 債務返済比率(DSR)
- 8.2%(2019年、アジア開発銀行 Key indicators2021)
- (注)DSR(Debt Service Ratio):年間の対外債務返済総額の輸出額に占める割合
8 総貿易額
- (1)輸出 1,523.8億ルピー
- (2)輸入 1兆5,929.9億ルピー
(2023/2024年度、ネパール貿易・輸出促進センター)
9 主要貿易品目
- (1)輸出 鉄鋼製品、糸、ウールカーペット、既製服、ジュース等
- (2)輸入 石油製品、鉄鋼製品、機械類、車両製品、電気製品等
(2024年度 在ネパール日本大使館調べ)
10 主要貿易相手国
- (1)輸出 インド、米国、ドイツ、英国、中国
- (2)輸入 インド、中国、アラブ首長国連邦、米国、ウクライナ
(2023/2024年度、ネパール貿易輸出促進センター)
11 経済概況
GDP約408億ドル、一人当たりGDP約1,337ドル(2022年度)の後発開発途上国(LDC)。経済構造では、農林水産業がGDPの約24.1%及び就労人口の57.3%を占める。
経済協力
1 日本の援助実績(累計)
- (1)有償資金協力(2022年10月時点、E/Nベース)1,313.02億円
- (2)無償資金協力(2022年10月時点、E/Nベース)2,247.45億円
- (3)技術協力実績(2022年10月時点、JICA経費実績ベース)839.22億円
2 主要援助国(DAC諸国のODA実績)
(2022年度 OECD)
- (1)米国:1億3,637万ドル
- (2)英国:1億829万ドル
- (3)日本:8,760万ドル
- (4)ドイツ:5,749万ドル
- (5)スイス:3,913万ドル
二国間関係
1 政治関係
2008年に王制は廃止されたものの、それまで培われた皇室・王室間の交流の他、国会議員の交流、経済・技術交流等があり、日・ネパール関係は伝統的に良好。
1998年11月にG.P.コイララ首相がネパールの民選首相として初訪日、2000年8月には森総理が日本の総理大臣として初めてネパールを訪問した。2012年4月には玄葉外相が日本の外務大臣として35年ぶりにネパールを訪問、2014年10月にはパンディ外相が訪日し、岸田外相との間で日・ネパール外相会談を行った。その後、2018年11月にギャワリ外相が訪日し、2019年1月には河野外相がネパールを訪問して、日・ネパール外相会談を行った。また2019年10月、即位礼正殿の儀に出席のため、バンダリ大統領が訪日し、安倍総理と会談を行った。2022年11月には武井外務副大臣がネパールを訪問し、新憲法の下で行われる2度目の下院選挙の監視、バンダリ大統領表敬などを行った。
2024年5月には上川外相が、外相として5年ぶりにネパールを訪問し、外相会談の他、ポーデル大統領表敬などを行った。
2 経済関係
- (1)対日貿易
-
- (ア)貿易額(2022/2023年度、ネパール貿易輸出促進センター)
- 輸出 14.3億ルピー
- 輸入 54.5億ルピー
- (イ)主要品目
- 輸出 衣類、農産品、カーペット、織物等
- 輸入 機械・工業製品、医療関連品、車関連部品等
- (2)日本からの直接投資(1989/1990年度~2022/2023年度までの累計額)
- 34.12億ルピー(2022/2023年度、ネパール産業局)
3 文化関係
1999年、1899年に僧侶の河口慧海が日本人として初めてネパールを訪問してから100周年を迎えた。
2002年1月、長野県松本市とカトマンズ市の姉妹都市締結10周年を記念した武道館が完成した。また、2002年はネパール国王派遣による8名の留学生が渡日してから100周年に当たり、本邦において各種行事が開催された。
2006年は、日・ネパール外交関係樹立50周年で、様々な催しが行われた。
2015年9月、和歌山県高野町とネパール・ルンビニとの間で「世界遺産都市の文化・観光・交流相互協定」が結ばれた。
2016年は、日・ネパール外交関係樹立60周年であり、幅広い分野において周年記念行事が行われた。9月1日にはネパール政府主催により、60周年記念式典(於:カトマンズ)が開催され、日本側代表として岸外務副大臣が出席した。また、外務省は、両国友好の架け橋としての功績がある三浦雄一郎氏に対して、「日・ネパール外交関係樹立60周年」親善大使の委嘱状を交付した。
2017年8月、震災復興交流として、2015年4月に大地震を経験したネパールからサッカー代表チームを招へいした。一行は環境及び防災視察を訪問し、有識者との意見交換等を通じて、日本の環境及び防災分野における取組への理解を深めるとともに、ヴィッセル神戸U-18との震災復興祈念試合を実施し、震災復興に向けた日・ネパール両国での協力を発信した。
2022年はネパール国王派遣による8名の国費留学生が渡日してから120周年に当たり、ネパール・日本両国において多くの日本・ネパール留学生交流120周年記念行事が開催された。
4 在留邦人数
443名(2023年10月1日現在、海外在留邦人数統計)
5 在日当該国人数
206,898人(2024年6月現在、法務省在留外国人統計)
6 要人往来
年月 | 要人名 |
---|---|
1960年及び1975年 | 皇太子同妃両殿下 |
1970年 | 常陸宮同妃両殿下 |
1977年 | 鳩山外務大臣 |
1985年 | 秩父宮妃殿下 |
1987年 | 徳仁親王殿下 |
1991年 | 超党派国会議員選挙監視団(奥田敬和衆議院議員団長) |
1991年 | 橋本大蔵大臣 |
1994年 | 東外務政務次官 |
1994年 | 海部元総理大臣 |
1997年 | 秋篠宮同妃両殿下 |
1999年 | 橋本元総理大臣 |
2000年 | 森総理大臣 |
2002年1月 | 橋本元総理大臣 |
2004年5月 | 松下日本・ネパール友好国会議員連盟事務局長 |
2005年6月 | 河井外務大臣政務官 |
2006年7月 | 塩崎外務副大臣 |
2007年7~8月 | 木村防衛副大臣 |
2008年7月 | 宇野外務大臣政務官 |
2009年5月 | 岸防衛大臣政務官 |
2011年1月 | 松本防衛大臣政務官 |
2012年4月 | 玄葉外務大臣 |
2014年5月 | 木原外務大臣政務官 |
2014年11月 | 鶴保日本・ネパール友好国会議員連盟事務局長 |
2015年6月 | 城内外務副大臣 |
2016年8月 | 岸外務副大臣 |
2017年7月 | 小田原外務大臣政務官 |
2017年12月 | 堀井巌外務大臣政務官 |
2019年1月 | 河野外務大臣 |
2019年6月 | 田中国土交通大臣政務官 |
2020年1月 | 中山外務大臣政務官 |
2022年11月 | 武井外務副大臣 |
2024年5月 | 上川外務大臣 |
年月 | 要人名 |
---|---|
1975年、1976年、1986年及び1990年 | ギャネンドラ王弟同妃両殿下 |
1978年、1983年及び1985年 | ビレンドラ国王王妃両陛下 |
1987年 | ウパディヤヤ外相 |
1989年 | ギャネンドラ殿下 |
1990年 | ディペンドラ皇太子殿下 |
1991年 | パンデ蔵相 |
1995年 | ネパール副首相兼外相・国防相 |
1995年 | ロハニ外相 |
1996年 | ポウデル下院議長 |
1998年 | デウバ元首相 |
1998年 | カルキ上院議長 |
1998年 | コイララ首相 |
2000年 | ラナバト下院議長 |
2000年 | バストラ外相 |
2001年 | ディペンドラ皇太子殿下 |
2003年3月 | ヤダブ下院副議長 |
2005年7月 | パラス皇太子同妃両殿下 パンディ外相 |
2007年1月 | ポーデル・コングレス党幹事長 |
2007年5月 | マハット財務相 |
2007年10月 | プラダン外相 |
2008年3月 | チャリセ首相顧問 |
2008年6月 | ガジュレル・マオイスト党幹部 |
2008年8月 | ネパール・共産党UML幹部 |
2009年2月 | バッタライ財務相 |
2009年10月 | アラム労働相 |
2010年3月 | ポーデル・コングレス党副総裁 |
2010年3月 | バンダリ観光相 |
2010年3月 | プラダナング(シュレスタ)総務相 |
2010年3月 | マハラ・マオイスト外交部長 |
2010年10月及び 2011年1月 |
ゴータム特別首相顧問 |
2011年1月 | チャンド・ネパール国軍少将 |
2011年3月 | マハト・コングレス党議員 |
2011年5月 | シェルチャン・マオイスト議員(元副首相) |
2012年1~2月 | シュレスタ副首相兼外相 |
2012年2月 | パンタ投資庁長官 |
2012年10月 | プン財務相 |
2013年5月 | シュレスタ青年・スポーツ相兼平和・復興相兼文化・観光・民間航空相 |
2014年5月 | カドカ都市開発相 |
2014年8月 | 二ディ・インフラ交通相 |
2014年10月 | パンディ外相 |
2015年2月 | マハト財務相 |
2015年2月 | グルン労働・雇用相 |
2015年3月 | パンディ外相 |
2016年11月 | ポウデル・ネパール・コングレス党上級幹部(ネパール・日本友好議員連盟会長) |
2017年2月 | ジョシ産業相 |
2017年5月 | マハラ副首相兼財務相 |
2018年11月 | ギャワリ外相 |
2019年9月 | プン・エネルギー・水資源・潅漑相 |
2019年10月 | バンダリ大統領、タパ内務相 |
7 二国間条約・取極
航空業務に関する日本国とネパール王国との間の協定、技術協力協定、青年海外協力隊派遣取極、各種援助取極等