中東
イラク共和国(Republic of Iraq)

基礎データ

平成26年2月17日

  • イラク共和国国旗

一般事情

1.面積

約43.74万平方キロメートル(日本の約1.2倍)

2.人口

約3,480万人(2013年推定:世銀)

3.首都

バグダッド(人口約700万人~800万人)

4.民族

アラブ人(シーア派約6割,スンニ派約2割),クルド人(約2割),トルクメン人,アッシリア人等

5.言語

アラビア語,クルド語(共に公用語)他

6.宗教

イスラム教(スンニ派,シーア派),キリスト教他

7.略史

 紀元前6000年頃からシュメール人が世界で最初の都市文明を興し,古代メソポタミア文明の繁栄の地となった。アッバース朝(750ー1258年)がバグダッドを首都に定め(766年),イスラム文化が興隆。その後,オスマン・トルコ等の非アラブによる支配を経て,1920年から英国の委任統治を受けた。1932年,ファイサルを王とする王国として独立,1958年共和国革命,1968年バクル将軍によるバアス党政権樹立を経て,1979年サッダーム・フセインが大統領に就任。フセイン政権の下,イラン・イラク戦争(1980年9月ー1988年8月),クウェート侵攻(1990年8月),湾岸戦争(1991年1月ー2月)等が行われた。2003年3月,米国等による対イラク武力行使が開始され,4月にはバグダッドが事実上陥落,フセイン政権は崩壊した。

政治体制・内政

1.政体

共和制

2.元首

ジャラール・タラバーニー大統領(2010年11月11日選出)

3.議会

一院制。定員325議席。任期4年。

4.政府

  • (1)首相 ヌーリ・アル・マーリキー
  • (2)外相 ホーシュヤール・マフムード・ズィーバーリー

5.内政

(1)政治プロセス
政治プロセス
2004年  6月28日 連合暫定施政当局(CPA)からイラク暫定政府に統治権限を移譲。
2005年 1月30日 国会選挙実施。投票率58%
4月28日 移行政府発足
10月15日 憲法草案についての国民投票実施。同月25日承認。(投票率約63%。賛成約79%)。
12月15日 憲法に基づく国会選挙(2006年2月最終結果発表)
2006年 3月16日 国会初会合開催
4月22日 国会において新政府の国会議長にマシュハダーニー氏(スンニ派),大統領にタラバーニー氏(クルド)が選出され,同大統領が首相にマーリキー氏(シーア派)を指名した。
5月20日 国会において首相含む40名の閣僚名簿が承認され,任期4年のイラク新政府が発足。
2008年 1月12日 旧バアス党員の復職に関する「責任と公正」法案が採択。
9月24日 地方選挙法がイラク国会で採択。
11月27日 イラク国会が,米軍駐留に関する協定案を承認。
2009年 1月31日 キルクーク県及びクルディスタン地域3県を除くイラク14県において地方議会選挙実施。
7月25日 クルディスタン地域大統領及び議会選挙実施。バラザーニー同地域大統領が再選。
12月 6日 選挙法改正案付帯決議採択。これを受け,大統領府は国会選挙日程を10年3月7日と発表。
2010年 3月 7日 イラク国会選挙実施。投票率62%。
6月 1日 イラク国会選挙結果確定。
6月14日 イラク国会初会合。
11月11日 イラク国会再開。マーリキー首相が首班指名,タラバーニー大統領及びヌジャイフィ国会議長が選出。
12月20日 閣僚名簿が国会で承認され,第2次マーリキー政権が発足。
2013年 4月20日 キルクーク県,クルディスタン地域3県,アンバール県及びニナワ県を除くイラク12県において地方議会選挙実地。
6月20日 アンバール県及びニナワ県において地方議会選挙実施。
(2)治安状況
(ア)2013年4月以降,イラク国内の治安情勢は悪化傾向。バグダッドを中心に各地で爆弾テロ等が頻発に発生し,予断を許さない状況。
(イ)駐留イラク米軍は,2010年8月に戦闘任務を終了し,5万人規模に縮小。2011年12月に全ての部隊が撤収。

外交・国防

1.外交基本方針

 内政不干渉の原則に基づき隣国との善隣外交を推進し,更に国際社会との友好関係を構築する。

2.軍事力

  • (1)予算 約170億ドル(2013年)
  • (2)兵役 18歳~40歳までの志願制(2010年)
  • (3)兵力 約67万人(2011年)

経済

1.主要産業

石油

2.一人当たりGDP

6,305ドル(2012年推定値,IMF)

3.一人当たりGNI(Atlas Method)

5,870ドル(2012年,世銀)

4.経常収支

149億ドル(GDPの7%)(2012年推定値,IMF)

5.予算(イラク政府資料)

  • (1)歳入 約1,023億ドル(2013年)
  • (2)歳出 約1,186億ドル(2013年)

6.外貨準備高

約717億ドル(2012年推定値,IMF)

7.対外債務残高

対GDP比21.4%(2012年推定値,IMF)

8.総貿易額

  • (1)輸出(FOB) 82,769百万ドル(2011年)
  • (2)輸入(FOB) 53,928百万ドル(2011年)

9.主要貿易品目

原油(政府歳入の95%)

10.主要貿易相手国(2012年)

  • (1)輸出 インド,米国,中国,韓国,日本,オランダ
  • (2)輸入 トルコ,シリア,中国,米国,韓国

11.通貨

イラク・ディナール(ID)

12.為替レート

1米ドル=1,160イラク・ディナール(2013年平均)

13.経済概況

  • 原油生産量 312万b/d(2012年)(2013年6月BP統計)
  • 原油輸出量 238万b/d(2013年11月イラク石油省発表)
  • 原油精製能力 104万b/d(2012年)(2013年6月BP統計)
  • 確認石油埋蔵量 1,500億バレル(世界第5位)(2012年)(2013年6月BP統計)
  • 日本のイラクからの原油輸入 約7.6万b/d(2012年経産省「石油統計」)
  • 豊富な石油資源を有し(世界第5位の確認石油埋蔵量(約1,500億バレル),GDPの約5割が石油部門。国家歳入の9割が石油収入でまかなわれている。今後の石油生産増加を背景に堅調な成長が見込まれる。イラク政府にとっては,収入源の石油部門と経済活動の基盤である電力部門が最重要。
  • 戦後の治安回復などの遅れが影響し,停電,断水など基礎的インフラの不足が顕著。経済活動を持続的に発展させるためにも,電力,水,運輸等の基礎インフラの整備が急務。
     イラク政府は,国家開発計画(2013年-2017年)を策定し,石油依存の産業構造から脱却し,経済の多様化に向け石油収入を適切に開発へ充当し,産業・エネルギー・農業・観光を重点的に振興する目標を設定。

経済協力

1.我が国の援助実績

  • (1)2003年にマドリッドで開催された国際イラク復興支援国会合において,我が国は総額50億ドル(15億ドルの無償資金協力及び最大35億ドルの円借款)の支援パッケージを表明。2012年5月,4案件の円借款に署名したことを受け,2003年の国際公約を達成。
  • (2)無償資金協力については,イラク国民の生活水準の回復のための当面の支援を目的としたもので,保健,水・衛生,治安等の分野で16.7億ドルの支援を実施済。
  • (3)円借款については,中期的な復興需要に応えるために,港湾,橋梁,道路,石油施設,火力発電所等の分野で20案件(約45億ドル)に関する交換公文を署名済。
  • (4)2005年,我が国は約67億ドルの債務削減に関する文書に署名し,2008年12月までに完了。

2.主要援助国(2010-2011年)

  • (1)米国
  • (2)日本
  • (3)オーストラリア
  • (4)トルコ
  • (5)ドイツ

3.技術協力

 現在までに5,300人以上のイラク人を対象に,エネルギー,農林水産,保健・医療,公共・公益事業ガバナンス等の各分野で本邦研修及び第三国研修を実施。

二国間関係

1.政治関係

(1)日イラク政治関係の経緯(2003年以降の要人往来については,下記に記載)
 1939年11月,日本側公使館がバグダッドに開館。1955年12月,イラクは在京公使館を設立。1960年1月,第二次大戦中の閉鎖を経て,日本側公使館は大使館に格上げされた。同年,在京イラク公使館も大使館に格上げ。1991年1月,イラクによるクウェート侵攻・併合に抗議
 1991年9月,在イラク日本大使引き上げ以降,日本は,イラクとの二国間関係は関連安保理決議の履行状況等を踏まえながら進めるとの立場。(その間も,2003年3月及び5月の茂木外務副大臣(総理大臣特使)のイラク訪問, 2004年3月のアッバーディー暫定通信相,ウルーム3月期統治評議会議長,ラヒーム暫定工業・鉱物相,ラシード暫定水資源相,ウブード暫定農業相,マアジューン暫定労働・社会問題相,カリーム暫定環境相の訪日等要人往来が行われた。)
 2004年6月28日,連合暫定施政当局(CPA)よりイラク暫定政府に統治権限が移譲。イラク暫定政府の発足を受け,日本は同政府を承認。
(2)東日本大震災を受けたイラクからの支援
 2011年,東日本大震災に際して,イラク閣僚評議会は,東日本大震災の被災者を支援するため,1,000万ドルの義援金供与,及びイラク産原油輸入に係る日本企業の求めに応じることを承認。
(3)日イラク・ハイレベル政策協議
 2009年以降,二国間情勢,地域情勢等を協議する日・イラク外務省間のハイレベル政策協議が3回実施されている。

2.経済関係

対日貿易
(1)貿易額(2012年/財務省統計資料)
対日輸出 約2,236億円
対日輸入 約286億円
(2)主要品目
輸出 石油
輸入 機械類,自動車等
二国間関係強化の取組
(1)経済フォーラム,セミナーの実施
2008年7月2・3日:第1回経済フォーラム
2009年12月20・21日:第2回経済フォーラム
2009年7月10日:イラク投資誘致ミッション訪日(東京)
2011年11月21日:日イラク産業協力会議実施(東京)
2012年3月6日:日バスラ県経済ビジネスセミナー実施(東京)
2012年7月5日:日イラクにおける日本トルコ・ビジネスパートナーシップ会合(イスタンブール)
(2)官民経済ミッションの派遣
2009年3月1日:バグダッド
2011年2月7日:バグダッド
2011年6月4日:バスラ
2012年9月25日~27日:官民合同医療ミッション(バグダッド)
2013年2月24日~25日:官民合同水ミッション(バスラ)
2014年2月2日~4日:官民合同水ミッション(バグダッド)
(3)見本市参加
2011年11月1日:バグダッド国際見本市(官民ミッション派遣)
2012年11月1-2日:バグダッド国際見本市(官民ミッション派遣)
2013年10月10-20日:バグダッド国際見本市
(4)投資協定
2011年9月12-14日:日イラク投資協定第一回交渉会合開催(東京)
2011年10月25-27日:第二回交渉会合開催(バグダッド)
2011年11月23日:日・イラク投資協定原則合意
2012年6月7日:日イラク投資協定署名(2014年2月25日発効)
(5)経済合同委員会
2012年5月29日:第一回閣僚級会合開催(東京)
2013年5月19日:事務レベル会合開催(バグダッド)
(6)ODAモニタリング会合
 円借款案件の進捗状況を日イラク双方が確認しあうため、2008年7月からODAモニタリング会合を四半期に1度開催。

3.文化関係

(1)教育
  • 国際交流基金によるサマーワ地域中高教員招聘(2004年10月)
  • 2005年より国費留学生の募集再開(2006年に日本研究留学生として2名招聘)
(2)文化
  • バクダッド国立博物館館長の招聘(2004年3月・4月)
  • イラク現代演劇グループ「アル・ムルワッス」の招聘(2004年10月)
  • 2003年より国際交流基金スキームにより「おしん」「プロジェクトX」をイラクのテレビ局にて放映
(3)スポーツ
  • イラク代表サッカーチームの訪日支援 (2004年2月)
  • スポーツ交流支援事業によるイラク柔道連盟会長招聘(2004年2月・3月)
  • 青年スポーツ省(ムサンナー県)に対するサッカー用具の供与(2004年5月)
  • イラク・オリンピック委員会に対するスポーツ器材の供与(2004年8月引渡)
  • イラク柔道連盟事務局長,柔道選手の招聘(2006年1月)
  • イラク・レスリング協会メンバーの招聘(2007年8月)

4.要人往来

(往訪)
要人名
2003年 3月 茂木外務副大臣(総理大臣特使)
2003年 5月 茂木外務副大臣(総理大臣特使)
2004年 12月 大野防衛庁長官(サマーワ)
2004年 12月 冬柴・武部両幹事長(サマーワ)
2005年 12月 額賀防衛庁長官(サマーワ)
2006年 8月 3日 麻生外務大臣(バグダッド。1987年9月倉成外務大臣以降初)
2008年 6月25日 甘利経済産業大臣(バグダッド)
2008年 12月21-22日 橋本副大臣(バグダッド,サマーワ)
2009年 1月28日 安倍元総理大臣(総理大臣特使)(バグダッド)
2009年 12月20日 武正外務副大臣,松下経済産業副大臣(バグダッド)
2011年 1月10日 大畠経済産業大臣(バグダッド)
2013年 12月15日-16日 岸外務副大臣(バグダッド,エルビル)
(来日)
要人名
2003年 10月 アッラーウィー暫定商務相(10月期GC議長)
10月 オベイディー保健省副大臣
12月 バグダッド市評議会議員10名
2004年 1月 サッファール保健省副大臣
3月 アッバーディー暫定通信相
3月 ウルーム3月期統治評議会議長,ラヒーム暫定工業・鉱物相,ラシード暫定水資源相,ウブード暫定農業相,マアジューン暫定労働・社会問題相
3月 カリーム暫定環境相
10月 ハッサーニ・ムサンナー県知事
10月 イラク復興信託基金東京会合代表団:サーレハ暫定政府副首相(団長),ハーフェズ計画開発協力相,サーマッラーイ電力相,ハキーム通信相,アルワーン保健相)
2005年 3月 ゼイン暫定産業・鉱物省副大臣
6月 アル・ハサニー移行国会議長
10月 ベルワーリー都市・公共事業相
11月 ズィーバーリー外相
12月 ジャアファリー首相及びウルーム石油相
2006年 10月 シャハリスターニー石油相
2007年 3月 ハーシミー副大統領
4月 マーリキー首相
2008年 6月 アーニー大統領府長官
2009年 6月 ズィーバーリー外相
7月 シャハリスターニー石油相,ハリーリ産業鉱物資源相
2010年 1月 シビービ・イラク中央銀行総裁
10月 アルハッサン・ズィカール県知事
2011年 11月 マーリキー首相
2012年 3月 アブドゥッサマド・バスラ県知事,アブドゥルラッザーク・バグダッド県知事
2012年 5月 ズィーバーリー外相
10月 イーサーウィー財務相
12月 サーマッラーイー科学技術相
2013年 5月 ガドバーン・イラク首相顧問会議議長
9月 アバーディー国会財務委員長
10月 スレイワ環境相
12月 シャハリスターニー副首相,バービキル貿易相

6.二国間条約・取極

  • 貿易協定(1964年9月7日発効)
  • 司法共助取極(1968年5月7日発効)
  • 技術協力協定(1974年11月11日発効)
  • 文化協定(1979年3月7日発効)
  • 航空協定(1979年3月7日発効)

7.外交使節

  • (1)梨田和也 駐イラク特命全権大使
  • (2)アラー・アブドゥルマジード・アル・ハーシミー 駐日イラク特命全権大使
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