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平成22年4月
2009年は、日本が、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、そしてブルガリアという、ヨーロッパ大陸を流れるドナウ川流域に位置する4つの国々と外交上重要な節目を迎える年でした。「日本・オーストリア外交関係開設140周年」、「日本・ハンガリー外交関係開設140周年及び外交関係再開50周年」、「日本・ルーマニア外交関係再開50周年」、そして「日本・ブルガリア外交関係再開50周年」を迎えた2009年を、外務省では「日本・ドナウ交流年2009」と位置づけ、日本とこの4カ国との一層の友好関係発展、相互理解増進を目的として、一年を通じて、以下でご紹介する人物交流や文化交流を含む、多種多様な外交行事を実施しました。また交流年においては、地方自治体や友好団体、一般市民の方々が主催する200件を越える交流年認定事業(イベントカレンダー)が開催されました。このように、「日本・ドナウ交流年2009」は、日本と4カ国との友好親善に携わる各国元首や政府関係者、友好団体、一般市民の方など、幅広い社会層から多くの方々の参加を得て、共に各国との長い友好の軌跡を振り返り、その友好の歴史を改めて未来へと繋げていくことを確認する年となりました。
2008年6月、「日本・ドナウ交流年2009」のロゴマークが発表されました(平成20年6月24日付プレスリリース)。4カ国を流れるドナウ川と日本のシンボルとして定着している桜の花をモチーフとしたこのロゴマークは、2009年の交流年をとおして、200件以上の交流年認定事業に対して付与された他、様々な行事や印刷物(「日本・ドナウ交流年2009」パンフレット)(「日本・ドナウ交流年2009」ポスター)で広く使用され、多くの人々に親しまれました。
「日本・ドナウ交流年2009」開催に際し、日本では秋篠宮殿下が、オーストリアではフィッシャー大統領、ハンガリーではショーヨム大統領、ルーマニアではバセスク大統領、そしてブルガリアではパルヴァノフ大統領が交流年名誉総裁に就任し、その成功へ向けた力強いサポートを得ることができました。
ハインツ・フィッシャー
オーストリア大統領
ショーヨム・ラースロー
ハンガリー大統領
トライアン・バセスク
ルーマニア大統領
ゲオルギ・パルヴァノフ
ブルガリア大統領
2009年の交流年開幕に当たり、麻生総理(当時)は、関係4カ国の首相との間で年頭祝賀メッセージを交換し、この記念すべき年に際して、日本と各国との協力関係の拡大・深化を目指すとの決意を相互に確認しました(平成21年1月13日付プレスリリース)。
2009年4月14日、中曽根外務大臣(当時)の主催により、「日本・ドナウ交流年2009」記念レセプションが、交流年日本側名誉総裁である秋篠宮殿下と紀子妃殿下の御臨席の下、開催されました(プレスリリース)。中曽根外務大臣、そして秋篠宮殿下による挨拶で開幕したレセプションでは、オーストリア、ハンガリー、ルーマニアそしてブルガリアの駐日大使や、日頃から日本と各国との友好関係発展のために尽力されている政治・経済・文化界から170名を超える関係者が一同に会し、共に2009年の交流年の開催を祝いました。
レセプションでは、中・東欧諸国と縁の深いヴァイオリニスト天満敦子さんにより、ルーマニアの作曲家チプリアン・ポルンベスクによる「望郷のバラード」が演奏され、また、オーストリアのザッハトルテ、ハンガリーのグヤーシュ、ルーマニアのサルマーレ、ブルガリアのムサカといった4カ国の代表的な料理が供され、音楽や食文化を通じた、関係5カ国間の良き交流の場となりました。
「日本・ドナウ交流年2009」の日本側名誉総裁である秋篠宮殿下及び紀子妃殿下は、各国との友好親善の増進を目的として、5月10日から22日にかけて、オーストリア、ブルガリア、ハンガリー及びルーマニアを順に御訪問になりました(宮内庁ホームページ )。各国では、大統領との御会見や市民の方々との交流の場を持たれたほか、地方都市に赴かれ、それぞれの国の伝統や文化風習に直接触れられる機会を持たれました。
秋篠宮同妃両殿下の4カ国御訪問の様子は、連日各国のメディアで大きく報道され、「今回の御訪問は両国民の相互理解増進に向けて極めて大きな意義を持つ」(5月20日「REALITATEA」テレビ(ルーマニア))として、日本と各国との友好関係を象徴するものと受け取められました。
オーストリア御訪問(於:日本人学校)
ブルガリア御訪問(於:スモリャン歴史博物館)
ハンガリー御訪問(於:ブガツ市民族レストラン)
ルーマニア御訪問(於:桜の木記念植樹式典)
「日本・ドナウ交流年2009」の機会には、オーストリア、ハンガリー、ルーマニア、そしてブルガリアから各国の名誉総裁である大統領が来日されました。
2009年1月、パルヴァノフ・ブルガリア共和国大統領夫妻が公式実務訪問賓客として来日され、天皇皇后両陛下との御会見及び午餐、首脳会談及び夕食会(共同プレスリリース)(概要)等の公式行事の他、大相撲観戦やトラキア黄金展オープニングへの出席、京都訪問等を行いました(概要と評価)。
パルヴァノフ大統領夫妻(於:在京ブルガリア大使館主催レセプション)
2009年9月、フィッシャー・オーストリア共和国大統領夫妻が公式実務訪問賓客として来日され、天皇皇后両陛下との御会見及び午餐、鳩山総理との首脳会談及び夕食会(概要)等の公式行事の他、ハプスブルグ展視察、日本企業訪問、京都訪問等を行いました。
フィッシャー大統領夫妻(於:京都迎賓館)
ショーヨム大統領(於:富士山麓)
2009年11月、ショーヨム・ハンガリー共和国大統領が公式実務訪問賓客として来日され、天皇陛下との御会見及び午餐、首脳会談及び夕食会(概要)等の公式行事の他、富士山麓の散策や紅葉の美しい京都訪問等を通し、日本の自然も堪能されました。
2010年3月、バセスク・ルーマニア大統領夫妻が公式実務訪問賓客として来日され、天皇皇后両陛下との御会見及び午餐、鳩山総理との首脳会談及び夕食会(概要)等の公式行事の他、ルーマニア経済フォーラム(日本商工会議所及び東京商工会議所主催)において基調講演を行いました。また、首脳会談後には両首脳立ち合いの下、ブカレスト国際空港アクセス鉄道建設計画に対する我が国の円借款供与に関する交換公文等署名式が行われました。
(写真提供:内閣広報室)
「日本・ドナウ交流年2009」では、4カ国共通の記念行事の他、各国ごとにそれぞれの周年を祝賀しました。
外交関係開設140周年を迎えたオーストリア(当時はオーストリア=ハンガリー二重帝国)との間では、1月にシュピンデルエッガー外相、プラマー国民議長が、9月末にはフィッシャー大統領夫妻が訪日するなど、活発な要人往来が実現しました。また、「ハプスブルク展」や「能楽ウィーン公演」など、様々な交流事業が日・オーストリア双方で実施され、両国市民は互いの国に対する認識をより一層深めることができました。
鳩山総理もフィッシャー大統領との首脳会談で、こうした交流を歓迎する旨述べるなど、2009年は両国関係の発展にとって大変意義深い年となりました。
外交関係開設140周年(当時はオーストリア=ハンガリー二重帝国)及び外交関係再開50周年を迎えたハンガリーとの間では、ハンガリーの民族楽器であるツィンバロン・リサイタルを始め、様々な音楽会、展示会等が行われました。11月にはハンガリーの首都ブダペストの中心を流れるドナウ河に架かる美しい橋、エリザベート橋がライトアップされました。
外交関係開設時のハンガリー王妃、エリザベートの名を冠するこの橋は、今後、両国間の友好の象徴として輝き続けることでしょう。交流年のフィナーレとして、12月にはショーヨム大統領が訪日しました。
外交関係再開50周年を迎えたルーマニアとの間では、09年5月の秋篠宮同妃両殿下がルーマニアを御訪問された際に、ブカレストにある農村博物館において桜の木記念植樹式典が行われました。それ以降、両殿下が御植樹された前の小道は「日本の桜の小道」と名付けられ、ルーマニアの人々に親しまれています。外交関係再開記念日である9月1日を含む1週間に同博物館にて交流年記念イベントとして行われた「日本週間」文化行事では、週末だけでも約8,000人の来場者が集まり、折り紙、生け花、書道、茶道の各種ワークショップやルーマニアにおいて初めてお目見えした日本の電気自動車展示でにぎわいました。
こうして、両国の良好な友好関係を再確認できる年となりました。
外交関係再開50周年を迎えたブルガリアとの間では、交流年に合わせ、ブルガリアの古代トラキア黄金文明の展覧会が、日本全国7カ所で開催され、延べ23万人が訪れました。
また、ブルガリアでは、日本政府の援助により古代トラキア文明の遺産を保存・研究する東ロドピ山トラキア美術博物館センターが完成し、パルヴァノフ大統領夫妻及び秋篠宮同妃両殿下が共にその落成をお祝いになりました。また、ブルガリアで毎年秋に開催されてきた日本文化月間も第20回を迎え、計16件の日本文化紹介イベントが国内5都市で実施されました。交流年の名誉総裁であるパルヴァノフ大統領もその祝辞の中で、2009年は両国が外交関係再開50周年を迎える重要な年であり、日本は、ブルガリアにとり重要なパートナーであり、最大の友人の一人である旨述べるなど、2009年は両国の友好関係を象徴する年となりました。