欧州連合(EU)

世界地図アジア | 北米 | 中南米 | 欧州(NIS諸国を含む) | 大洋州 | 中東 | アフリカ

EUにおける通貨統合

平成20年4月

1.通貨統合の歴史

 欧州において単一通貨を導入しようとする構想は、古くは第二次世界大戦前から存在したが、具体的に動き出したのは、1989年に欧州共同体(EC=後の欧州連合EU)がEMUの完成へ向けて、以下の具体的なロードマップを定めた以降である。

2.ユーロの導入

(1)銀行間取引など非現金取引を対象に、単一通貨ユーロは1999年1月1日から導入された。同時に欧州中央銀行による統一的金融政策が開始され、ユーロ圏各国は独自に金融政策を行う権限を失った。この時からユーロに参加したのはドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド、オーストリア、フィンランド、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグの11か国であり、経済収斂基準の達成が間に合わなかったギリシャは2001年1月から遅れてユーロに参加した。一方、これら以外のEU加盟国(英国、デンマーク、スウェーデン)は、国内世論の支持が得られなかったこと等によりユーロへの参加を見送った。

(2)2002年1月1日よりユーロ参加国内において、ユーロ貨幣の流通開始。

3.ユーロ非参加国

 EC条約においては、EU加盟国は、基本的にEMU(経済通貨同盟)に参加し、単一通貨ユーロを導入することが想定されている。但し、EC条約第122条に適用除外規定(オプト・アウト)が認められており、英国とデンマークは適用除外が認められている。また、一定の経済収斂基準を満たしていない国(スウェーデン及びスロベニアを除く2004年及び2007年加盟の11か国)は、「Member States with a derogation」(ユーロ非参加国)として、条約の規定の一部及び欧州中央銀行制度(ESCB)の権利義務の一部の適用を除外されている。

4.EU新規加盟国のユーロ導入の展望

(1)EUに2004年5月に加盟した10か国及び2007年1月に加盟した2か国のうち、ユーロを2007年1月に導入したスロベニア及び2008年1月に導入したマルタとキプロスを除く9か国は、「ユーロ非参加国」としての扱いである。これら諸国がユーロを導入するためには、物価上昇率・財政赤字・為替安定・金利の経済収斂基準を満たす必要がある。このうち為替安定に関しては、欧州通貨制度(EMS)の為替相場メカニズム(ERM II)への参加が法的に要請されており、ユーロに対する自国通貨の標準変動幅を2年間、上下15%の範囲とする必要がある。

(参考)経済収斂基準

  1. 物価:過去1年間、消費者物価上昇率が、消費者物価上昇率の最も低い3か国の平均値を1.5%より多く上回らないこと。
  2. 財政:過剰財政赤字状態でないこと。
    (財政赤字GDP比3%以下、債務残高GDP比60%以下)
  3. 為替:2年間、独自に切り下げを行わずに、深刻な緊張状態を与えることなく欧州通貨制度の為替相場メカニズムの通常の変動幅を尊重すること。
  4. 金利:過去1年間、長期金利が消費者物価上昇率の最も低い3か国の平均値を2%より多く上回らないこと。

(2)新規加盟国のうち既にユーロを導入したスロベニア、マルタ、キプロスを除く9か国は、総じて可能な限り早期のユーロ導入を望んでいるが、財政赤字やインフレ率といった経済収斂基準を満たすには相当な期間を要すると見られる国もある。

(3)ユーロ導入の準備段階として、2004年6月27日にリトアニア、エストニア、スロベニアが、2005年4月29日にキプロス、ラトビア、マルタが、2005年11月25日にスロバキアがERM IIへ参加した(2年間、ERM IIの下で欧州通貨制度の通常の変動幅を維持する)。現在、新規加盟国から既にユーロを導入したスロベニア、マルタ、キプロスを除く9か国のうち、ERM IIに参加していない国は、チェコ、ポーランド、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニアの5か国となる。

(4)新規加盟国のユーロ導入の見通し

2008年4月時点
国名 ユーロ導入目標年(政府方針)
スロバキア 2009年1月
ルーマニア 2014年
ラトビア 未定
リトアニア 未定
エストニア 未定
チェコ 未定
ハンガリー 未定
ブルガリア 未定
ポーランド 未定

(出典:欧州委員会)

このページのトップへ戻る
前のページへ戻る | 目次へ戻る