欧州(NIS諸国を含む)
キプロス共和国(Republic of Cyprus)

基礎データ

平成26年4月24日

  • キプロス共和国国旗

一般事情

1.面積

9,251平方キロメートル(四国の約半分)

2.人口

約86.2万人(キプロス共和国政府統計局:2011年末時点)
(注)1974年のトルコ軍による軍事侵攻以降,キプロスは南部のキプロス共和国実効支配地域と北部のトルコ軍実効支配地域とに分かれており,上記人数は前者地域の人口。後者地域の人口については公式な数が不明である。

3.首都

ニコシア(人口約33.6万人:キプロス共和国政府統計局:2011年末時点)

4.民族

ギリシャ系(キプロス共和国実効支配地域),トルコ系(トルコ軍実効支配地域),その他(マロン派,アルメニア系等)

5.言語

公用語:現代ギリシャ語,トルコ語(この他,英語が広く用いられている。)

6.宗教

ギリシャ正教,回教,その他(マロン派,アルメニア教会等)

7.国祭日

10月1日(独立記念日)

8.略史

年月 略史
1960年8月16日 英国より独立を宣言
1974年7月15日 ギリシャ軍部指導によるクーデター
1974年7月20日 トルコ軍キプロス侵攻
1983年11月15日 トルコ占領地域,一方的に「北キプロス・トルコ共和国」独立を宣言
2004年5月1日 EU加盟
2008年1月1日 ユーロ加盟

政治体制・内政

1.政体

共和国(大統領制,大統領は元首兼行政の長)

2.元首

ニコス・アナスタシアディスMr. Nicos ANASTASIADES)大統領
(2013年就任,任期5年)

3.議会

  • 一院制80議席
    (但し現在ギリシャ系56議席のみで構成,任期5年)
  • 議長:ヤナキス・オミル(Yiannakis OMIROU)(2011年就任)

4.政府

5.内政

  • (1)2008年2月に実施された大統領選挙で,フリストフィアス労働者進歩党(AKEL)党首(当時)が新大統領に選出され,パパドプロス前政権に引き続き,AKEL - 民主党(DIKO) - 社会民主運動党(EDEK)の連立政権が樹立された。2011年5月に実施された国会議員選挙結果に基づく議席配分は下記のとおり。
  • 国会議席配分(2011年5月議会選挙結果)
    政党 議席数
    (a)民主運動党(DISY) 20議席
    (b)労働者進歩党(AKEL) 19議席
    (c)民主党(DIKO) 9議席
    (d)社会民主運動党(EDEK) 5議席
    (e)欧州党 2議席
    (f)環境運動党 1議席
  • (2)2011年7月,キプロス海軍基地内において爆発事故が発生し,政府及びフリストフィアス大統領への批判が高まる中,全閣僚が辞表を提出。8月,キプロス問題を巡る立場の相違によりDIKOが連立を離脱し,AKEL及び無所属による改造内閣が樹立。
  • (3)2013年2月に大統領選挙が行われ,野党・民主運動党(DISY)党首のアナスタシアディス氏が与党AKELの支持を受ける候補を下して大統領に選出された。新政権の当面の課題は金融・財政危機及びキプロス問題の解決。
  • (4)2014年3月,内閣改造が実施され,保健,国防,通信・公共事業,教育・文化の4大臣が交代。

外交・国防

1.外交基本方針

(1)キプロス問題の解決(ギリシャ系地域及びトルコ系地域の再統一)が最重要外交問題。
(ア)キプロス問題の経緯
(a)キプロスは1960年に英国よりキプロス共和国として独立。ギリシャ系住民とトルコ系住民の間で対立衝突が激化したため,国連安保理は64年に国連キプロス平和維持隊(UNFICYP)を派遣。
(b)1974年,ギリシャ軍事政権の支持を得たギリシャ系住民がクーデターを企図したのを機にトルコ軍がトルコ系住民の保護を名目に侵攻し,キプロス北部約37%を占領した。以降,キプロスは北部のトルコ軍支配地域(トルコ系)と南部のキプロス共和国政府支配地域(ギリシャ系)とに分断されている(トルコ系の「北キプロス・トルコ共和国」は1983年に独立を宣言。トルコのみ承認)。
(c)2004年2月,両系代表は,アナン事務総長の呼びかけに応え,キプロスがEUに加盟する同年5月までの問題解決に向け,所謂アナン案(キプロス問題に関する国連事務総長による包括的合意案)に基づく直接交渉を再開。同年4月,アナン事務総長が提出した最終案が両系キプロスにおける住民投票にかけられたが,ギリシャ系地域において過半数の賛成票を得られず否決され,キプロスの再統一は達成されなかった。
(d)2004年5月1日,キプロス共和国は南北に分かれたままEUに加盟。
(参考)「包括的合意案」(アナン案)
 両系の主張を盛り込む形で作成した具体的合意案。キプロスをギリシャ系及びトルコ系構成国家からなるキプロス連合共和国とすること,大統領相当職の輪番制,両系間の住民の移住制限,両系間の境界画定等を盛り込んでいる。
(イ)キプロス問題を巡る最近の動き
(a)2008年2月,キプロス共和国において大統領選挙が実施され,キプロス問題解決に前向きな姿勢を示すフリストフィアス大統領が選出。同年3月,フリストフィアス大統領就任後初めてタラット・トルコ系キプロス代表(当時)との間で南北首脳会談が実現。4月にはキプロス分断の象徴とされていたレドラ通りの封鎖が解除された。
(b)2008年9月3日,ダウナー国連事務総長特別顧問同席の下,南北両首脳によるキプロス問題本格交渉が開始。交渉は主に,1)統治と権力分割,2)財産権,3)EU問題,4)経済問題,5)領域,6)安全保障,の6分野について実施されてきたが,交渉は期待されていたようには進展しなかった。
(c)2010年4月の所謂「北キプロス大統領選挙」において,キプロス再統一に消極的な姿勢を示してきたエロール氏が選出。キプロス問題交渉の進展を不安視する声もあったが,2010年5月のフリストフィアス=エロール間第一回直接交渉で両系代表はこれまでの交渉成果を前提に交渉を継続する旨表明し,定期的に交渉を実施してきた。
(d)バン・キムン国連事務総長は,2010年11月,2011年1月,7月,10月,2012年1月と,計5回にわたって両系代表との三者会談を行いキプロス問題の解決を促しているが,両系代表は,2012年1月の会談においても同問題の国内的側面(統治,財産権,市民権)に関して合意することができなかった。国連事務総長は同会談後,2012年3月末のダウナー国連事務総長特別顧問によるレビュー報告の内容が前向きな場合には同年4月末又は5月初めに多国間会議(注:安全保障等のキプロス問題の国際的側面を話し合うための会議)を招集する意向を示したが,最終的に,国内的側面に関する議論の収斂が見られなかったため,同時期の多国間会議の開催を断念し、直接交渉は中断した。
(e)2014年2月,国連キプロス平和維持隊(UNFICYP)ブッテンハイム長官の仲介の下,アナスタシアディス・キプロス共和国大統領とエロール北側代表との間で直接交渉を再開。
(2)EU
(ア)2002年12月のコペンハーゲン欧州理事会において,キプロスを含む10カ国に対し新規加盟招請がなされ,2004年5月1日,キプロスは長年の外交目標であったEU加盟を果たした。
(イ)1974年以降分断状況が続いている北部のトルコ軍支配地域の扱いにつき,EUは,キプロス共和国をしてキプロス島全体を代表する政府と見なすが,北キプロス地域についてはキプロス共和国の実効的支配が及んでいないため,キプロスが再統一されるまで同地域へのEU法体系の適用は延期されるとの解釈をとっている。
(ウ)キプロスは,2012年7月から12月,EU議長国を務め,EU外務理事会における日EU・EPA及び政治分野等に関する国際約束の交渉権限の採択,欧州単一特許に関する交渉妥結,多年度予算枠組の交渉の進展等において成果を上げた。
(3)中東政策
(ア)地理的事情から,キプロスは中東情勢に強い関心を有しており,イスラエルを含む中東諸国とは良好な二国間関係を維持している。
(イ)イラク戦争の際には国連イラク人道調整官事務所やオペレーション機能の一部がキプロスに置かれ,2006年7月のレバノン危機(イスラエルによる空爆)の際には各国がレバノン在留邦人をキプロス経由で避難させるなど,中東情勢の不安定化に伴いキプロスの重要性が高くなり,また,国際社会の要望を積極的に受け入れたキプロスの姿勢は高く評価された。

2.軍事力

(1)予算 365百万ドル(2011年)
(2)兵役 徴兵制24か月
(3)兵力 国家守備隊12,000人
(出典:2012年ミリタリー・バランス)

経済

1.主要産業

観光業,金融業,海運業

2.GDP

約230億米ドル(2012年 IMF(国際通貨基金))

3.一人当たりGDP

約26,387米ドル(2012年 IMF)

4.GDP成長率

2.4%(2012年 IMF)

5.物価上昇率

3.09%(2012年 IMF)

6.失業率

12.1%(2012年 IMF)

7.総貿易額

  • (1)輸出 約18.26億ドル(2012年 インターナショナルトレードセンター)
  • (2)輸入 約73.76億ドル(2012年 インターナショナルトレードセンター)

8.主要貿易品目

  • (1)輸出 医薬品,電子部品,有機化学材料
  • (2)輸入 石油,石油製品,機械類,電気製品

9.主要貿易相手国

  • (1)輸出 ギリシャ,ドイツ,英国,イタリア,ロシア
  • (2)輸入 ギリシャ,イタリア,ドイツ,英国,イスラエル

10.通貨

ユーロ

11.為替レート

1ユーロ=約140円(2014年1月現在)

12.経済概況

  • (1)東地中海に位置するキプロスは,ヨーロッパ,アジア,アフリカの接点という地理的な利点を持ち,経済成長に向け積極的に外国投資を誘致しており,法人税についてはEUの中で最低水準(12.5%)となっている。
  • (2)1960年英国から独立した当時は農業,手工業を中心としていたが,政府が効率的な経済政策を実施し,順調な経済発展を達成した。1974年のトルコ軍侵攻により経済的打撃を受けたものの,その後立ち直りを見せ,観光,オフショア企業の誘致を通じ,1980年代は年率5%の経済成長を見せた。
  • (3)キプロスの立地条件及び低税率は国内外の船主・企業の関心を呼び,海運業,金融業,その他サービス業が盛ん。また,観光業についても,毎年200万人を越す旅行者がキプロスを訪問しており,産業の大きな柱となっている。
  • (4)2004年にEU加盟,2008年にユーロを導入。EU加盟以来,付加価値税や法人税の引き上げなどEU規則との税制調和を行ってきた。世界経済フォーラムの世界競争力報告2011~2012は,キプロスを142ヶ国中47位に位置づけている。
  • (5)ギリシャ債務危機に際し,キプロス各銀行が大量に保有しているギリシャ国債のPSI(Private Sector Involvement:民間部門関与)による債券交換に応じたため,キプロスの金融・財政は深刻な状況になり,政府による銀行資本増強措置,財政再建措置等では対応できなくなり,2012年6月,キプロス政府はEU及びIMFに支援要請を行った。2013年3月,ユーログループは100億ユーロ(欧州金融メカニズム(ESM)から最大90億ユーロ,IMFから最大10億ユーロ)のキプロス支援を決定し,同年5月,IMFも理事会にてキプロス支援を承認した。
  • (6)一方,キプロス政府は,2011年12月に同国EEZ内ブロック12の天然ガス埋蔵見込量が5兆~8兆立方フィートである旨発表し,同ブロックの開発を進めている他,2013年1月及び2月には他の5区画につき多国籍企業との間で掘削権に関する契約を結んだ。天然ガス資源の発見は,キプロスの長期的な経済発展の将来性を生み出すものである。

経済協力

1.日本の援助実績

  • (1)有償資金協力 なし
  • (2)無償資金協力 なし
  • (3)技術協力実績(1982~1998年累計) 0.93億円

二国間関係

1.政治関係

伝統的に友好関係。
日本は所謂「北キプロス・トルコ共和国」不承認の立場。

2.経済関係

(1)日キプロス貿易の推移(単位:億円)
日本→キプロス キプロス→日本 収支
2004 576 11 565
2005 321 20 301
2006 488 29 449
2007 859 23 836
2008 757 24 733
2009 218 27 191
2010 178 1.2 176.8
2011 220 69 151
2012 170 21 149

(出典:財務省統計)

(2)主要輸出入品目
日本→キプロス 自動車及び部品,船舶類,機械類等
キプロス→日本 石油製品,機械類,魚介類,果実等

(出典:財務省統計)

3.文化関係

1982年7月現代舞踊グループが国際交流基金の派遣によりリマソール芸術祭に参加。
1986年3月国際交流基金60年度事業にてキプロス教育研究所に図書寄贈。
1993年万博基金助成事業によりキプロス神経・遺伝学研究所に対し電子顕微鏡を寄贈。
1996年3月国際交流基金事業によりキプロス大学に図書寄贈。
2000年11月日・キプロス修好40周年を祝い,キプロスにおいて日本文化週間を開催。
2005年「日・EU市民交流年」の枠組みで,5月に「日本文化週間」として現代日本映画祭,生け花展示会及び書道レクチャー・デモンストレーション・ワークショップを開催。
2010年10月日・キプロス国交50周年記念事業として総合文化行事「キプロスにおける日本週間」を開催。
2011年12月
~2012年1月
東日本大震災被災地の生徒25名のキプロス訪問(キプロス外務省主催招聘プログラム)。
2012年5月非核特使・松島圭次郎氏のキプロス訪問(キプロス国会招聘。キプロス国会主催行事にて被爆経験につき証言)。
2013年10月在外公館文化事業で邦人ピアニスト・リサイタルを実施。

4.在留邦人数

50人(2012年8月現在)

5.要人往来

(1)往
年月 要人名
1990年 小宮山衆議院議員を団長とする超党派議員団(IPU総会)
1991年 連合参議院PKO視察議員団
1996年 小川外務政務次官
2002年 瓦 日・キプロス友好議員連盟会長
2013年 衆議院欧州各国議会制度等調査議員団
(2)来
年月 要人名
1970年 マカリオス大統領(国賓),(キプリアヌー外相同行)
1973年 コロカシディス商工相
1982年 キプロス貿易代表団(アンドレウ商工相が団長)
1984年 キプリアヌー大統領,ヤコヴ外相
1989年 ヴァシリウ大統領,ネミツァス商工相(大喪の礼)
1990年 海事・商業代表団(カツリデス大統領顧問が団長)
ヴァシリウ大統領(即位の礼)
1991年 ネミツァス商工相
1994年 アダミーディス通信・公共事業相
1997年 カスリーディス外相(外務省賓客)
1999年 ロランディス商工観光相
2000年 ピリシス外務事務次官
2004年1月 リリカス商工観光相
2005年5月 ヤコヴ外相
2007年10月 ネオフィートゥー・キプロス日本友好議員連盟会長他
2010年10月 エミリウ外務事務次官
2012年7月 マヴロヤニス大統領直轄欧州問題担当副大臣
2013年11月 ペトリディス大統領府次官

6.二国間条約・取極

  • 査証及び査証料免除取極(1972年9月締結)

7.外交使節

日本側
在キプロス日本大使館(在ギリシャ日本大使館が兼轄)
在リマソール名誉総領事(アンドレアス・ネオクレウス名誉総領事)
キプロス側
在日キプロス大使館(在中国キプロス大使館が兼轄)
在京キプロス名誉総領事(菊間潤吾名誉総領事)
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