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最近のブルネイ情勢と日・ブルネイ関係

平成24年3月

1.内政

(1)「マレー主義、イスラム国教、王政擁護」(頭文字を取って「MIB」と言われる)を掲げる立憲君主制(国王は世襲制)。1967年10月5日に即位したハサナル・ボルキア現国王(第29代スルタン)は、1984年の独立と同時に、首相、財務相及び内相を兼務し、現在も首相、財務相及び国防相を兼務しており、政治権力を集中的に掌握している。また、スルタンである国王は宗教的権威でもある。国王の実弟であるモハメッド・ボルキア親王は、外務貿易大臣を務めている。

(2)国王は、1984年の独立直後に任命制の立法評議会を停止し、立法権も掌握してきたが、2004年9月、独立後初めて立法評議会を開いた。2006年3月から例年3月に立法評議会が開催されてきているが、予算審議等を行うにとどまっている。また、同評議会では、2004年9月に国王の機能と議会の構成等に関する憲法改正が行われ、構成議員の一部を選挙で選出することが規定された(従来は全ての議員が国王により任命。)。2011年3月には立法評議会の解散を受け、初めて一部議員の選挙が実施された。

(3)2005年5月には17年ぶりの大幅な内閣改造が行われ、ビラ皇太子が首相府上級相に就任した他、高齢の有力大臣を罷免し、若手の人材を起用する等内閣の刷新が図られた。2010年5月、独立後、4度目となる内閣改造が行われ、世代交代が進んだ。新任内閣の任期は5年の予定。

(4)豊富な石油・天然ガス収入により、一人当たりの国民の所得水準が高く、社会福祉も充実していること等を背景に、政治・経済情勢は安定している。

2.外交

(1)東南アジア諸国連合(ASEAN)の第6番目のメンバー(1984年加盟)であり、小国としての安全保障、近隣諸国との歴史的結び付き等の理由から、ASEANの結束の維持及び強化を外交政策の柱としている。2013年には、ASEAN議長国を務める。国連、英連邦、イスラム諸国会議機構(OIC)、非同盟諸国会議等に加盟。アジア太平洋経済協力会議(APEC)、ASEAN地域フォーラム(ARF)、アジア欧州会合(ASEM)のメンバーでもある。

(2)ブルネイ政府は大使館・総領事館及び国際機関への代表部として41公館を設置。27か国がブルネイに大使館を設置。2005年8月、外務省が外務貿易省に改称され、産業・一次資源省の国際関係・貿易局管轄部分が移管された。

3.国防

(1)ブルネイの国防は、ブルネイ国軍約7,000人(志願制。陸軍:約4,900人、海軍:約1,000人、空軍:約1,100人。)及び英国との防衛取極に基づき駐留している英国グルカ兵(現役約1,050人、退役約2,000人。王宮等主要な建物を警備。)が担っている。

(2)また、英国、米国、豪州、NZ、シンガポール、マレーシア、インドネシア等と共同訓練を行ってきている。

4.経済

(1)豊富な石油・天然ガス生産により、安定した経済、高い所得水準を維持。また多額の海外資産を保有・運用してきている。

(2)他方、エネルギー資源への過度の依存から脱却すべく、数次にわたる「国家開発5か年計画」により経済の多様化を目指している。2008年1月、政府は長期的な国家ビジョンである「ワワサン・ブルネイ2035」、それを実現するための今後10年にわたる開発のための戦略と政策の枠組み「OSPD2007-2017」及び今後5年にわたる国家開発計画「RKN2007-2012」を発表。2008年からの5年間で95億ブルネイ・ドルの予算が割り当てられている。

(3)石油生産は、1929年にセリアで始まり、現在は主にブルネイ・シェル石油会社(ブルネイ政府50%、シェル50%の出資)が生産・販売に当たっている。天然ガスについては、ブルネイLNG社(ブルネイ政府50%、シェル石油25%、三菱商事25%の出資)が生産・販売に当たっている。2010年の原油生産量は1日当たり約17.2万バレル、天然ガスは約122億立方メートル。石油・天然ガス及び関連製品は、ブルネイの輸出総額の約93.8%を占めている(2010年、出典「JPKE External Trade Statistics 2010」及び「BP Statistical review of world energy 2011」)。

(4)2002年、ブルネイ政府は、外資の誘致による新たな産業の育成を目的としたブルネイ経済開発委員会(BEDB)を設立。また、経済多様化の観点から、(i)石油・天然ガスを単に生産・輸出するのではなく、石油・天然ガスを原料としてメタノールやアンモニアの製造等を行う石油「川下」産業の振興や、(ii)ムアラ島を巨大ハブ港湾として開発する事業計画等を策定してきている。

(5)日本企業が出資し、国際協力銀行(JBIC)が資金面で支援するメタノール事業については、2007年4月に天然ガスの売買契約の調印式が行われた。2008年2月に建設が始まったプラントは、2010年5月に完成し、国王出席の下、盛大に開所式が行われ、公式に操業を開始した。また、2008年8月、日本企業は、ブルネイにおいて大規模太陽光発電の共同実証プロジェクトを実施していくことを発表している。さらに、2011年8月、日本企業がブルネイにおける大規模ガス化学事業優先交渉権を獲得。ブルネイ国営企業と合弁で、肥料原料であるアンモニアの製造事業に着手予定である。

5.日本・ブルネイ関係

(1)外交関係の樹立

日本はブルネイの独立後間もない1984年4月に外交関係を樹立。在ブルネイ日本大使館は1984年6月、在本邦ブルネイ大使館は1986年3月にそれぞれ開設された。2014年は、日・ブルネイ外交関係樹立30周年。

(2)活発な要人往来等

二国間関係は良好であり、要人往来も活発。ボルキア国王は、国賓招聘(1984年)、大喪の礼出席(1989年2月)、APEC大阪会合出席(1995年11月)、日ASEAN特別首脳会議出席(2003年12月)、経済連携協定(EPA)署名(2007年6月)、APEC首脳会合出席(2010年11月)のため累次訪日している。また、モハメッド・ボルキア外務貿易大臣も、日・ブルネイ経済連携協定発効(2008年7月)、日・ブルネイ租税協定署名(2009年1月)、旭日大綬章受章(同年11月)、アジア中南米協力フォーラム(FEALAC)外相会合(2010年1月)等の機会を捉えて訪日している。

日本からは、常陸宮同妃両殿下が1996年9月に皇族として初めてブルネイを訪問したほか、2004年9月に皇太子殿下がビラ皇太子の結婚式に御出席のためブルネイを御訪問した。なお、2007年12月から始まった「21世紀東アジア青少年大交流計画(JENESYS)」を通して、2011年末までに300人近いブルネイの青少年や専門家が訪日し、関連団体訪問・地方視察等を行い、交流を深めている。

(3)エネルギー分野を始めとする緊密な経済関係

(イ)日本は、長年にわたりブルネイ最大の貿易相手国(2010年には輸出額全体の43.5%が対日輸出)。ブルネイから日本への輸出のほとんどが石油・天然ガス(99.7%、2011年財務省貿易統計)。日本からブルネイへの主な輸出品目は、輸送用機器及び部品。

(ロ)ブルネイ・シェル石油会社は、1969年に日本への原油輸出を開始。また、1972年には、ブルネイ液化天然ガス会社(BLNG)が日本へのLNG輸出を開始。現在、ブルネイのLNGの輸出総量の約9割が日本向けであり、ブルネイ産LNGは日本のLNG総輸入量の約8%(2011年財務省貿易統計)を占める(マレーシア、豪州、カタール、インドネシア、ロシアに次いで第6位)など、ブルネイは日本へのエネルギー資源の安定供給の面からも重要な国となっている。

(ハ)現在ブルネイに進出している日系企業数は8社(2010年10月)。ブルネイ在留の邦人数は133人(2010年10月)。

(4)経済連携協定(EPA)

2005年12月、マレーシア(クアラルンプール)で行われた東アジア首脳会議(EAS)に際しての小泉総理(当時)とボルキア国王との首脳会談において、日・ブルネイ間の経済連携協定(EPA)交渉立ち上げに向けた準備協議の開始に合意。その後、2006年5月にカタールで行われた日・ブルネイ外相会談において正式交渉の開始が合意された。交渉は、同年6月から11月にかけての3回の会合を経て、同年12月に大筋合意に達した。2007年3月に第4回会合が行われた後、2007年6月、訪日したボルキア国王と安倍総理(当時)との間で日・ブルネイ経済連携協定の署名が行われた。2008年7月1日外交上の公文の交換が行われ、7月31日に効力が発生した。

また、日本とASEAN全体が締結している日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定は、2009年1月にブルネイとの間で効力が生じた。

(5)査免取極、航空協定及び租税協定

1986年6月には、観光等を目的とした14日以内の滞在に関し、査証取得を不要とする査免取極が発効した。

1993年11月、両国の間で定期航空路線を開設・運営することを目的とした航空協定が締結され、1994年12月からロイヤル・ブルネイ航空が関西国際空港に週二便乗り入れていたが、1998年10月から運行を停止している。2011年10月には、航空当局間協議が実施され、2013年夏期に成田空港関連路線の日・ブルネイ間輸送のオープンスカイを実現すること及び2012年夏期における成田路線の新規開設を可能とすることで一致した。

2007年11月には、二重課税の回避や租税当局間の協力を定める租税協定の締結交渉が開始され、2009年1月に署名され、同年12月に効力が発生した。

(6)東日本大震災に際しての支援

東日本大震災後、ブルネイからは、政府による100万米ドルの義援金のほか、民間からも義援金372,458ブルネイ・ドル(2012年1月時点、約2,384万円)、寄せ書き等のメッセージが寄せられている。

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