外 交 青 書

我が外交の近況

 

1980年版(第24号)

 

外務省

 

 

 

昭和55年版「わが外交の近況」の刊行にあたって

 

本書は,1980年代の「外交青書」第一号であります。70年代から80年代への節目であるこの1年の間に,世界は,イラン・アフガニスタン問題に象徴されるように,政治・経済両面にわたり大きく揺れ動き,国際社会は,重大な挑戦に直面しています。

このような国際情勢の中で,わが国が責任ある国際社会の一員として積極的な外交を展開し,世界の平和と繁栄のために貢献することの重要性が今日ほど強く認識されたことはありません。わが国としては,国際社会の期待に応えつつ,名誉ある貢献をするためには,時として,厳しい選択に迫られ,国民の犠牲を伴わなければならないことを覚悟しなければなりません。外交に課せられた責任はまさに重大であります。

本書は,1979年を中心に園田,大来両外務大臣の下における外交の足跡を記したものですが,そこには国際社会に対し毅然たる態度をもつて臨み,世界の平和と安定に積極的に貢献するとのわが外交の基本姿勢が示されています。わが国としては今後ともかかる立場を堅持し,国際社会において信頼され,尊敬される国になることを目指して,一層の努力を払つていかなければなりません。

今や外交問題は国民生活と密接に結びついており,わが国の外交が所期の成果をあげるためには広く国民各位からご理解とご支援をいただくことが不可欠であります。国民各位がわが国外交に対する理解を深められる上で,本書がその一助となることを期待します。

昭和55年8月

外務大臣 伊 東 正 義

 

 

本書の構成と内容

本書は,主として1979年1月から12月に至る期間における世界の情勢とわが国が行つた外交活動の概要を取りまとめたものである。但し,重要な出来事及び79年に関する記述との関連から言及する必要のある事項については,本年春頃までの動きも織り込んである。本書は,第1部総説,第2部各説及び第3部資料編からなり,資料編には,資料,統計類及び年表を収録している。

第1部総説では,第1章において1979年を中心に世界の情勢を概観し,第2章ではこのような環境の中でのわが外交の基本的課題について述べ,さらに第3章ではわが国が行つた主要な外交努力を説明している。

第2部各説では,まず世界の諸地域ないし諸国の情勢及びわが国とこれらの諸地域・諸国との関係について述べ,次にわが国の関係する重要な国際的問題について事項別に具体的に説明している。

 

目 次

第1部 総説

第1章 1979年の世界の主要な動き

第2章 わが外交の基本的課題

第3章 わが国の行った外交努力

第1節 各国との関係の増進

第2節 国際経済など多数国間問題解決への努力

第3節 国際連合の諸活動に対する協力

第4節 諸外国との相互理解の促進と文化交流

第2部 各説

第1章 各国の情勢及びわが国とこれら諸国との関係

第1節 アジア地域

第2節 大洋州地域

第3節 北米地域

第4節 中南米地域

第5節 西欧地域

第6節 ソ連・東欧地域

第7節 中近東地域

第8節 アフリカ地域

第2章 国際経済関係

第1節 総説

第2節 通商問題

第3節 国際通貨・金融問題

第4節 国際投資問題

第5節 資源・エネルギー,原子力及び科学技術問題

第6節 食糧・漁業問題

第7節 環境問題

第3章 経済協力の現況

第1節 総説

第2節 技術協力

第3節 資金協力

第4節 国際機関を通ずる協力

第4章 国連における活動とその他の国際協力

第1節 政治問題

第2節 軍縮問題

第3節 経済問題

第4節 社会・人権・文化問題

第5節 行財政問題

第6節 法律問題

第7節 第3次国連海洋法会議

第8節 国連専門機関

第5章 情報文化活動

第1節 わが国の主要な文化交流の現状

第2節 報道・広報関係

第6章 邦人の渡航・移住及びその保護

第1節 概要

第2節 海外における邦人の実態

第3節 邦人の渡航

第4節 在外邦人に対する保護・援助

第5節 海外移住

第6節 外国人に対する査証

第7章 その他の活動

第1節 外交体制の整備充実

第2節 外交問題に関する記録の整理・刊行及び閲覧

第3部 資料編

I  資料

II  付表

III 年表