第5節 行 財 政 問 題
(1) 国連は,平和維持活動,南北問題などに係わる経済活動及び人権・婦人問題などに係わる社会活動を中心として,年々その規模を拡大しているが,これに伴い行財政面,すなわち予算,人事,組織などの面においても多くの問題が生じてきている。
(2) 第34回総会においては,1980-81年度国連通常予算が審議され,支出額約12億4,800万ドルが承認された。これは,1978-79年度通常予算承認額(補正後)10億9,000万ドルに比べ約14%増となつている。
また,1980―82年度に適用される各国の新分担率が決定され,わが国の新分担率は9.58%(米,ソ連に続く第3位)となつた。これは現在の分担率(8.64%)に比べ0.94ポイントの増加となつており,加盟国中最大の伸びとなつている。
この結果わが国の1980年の分担額は,4,910万ドルとなり,79年度の分担額(4,110万ドル)に比べ約19%の増加となつた。
(3) さらに,第34回総会では,国連人事問題として,憲章第101条3項の職員採用にあたつて地理的配分に十分な考慮を払うとの規定に基づき定められているr各国職員数の望ましい範囲」に関し,現行の基準についての詳細な報告,説明に加え,各国への最低割当数を増加させることを主眼として,従来からの分担率を中心とする考え方を改め,各国への最低割当数の合計を50%まで引き上げるか,あるいは分担率により割り当てられる比率と同程度にするなどの代替案を第35回総会に提出するよう,事務総長に対し要請する決議案が開発途上国より提出され,採択された。
また,職員採用候補者ロスターのコンピューター化を今後とも進捗させるよう事務総長に要請する決議が採択された。
(4) その他職員の年金問題に関し,為替レートの変動に伴い,各地域で取得する年金額に実質的な差異が生じていることから,現在の制度の見直しが検討され,とりあえず,80年の退職者については,国連合同職員年金委員会の策定した暫定措置をとることが決定された。