わが外交の近況

 

上 巻

 

1975年版(第19号)

 

 

 

 

 

外 務 省

 

 

昭和50年版「わが外交の近況」の刊行にあたつて

     

 大戦後30年間わが国は平和国家としての道を固く守り,国民のたゆみなき努力と活発な国際活動によつて,飛躍的な経済発展をなしとげた結果,今日世界の重要な安定勢力となるに至りました。

これはわが国の平和の実験が成功したことを意味するものに他なりません。

 過去数年間世界は大きな変動を続けております。東西間の緊張緩和の動き,第4次中東戦争,石油危機とその後の国際経済上の諸困難,開発途上諸国の発言力の増大,さらにインドシナの新情勢など国際社会の平和と安定,そして将来への発展に重大な影響

を与える出来事が次々と起つております。

 このような状況の下で,わが国のとるべき最善の道はこれまでの国際活動の実績に基づいて,引続き安定的な平和国家として世界の安定と発展に貢献することでありましょう。そのためには外交政策の基本について広く国内の御理解と御支持を頂くことが大切であります。

 本書におきましては,昭和49年中の世界情勢を中心に,その後の重要な国際情勢については本年4月までの動きを適宜織り込んで概観し,併せて,その期間中わが国が行なつた外交活動の概要について取りまとめました。

 国民の皆様に御利用願えれば幸甚です。

 昭和50年9月

外務大臣 宮 澤 喜 一

 

 

上 巻 目 次

 

第1部 総  説

序説

第1章 わが国をとりまく国際環境

第2章 わが外交の基本的課題

第3章 わが国の行つた外交努力

第1節 各国との関係の増進

第2節 世界経済の調和的発展への貢献

第3節 南北問題解決への寄与

第4節 国連の諸活動に対する協力と貢献

第5節 諸外国との相互理解の促進と文化交流

 

第2部 各  説

第1章 各国の情勢及びわが国とこれら諸国との関係

第1節 アジア地域

第2節 大洋州地域

第3節 北米地域

第4節 中南米地域

第5節 西欧地域

第6節 ソ連・東欧地域

第7節 中近東地域

第8節 アフリカ地域

第2章 国際経済関係

第1節 資源・エネルギー問題

第2節 国際経済・金融問題

第3節 通商問題

第4節 経済協力開発機構(OECD)における国際協力

第5節 食糧問題

第6節 公海漁業に関する諸問題

第3章 経済協力の現況

第1節 総説

第2節 技術協力

第3節 青年海外協力隊

第4節 無償資金協力

第5節 有償資金協力

第6節 国際協力事業団による資金協力

第7節 国際機関を通ずる協力

第4章 国連における活動とその他の国際協力

第1節 第29回総会における政治問題

第2節 安全保障理事会

第3節 軍縮問題

第4節 国連における経済関係

第5節 国連における文化・社会・人権問題

第6節 国連の行政財政問題

第7節 法律問題-「侵略の定義」の採択

第8節 科学技術に関する国際協力

第9節 海をめぐる国際協力-第3次国連海洋法会議

第10節 国連専門機関

第5章 情報文化活動

第1節 国際文化交流の現状

第2節 報道広報関係

第6章 邦人の渡航・移住及びその保護

第1節 概要

第2節 海外における邦人の実態

第3節 邦人の渡航

第4節 外国人に対する入国査証

第5節 海外移住の動向

第6節 在外邦人に対する保護,援助及び啓蒙

第7章 その他の外交機関の活動

第1節 外交体制の整備充実

第2節 外交問題に関する記録の整理・刊行及び閲覧

年  表