
スーダン共和国に対する国際連合児童基金(ユニセフ)を通じた無償資金協力「スーダン共和国における小児感染症予防計画」に関する書簡の交換について
平成20年8月12日
- 我が国政府は、スーダン共和国政府に対し、ユニセフを通じ、「スーダン共和国における小児感染症予防計画(the
Project for Infectious Diseases Prevention and Control for Children in the
Republic of the Sudan)」の実施に資することを目的として、6億1,800万円を供与額とする一般プロジェクト無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月12日(火曜日)(現地時間、同日)、同国の首都ハルツームにおいて、我が方石井祐一駐スーダン共和国大使と先方エドワード・チャイバン・ユニセフ在スーダン共和国事務所代表(Mr.
Edward Chaiban, UNICEF Representative in the Republic of the Sudan)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- スーダン共和国保健省とユニセフが協力して実施する、小児感染症予防計画に必要な予防接種用ワクチン(破傷風、BCG、ポリオ、麻疹)、ワクチン保冷機材、蚊帳(15万帳)、マラリア治療薬、一次医療キット等を調達・配布等するための資金を、ユニセフに対して供与する。
(2)本計画の必要性
- スーダンでは2005年1月まで20年にわたり内戦が続き、経済状況は悪化し、住民の基礎生活環境に大きな影響を及ぼした。特に、保健・医療分野は、予算及び機材等の不足により必要なサービスを提供できる状況になく、また、内戦により460万人以上が国内避難民となり、避難キャンプ等で劣悪な生活を強いられている。特に、ダルフール地域では、アラブ系遊牧民とアフリカ系定住農耕民との間の部族紛争が拡大し、現在までに約20万人が殺害され、難民・国内避難民が200~250万人発生しているといわれ、人道上の危機が指摘されている。
- こうした状況から、出生1,000に対する乳児死亡率は北部で76、南部では102、5歳未満死亡率(1000人当たり)は北部で109、南部で135.6と深刻な状況にある。我が国を含むドナーのこれまでの支援により、スーダンにおける予防接種体制は、徐々に整備されてきてはいるが、2002年に発生ゼロとなったポリオがその後再発するなど、依然として保健状況は厳しい。小児の死亡原因の多くは、感染症であり、特にマラリアについては、同国では年間700万~800万人の患者が発生し、5歳未満児の23%が感染しており、重症例は児童、妊産婦に集中している。
- このような状況のもと、スーダン政府とユニセフは、予防接種体制の充実をはじめとする感染症対策のためのワクチンや機材等の調達に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、対象地域の5歳未満児約107万人に対しポリオ・ワクチンが供与され、感染症拡大の可能性が高いスーダン全土におけるポリオ輸入株発生ゼロを確立するのに貢献する。また、北部8州、南部3州に対するマラリア防虫蚊帳15万帳の供与により、北部で約40万人、南部で約9万人の5歳未満児又は妊産婦のマラリア感染が予防される。さらに、本件の実施により5歳未満児及び妊産婦に対する基礎予防接種の体制が整備され、プライマリー・ヘルスケアのサービスが改善される。
(参考) スーダン共和国はアフリカの北東部に位置し、国土面積は約250万平方キロメートル、人口は3,623万人(2005年)、人口1人当たりのGNI870米ドル(2006年)である。