報道発表

ボリビア共和国に対する無償資金協力に関する書簡の交換について

平成20年3月10日
  1. 我が国政府は、ボリビア共和国政府に対し、以下2件の総額12億6,900万円の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が3月10日(月)(現地時間同日)、同国の首都ラパスにおいて、我が方田中和夫駐ボリビア国大使と先方ダビッド・チョケワンカ・セスペデス外務・宗務大臣(David Choquehuanca Céspedes, Ministro de Relaciones Exteriores y Cultos)との間で行われた。
  2. (1)貧困農民支援(3億円)

    (2)コミュニティ開発支援無償資金協力「ポトシ市及びスクレ市教育施設建設計画」(9億6,900万円)

  1. 各案件の概要は以下のとおりである。
  2. (1)貧困農民支援

    (a)本無償資金協力の内容

     貧困状況に置かれたボリビアの農民を対象とした支援を目的として、主要食用作物であるジャガイモ、トウモロコシ、小麦、米の増産に必要な肥料を調達するための資金を供与する。

    (b)本無償資金協力の必要性

     ボリビア国全体の貧困率は約60%であるが、農村部では特に貧困の度合いが高く、約76%にも上る。また、ボリビアにおける貧困・小規模農家は、自給のための基礎食糧作物生産を中心としており、ジャガイモ、その他塊茎作物、トウモロコシ、麦類、豆類を栽培しているが、近代的技術や農業資機材の利用が普及していないため生産性が極めて低く、主要穀物の自給は達成されていない。小麦をはじめとする農産物の輸入量は年々増加の傾向にあり、ボリビア国経済を圧迫している。

     このため、ボリビア共和国政府は、国家開発計画に沿って、農村総合開発に力を入れており、小規模農家の労働力強化を目的とした政策を策定している。

     このような状況の中、ボリビア共和国政府は、主要食用作物であるジャガイモ、トウモロコシ、小麦、米を対象作物とし、これらの主な生産地であるコチャバンバ、ポトシ、チュキサカ、サンタ・クルス、ラ・パスの5県の貧困・小規模農民に対し、高品質な肥料を比較的廉価で販売することにより生産性の向上を図り、ひいては食糧安全保障、農村地域における貧困削減を目指すとして、肥料調達の資金につき、我が国の無償資金協力を要請してきたものである。

    (c)本無償資金協力の効果

     本無償資金協力の実施により、ボリビア共和国において主要食糧の増産が図られるとともに、それらを生産する小規模農家の生活水準が向上し、貧困問題が軽減されることが期待される。また、ボリビア政府により積み立てられる見返り資金は、同国の経済社会開発事業に寄与する。

     

    (2)「ポトシ市及びスクレ市教育施設建設計画」

    (a)本計画の内容

     ボリビアの中でも貧困度、非識字率の高いポトシ県及びチュキサカ県の主要都市であるポトシ市及びスクレ市において約30の教育施設(368教室、204ユニットのトイレ)の建設や教室用備品の整備に必要な資金を供与する。

    (b)本計画の必要性

     ボリビアでは公立教育施設の多くが古いホテルを転用するなど応急的に手当てされたものであり、多くの生徒が狭小・過密、危険で劣悪な環境での学習を強いられている。特に都市部中心地域の学校には都市部周辺地域や農村部から生徒が遠距離にもかかわらず通学するため一教室あたりの過密度が高い。本件対象地域でも、一教室当たりの生徒数は平均約54人と国の指針30人より極端に多く、一施設を複数校が利用せざるを得ない状況を余儀なくされている。このように、ボリビアでは教育の質の向上のために学校施設の建設が不可欠な状況となっている。

     ボリビア共和国政府は「機会均等を優先した質の高い教育」を国家政策・戦略の一つとして掲げ、既存校の増設等に取り組んでいるが、同国の財政状況は厳しく、必要数の学校建設は困難な状況にあるため、我が国政府に対し教室建設等に必要な資金につき無償資金協力を要請してきたものである。

    (c)本計画の効果

     ポトシ市及びスクレ市の約30の教育施設において、約2万6,000人の生徒が安全かつ衛生的に良好な環境で学習できるようになる。また、都市部中心地域の教育施設の過密が緩和されるとともに、都市部周辺地域及び農村部在住の生徒の遠距離通学が解消されることが期待される。

    (参考) ボリビア共和国は、面積約109.9万平方キロメートル、人口は約962万人。1人当たり国民所得(GNI)が1,100米ドル(2006年世界銀行)であり、南米最貧国である。

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