報道発表

スーダン共和国に対する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じた無償資金協力「南部スーダンにおける帰還民統合及びホスト・コミュニティ支援のための教育施設建設計画」に関する書簡の交換について

平成20年3月7日
  1. 我が国政府は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じ、「南部スーダンにおける帰還民統合及びホスト・コミュニティ支援のための教育施設建設計画(The programme for Construction of Educational Facilities in South Sudan for Integrating Returnees and Empowering the Host Communities)」の実施のため、9億4,700万円のコミュニティ開発支援無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月7日(金曜日)(現地時間、同日)、同国の都市ジュバにおいて、我が方石井祐一駐スーダン国大使と先方クリサントス・アチェ国連難民高等弁務官事務所在スーダン事務所代表(Mr. Chrysantus ACHE, Representative of the United Nations High Commissioner for Refugees in the Republic of the Sudan)との間で行われた。
  2. 本計画の概要は次のとおりである。
  3. (1)本計画の内容

    • 南部スーダンの都市ジュバ及びアウェイルにおいて、UNHCRが、スーダンの国内避難民及び帰還民等を対象として、教員養成学校2校及びその周辺の小学校5校を建設するとともに、その運営・管理と、地元コミュニティの開発に必要な関連啓蒙活動を実施するための資金を供与する。

    (2)本計画の必要性

    • スーダンでは、内戦終結を受けて南北包括和平合意(CPA)の履行が進み、国民統一政府(首都ハルツーム)と南部スーダン政府(首都ジュバ)が発足したが、長年に亘る内戦により壊滅的打撃を受けた南部スーダン全体の経済状況が深刻な問題となっている。また、難民及び国内避難民(IDP)の南部への帰還は、2007年に入り本格化し、これまで85,000人が帰還しているが、今後も多くの帰還が続くことが予想されている。これら難民、IDP等の帰還を円滑に進め、帰還先のコミュニティへの社会復帰を実現するためにも、その受入能力を強化する環境を作り出すことが課題となっている。仮にCPAが崩壊し、スーダンが不安定化すれば、アフリカ全体の不安定化へと容易に波及しうることから、国際社会としてCPAの進展を強く支援する必要性は極めて大きく、難民、IDP等の帰還の促進と共に、人々の生活の安定を実現することが必要である。
    • 教育は南部スーダン政府による最優先開発課題の一つとされており、全児童の就学を実現すべく、教育科学技術省は5年以内に小学校3,000校及び中学校200校を建設する計画を有している。また、教員の絶対数が不足していると共に、現職教員の多くが教員資格を有していないことから、教員の養成も急務となっている。

    (3)本計画の効果

    • 現在、南部スーダンには教員養成学校が3校しかなく、本件で新たに2校が建設されることにより、南部スーダン政府の教員養成能力が大きく向上する。教員養成学校の建設に伴う教員の増加(毎年420名)により南部スーダンの教育の質及び量が改善される。
    • また、教員養成学校の周辺に同時に建設される小学校により、周辺地域の就学率の向上が期待され、1600名の児童の就学が確保される。
    • さらに、小学校への井戸及び便所の設置等により疾病率の低下が期待されている。これらにより、スーダン難民及びIDPの南部スーダンへの帰還が促進され、同国の平和の定着に寄与することが期待される。
    • なお、本計画の実施に当たっては、UNHCRは日本のNGOの参画、日本人UNVの参画を希望しており、また、南部スーダンにおけるWFP、UNICEF等の国際機関を通じた我が国の無償資金協力、JICAによる技術協力(理数科教育)等も予定されていることから、これらによる相乗効果が期待されている。

(参考) スーダン共和国はアフリカの北東部に位置し、国土面積は約250万平方キロメートル、人口は3,623万人(2005年)、人口1人当たりのGDP873米ドル(2006年)である。

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