報道発表

アゼルバイジャンに対する無償資金協力「バクー緊急医療機材整備計画)」に関する書簡の交換について

平成20年3月5日
  1. 我が国政府は、アゼルバイジャン共和国政府に対し、「バクー緊急医療機材整備計画」(The Project for Improvement of Emergency Medical Equipment in Baku City )の実施に資することを目的として、2億2,200万円を限度とする一般プロジェクト無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が3月5日(水曜日)(現地時間、同日)、同国の首都バクー市において、我が方中島英臣在アゼルバイジャン共和国臨時代理大使と先方アビド・シャリホフ副首相(Mr. Abid Sharifov, Deputy Prime Minister, the Republic of Azerbaijan)との間で行われた。
  2. 計画の概要は次のとおりである。
  3. (1)本計画の内容

    • アゼルバイジャン共和国保健省が、同国バクー市首都圏に位置する救急訓練センター及び救急患者搬送主要4病院(市立第3クリニカル病院、市立第26統合病院、共和国脳外科病院、市立第6クリニカル病院)に対して、首都圏地域の救急医療サービス機能の向上等のための蘇生用医療機材(内視鏡、人工呼吸器、患者監視装置モニター、除細動器、自動血球計器等)及び救急隊員訓練用機材(蘇生法教育人体モデル、挿管セット等)を整備するための資金を供与する。

    (2)本計画の必要性

    • アゼルバイジャン共和国政府は、国家開発計画として「貧困削減と持続可能な発展に関する国家計画2006-2015」を策定した。その中で保健分野は、貧困削減を達成するための重要分野と位置づけられており、「貧困層での結核・マラリア・HIV/AIDS」、「基礎保健サービスの質の改善及びアクセスの均等化」、「医療施設・機材の整備・更新、プライマリー・ヘルスケア(PHC)への投資」が特に重要課題として示されている。
    • バクー市首都圏の人口は、公式データでは189万人、難民等を加えると全国の人口850万人の41%にあたる350万人を占めており、2000年から2003年には年間約22万件だった救急隊出動件数は2004年から急速に増加し、2005年には約30万件を超えている。そのうち、救急病院への搬送を要した総数は2005年で2万4,000件余りである。2005年10月に新保健大臣が就任してからプライマリ・ヘルスケアの強化、病院・病床数の見直しに加え、救急医療体制の強化に係る改革プログラムが積極的に推進してきているものの、1991年の独立以降の経済疲弊の影響から依然として救急医療サービス分野の整備は遅れている。特に、首都圏の急増している救急医療サービスのニーズに対し、現在使用している医療機材は調達から既に15年から20年が経過し、老朽化が著しく、救急医療にとって重要な迅速かつ正確な検査、処置が行えない状況であり、救急医療サービスの提供に支障を来している。
    • 更に、同国では、救命救急の現場において診察・診断・処置にあたる救急隊員の医療技術水準の維持及び向上のため、定期的に再教育(5年に一度)を受ける制度を有しているが、業務の特殊性から専門技術の実技研修が必要とされるが、救急訓練センターには必要最低限な人体モデルや観察機材等が殆どなく、座学講座を主とした訓練となっている。
    • このような状況の下、同国政府は、首都圏地域の救急医療サービス機能の向上を図るため、我が国に対し無償資金協力を要請したものである。

     (3)本計画の効果

    • 本計画の実施により、主要4病院の年間約1万5,000人の搬送患者及び5,300人の入院患者に対し、より迅速かつ正確な検査・診断及び適切な治療が可能となる。
    • 救急訓練センターで訓練を行っている1,200名の医師に加え、病院等で訓練を行っている看護士等1,200名の計2,400名に対する適切な訓練の実施が可能となり、救急隊員の能力向上が期待される。
    • 首都圏地域における救急医療サービス機能の回復及び質の向上が図られる。

(参考) アゼルバイジャン共和国は、カスピ海西岸に位置し、ロシアおよびイラン等と国境を接し、人口は約850万人、一人当たりGNI(国民所得)は約1,850米ドル(2006年:世銀)の国である。

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