報道発表

スリランカに対する国際連合開発計画(UNDP)を通じた無償資金協力「スリランカ民主社会主義共和国の紛争影響地域における生計開発計画」に関する書簡の交換について

平成20年3月4日
  1. 我が国政府は、国連開発計画(UNDP)等がスリランカ北部・東部の紛争影響地域で行う「生計開発計画(Livelihood Development Programme in conflict-affected areas in Sri Lanka)」の実施のため、5億3,900万円の紛争予防・平和構築無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月4日(火曜日)(現地時間、同日)、同国のコロンボにおいて、我が方荒木喜代志駐スリランカ国大使と先方ダグラス・ケイUNDP在スリランカ事務所代表(Mr. Douglas Keh, Country Director, UNDP Sri Lanka) との間で行われた。
  2. 本計画は次のとおりである。
  3. (1)本計画の内容

    • スリランカの紛争影響地域(北部・東部の5県)において、UNDP等が、水産業、農業、畜産業の各分野で、帰還した国内避難民を含む地域住民が生計維持の手段を確保するための事業(注)を実施するための資金を供与する。
    • (注) 各分野における事業の例は以下のとおり。

    • 水産業…網・漁船の修復センターやアクセス道路等水産業を営むにあたり必要なインフラを整備するとともに、内水漁業の方法や付加価値の高い水産加工物の生産等のワークショップを開催する。
    • 農 業…灌漑施設の復旧や農業用井戸の復旧等農業に必要なインフラを整備するとともに、代替作物の耕作や農業経営効率化のためのワークショップを開催する。
    • 畜産業…飼料加工場や家畜小屋の建設等畜産業に必要なインフラを整備する。

    (2)本計画の必要性

    • スリランカでは、2006年4月以降、政府軍とタミル過激派(タミル・イーラム解放の虎(LTTE))との間で衝突、テロ事件が頻発するようになり、2007年7月には、スリランカ政府軍が東部州にあるLTTE支配地域をほぼ制圧した。
    • 同国では、戦闘の激化に伴って発生した国内避難民(2007年3月のピーク時には30万人以上)の帰還・再定住を進めているが、旧LTTE支配地域を中心として、紛争の影響を受けた東部及び北部地域では民生及び社会インフラが荒廃しており、これらの地域において、帰還した国内避難民を含む地域住民の生計向上のための支援の実施が喫緊の課題となっている。
    • このような状況の中、UNDPは、スリランカ政府と協議の上、北部及び東部の5つの県の紛争影響地域における、水産業、農業及び畜産業の各分野で、帰還した国内避難民を含む地域住民が生計維持の手段を確保するための事業に対する支援を要請してきたものである。

    (3)本計画の効果

    • 北部及び東部の5県(アンパラ県、バティカロア県、トリンコマリ県、マナー県、ワウニア県)の住民約9万9千人が、水産業、農業、畜産業の分野において、生計を維持するための手段が確保できる。
    • 北部及び東部において紛争の影響を受けた住民に直接裨益する支援を実施し、当該住民に平和の配当を享受させることによって、当該地域の平和の定着がより確固たるものとなる。

(参考) スリランカ国は、面積約65,607万平方キロメートル、人口1,967万人(2005年)、人口1人当たりのGDP約1,355米ドル(2006年)である。

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