(1)本計画の内容
ベトナム最大のホーチミン市タンカンカトライ港に大型X線貨物検査機材及び関連施設を整備するもの。
(2)本計画の必要性
(イ) 近年、国際社会はテロ対策を最優先課題の一つと位置づけ、全世界的にテロ対策の強化が進んでおり、物流・貨物の安全確保の重要性が高まっている。このような背景のなか、ベトナムでは米国、WCO(世界税関機構)、ASEAN等から国境税関におけるテロ対策の強化が求められている。
(ロ) ベトナムではドイモイ政策以降の市場経済化・対外開放政策の進展に伴い、港湾における取扱貨物量は1996年からの5年間で2倍以上のペースで急増しており、物流・貨物の安全確保のためには同国の税関機能強化は喫緊の課題となっている。
(ハ) 同国において国際貿易の監視行政を司るベトナム税関は、「2007年~2010年税関近代化計画」を策定し、我が国を含む他国ドナーの支援を受けながら、税関組織の体制強化・キャパシティビルディング、電子化・最新機器導入による効率化・省力化に取り組んでいるが、右近代化計画の最重要施策である大型X線貨物検査装置の導入については、同国ではこれまで導入実績がなく、同国のみでは技術的にも資金的にも整備が難しい。
(ニ) このような状況のもと、税関クリアランスにかかる時間短縮及び貨物内の隠匿物探査能力向上を実現し、国境税関での武器・銃器、不正薬物等の輸出入に対する監視機能の強化に資する案件として、本件が要請されてきた。
(3)本計画の効果
(イ) 現状、マニュアルでの開披検査に要する時間は1時間から2時間/コンテナであるが、大型X線検査装置導入により15分/コンテナに短縮される。
(ロ) ホーチミン・タンカンカトライ港における銃火器・麻薬などの輸出入の摘発・取締にかかる税関能力が強化され、テロ対策及び犯罪対策の強化に資することが期待される。
(ハ) 今後も飛躍的に伸びることが予想される同港の貨物数量に対し、短時間で適正な貨物検査を実施する体制を整えることにより、貿易・物流効率化が進み、引き続き投資拡大・経済発展が維持されることが期待される。
(参考)