
インドネシア共和国に対する無償資金協力「鳥インフルエンザ等重要家畜疾病診断施設整備計画」に関する書簡の交換について
平成19年9月13日
安倍総理インドネシア訪問時(8月20日)に支援を表明
鳥インフルエンザによる被害が最も深刻なインドネシアに対し、同国初となる本格的な家畜疾病診断施設整備を支援
- 我が国政府は、インドネシア共和国政府に対し、「鳥インフルエンザ等重要家畜疾病診断施設整備計画」(the
project for Improvement of Animal Health Laboratories for Diagnosises of
Avian Influenza and Other Major Diseases of Animals)の実施に資することを目的として、17億8,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、2007年9月13日(木曜日)(現地時間、同日)、同国首都ジャカルタにおいて、我が方海老原紳駐インドネシア国大使と先方プリモ・アルイ・ジュリアント外務省アジア・太平洋・アフリカ総局長(Mr.Primo
Alui Joelianto,Director General for Asia Pacific and African Affairs,Department
of Foreign Affairs)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- 実施主体:インドネシア農業省
- 実施場所:スバン(ジャワ島)、メダン、ランプン(スマトラ島)
- 供与施設:国立家畜疾病診断センター(DIC)3か所の整備
(2)本計画の必要性
- インドネシアにおいては、高病原性鳥インフルエンザによる被害が深刻であり(2007年8月23日現在、死者84人)、今後も被害の拡大が懸念されている。
- 他方、同国においては、鳥インフルエンザ等の危険な病原体を取扱うために必要な安全性を有する検査施設は存在しないため、やむを得ず安全性が充分ではない施設で検査にあたっており、検査スタッフや検査施設周辺の住民にとっても危険な状態となっている。
- また、鳥インフルエンザ診断施設数が充分でないため、鳥インフルエンザ感染の恐れがある検体(鳥)の診断に時間を要し、感染拡大防止のための措置が早期に実施することができない状態である。
- このような状況の下、インドネシア政府は、鳥インフルエンザ診断能力向上のため、国立家畜疾病診断センター(DIC)の新設1か所(スバン)及び既設DICの改修2か所(メダン、ランプン)及び検 査機材の操作及び検査に係わる技術指導のために必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
・鳥インフルエンザ等の病原菌を取扱うために必要な検査施設が整備され、検査スタッフ及び近隣住民の安全が確保される。
【整備前】バイオセイフティレベル1 (対応可能な病原菌:大腸菌等)
【整備後】バイオセイフティレベル2+一部レベル3 (対応可能な病原菌:鳥インフルエンザ、狂犬病等)
・インドネシアの人口の63%(約1.5億人)、家禽飼養羽数70%(約13億羽)が集中するジャワ島及びスマトラ島において、国立家畜疾病診断センター(DIC)における診断能力を向上させることができる。
【整備前】ジャワ島の診断可能件数:約1万2,000件程度/年
【整備後】ジャワ島の診断可能件数:約2万4,000件以上/年
(4)なお、本件無償資金協力に加え、インドネシアに対する鳥インフルエンザ対策支援として、畜産政策の専門家派遣や鳥インフルエンザ検査能力向上のための技術協力も合わせて実施している。
(参考)
インドネシアは、面積約189万平方キロ、人口2億1,700万人(2004年)、人口1人当たりのGDP約1,663米ドル(2006年)である。