(1)本計画の内容
エリトリア政府保健省が、首都アスマラ及び近郊の県立病院4箇所で、麻酔機6台等の外科手術器具や、超音波産科診断装置5台などの医療機材を整備し、また国立医療機材保守管理センターにて、医療機材の維持管理に使用する機材試験器などを整備するための資金を供与する。
(2)本計画の必要性
・エリトリアでは、1998年から2000年の国境紛争により多くの医療施設が破壊され、医療水準の基本指標である5歳未満児死亡率が82人/1,000人(2005年)と未だ厳しい状況にある。このため、エリトリア政府は医療施設の修復と新設などを目的とする「保健セクター10か年戦略計画(2005年-2014年)」を策定し、診療所などの整備を進めている。
・これまでエリトリア政府は、地域診療所などの一次医療施設を優先的に建設し、住民の医療事情の改善を図っており、5歳未満児死亡率も、かつての237人/1,000人(1970年)等と比較すると相当下がってきている。しかし、地域の診療所では対応出来ない、手術を必要とするようなケガ、病気など比較的症状の重い患者を対象とする二次診療施設の整備が遅れている。エリトリア政府では、限られた保健分野の予算の中、こうした病院の整備を自助努力で行うことが困難なため、二次医療施設である上記の4箇所の県立病院の機材整備と、また機材の自立的な維持管理を目的として、国立医療機材保守管理センターの検査機器等の整備のための無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
本計画の実施により、首都アスマラの県立ハリベット病院、ビラッジオジニオ病院、近郊のアルゴダッド病院、紅海に面するマッサワ市のマッサワ病院が地域の第二次診療病院として整備され、診療圏の人口約92万人の人々の医療環境が改善される。また、医療機材保守管理センターの能力向上により、エリトリアの全国的な医療機材の維持管理体制が整備される。
(参考) エリトリア国はアフリカ北東岸に位置し、日本の約30パーセントの面積(11.8万平方キロメートル)を有し、人口は約430万人、一人当たりGNI(国民所得)は約220米ドルである。