1.我が国政府は、ウズベキスタン共和国政府に対し、「産婦人科研究病院医療機材整備計画」の実施に資することを目的として、総額3億6,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月17日(金曜日)(現地時間、同日)、タシケント市において、我が方松島みどり外務大臣政務官(ウズベキスタンを訪問中)と先方ルスタム・ソビロヴィッチ・カシモフ副首相兼中高等専門教育大臣(Mr. Rustam Sobirovich KASIMOV, Deputy Prime Minister, Minister of Higher and Secondary Specialized Education of the Republic of Uzbekistan)との間で行われた。
2.計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
ウズベキスタン保健省が、同国内における産婦人科分野の主要病院である産婦人科研究病院の医療機材(産婦人科用手術セット、腹腔鏡、人工呼吸器、超音波診断装置等)を整備するための資金を供与する。
(2)本計画の必要性
・ウズベキスタンは、1991年のソ連邦崩壊後、保健医療分野においては1998年に「国家保健改革プログラム」を策定し、妊産婦への健康教育、医療技術者の育成、拠点医療施設の整備等を重点項目とした産婦人科サービスの改善に取り組んでいる。
・しかしながら、同国の厳しい財政事情のため、主要な病院における診断や治療に不可欠な機材の更新・補充も十分に進んでおらず、現有機材の多くは、製造後10年から30年以上経過した旧ソ連製であり、耐用年数を大幅に超過するなど老朽化・破損・不足は著しく、診断や治療能力は低下し、状況改善が急務となっている。
・このような状況下、同国政府は、母子保健サービスの向上をはかるため、同病院の医療機材を整備するための無償資金協力を要請した。
(3)本計画の効果
・同病院の診断・治療能力が向上することにより、1人の患者に対する診断・治療の時間が短縮され、診断・治療件数が増加(2006年の腹腔鏡手術件数757件から増加)し、入院待ち患者(1日40人)や重篤患者の受入能力が増大し、入院患者数が増加する(2006年の入院患者数1万2,276人から増加)。
・同病院の診断・治療能力向上により、同国の母子保健分野の三次医療が整備され、同国の母子保健サービスにおけるレファラル体制の強化に寄与する。
・病院の医療サービスが向上することにより、同国の母子関連の保健指標(妊婦死亡率は出生10万人対29.24人、乳幼児死亡率が出生1,000人対57人(2005年WHO))の改善に寄与する。
(参考)
ウズベキスタン共和国は、中央アジアに位置する内陸国であり、人口は約2,660万人、一人当たりGNI(国民総所得)は600ドル(世銀、2006年)の国である。独立当初より市場経済化については漸進的なアプローチを採用した結果、CIS諸国の中では独立後の経済の落ち込みは比較的緩やかであった。GDP成長率は2004年、2005年と2年連続で約7%を維持した。