
マリ共和国に対する無償資金協力(カティ市教員養成学校建設計画)に関する書簡の交換について
平成19年8月14日
- 我が国政府は、マリ共和国政府に対し、「カティ市教員養成学校建設計画」(projet
de construction d’un institut de formation des maîtres à Kati)の実施に資することを目的として、5億9,300万円を限度額とする無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月14日(火曜日)(現地時間、同日)、セネガル共和国の首都ダカールにおいて、我が方齊藤隆志駐マリ共和国特命全権大使(セネガルにて兼轄)と先方ヨロ・ジャロ在セネガル・マリ共和国臨時代理大使(Chargé
d’Affaires a.i. de la République du Mali en République du Senegal)との間で行われた。
- 本計画の概要は次のとおりである。
(1)本計画の内容
- クリコロ州カティ市の教員養成学校の建設及び教育用教材の整備に必要な資金を供与する。
(2)本計画の必要性
- マリは2002年に策定した「貧困削減戦略文書(PRSP)」において、教育分野を優先分野の1つに定めている。更に、「教育開発10ヵ年プログラム(PRODEC)」(2000年~2010年)及び「教育部門投資計画(PISE)」において、基礎教育の量的拡充と質的改善を最重要課題とし、毎年2,450名の新規教員の養成、採用及び能力向上を目標に定めている。
- マリの基礎教育は、第1サイクル(6年間)と第2サイクル(3年間)からなり、2005/06年の留年率は第1サイクルで17%、第2サイクルで22.1%とセネガル、ニジェール等の近隣国と比較して高く、教育の質の向上が大きな課題となっている。一方、教員については、1990年代に教員養成学校が閉鎖・縮小されたため、教員不足が深刻な問題となっている。このため同国政府は、短期の訓練を受けた無資格教員を養成し、採用している。
- このような教育事情の下、国民教育省はPRODECに基づき、各州に1校または2校の教員養成学校を設置し、国全体で15校の教員養成学校を設置して毎年2,450名の新規教員を養成する目標を掲げた。このうちカティ市に教員養成学校を建設するために必要となる資金について、マリ政府は我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
- 本計画の実施により、カティ市教員養成学校から毎年130名強の卒業生が新規教員となり、マリ全体で2,072名の新規教員が輩出される。
- 教員養成学校を卒業した有資格教員が増加することで、マリにおける基礎教育の質が向上し、児童の留年率や退学率が減少する。
- 第2サイクルの教員養成に必要な専門科目として、生物化学教育課程及び数学物理化学教育課程の2コースを備えることで、近年需要が高まっている理数科分野の教員の強化が図られる。
(参考)
- マリ共和国は、アフリカ西部に位置し、面積約124万平方キロメートル、人口1,390万人(2005年)、1人あたりのGNI(国民総所得)380米ドル(2005年)である。
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