(1)第三次初等教育施設整備計画(第4期)
供与限度額 5億2,600万円
(イ)本計画の内容
・ ウランバートル市の初等教育学校3校において、28の教室の建設、及び、机・椅子・黒板等の教育機材を整備するための資金を供与する。
(ロ)本計画の必要性
・ モンゴルは、「経済成長支援及び貧困削減戦略(EGSPRS)」(2003年策定)等の国家戦略において、教育の質の向上とアクセスの拡大及び2015年までの初等教育の完全普及の実現を開発課題の優先目標の一つとして掲げている。
・ 一方で、教育施設の多くが、長期使用や厳しい気象条件による損壊や老朽化により、大規模な改修あるいは建て替えが必要な状態にある。また、ウランバートル市においては近年の急激な人口流入に伴い、教育施設が著しく不足し、3部制授業や廊下・ロビーでの授業が余儀なくされているほか、居住区の拡大により学校施設がない地区も増えている。さらに、制度改革の一環として、2005年度から基礎教育が従来の10年制から11年制に拡大されたため、就学人口はさらに増加する見込みである。
・ このような状況の下、モンゴル政府は、ウランバートル市における教育環境の改善及び教育へのアクセス向上を目的として初等教育施設の建設に必要な資金につき、我が国に対して無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ)本計画の効果
・ 本計画は既に3年間実施されており、その間、市内14校(既存9校・新設5校)において合計186教室が建設され、机、椅子、黒板等の基礎的な教育機材の整備が進んだ。
・ 今期をもって通算4年間の計画が終了するが、計画全体で、市内17校(既存12校・新設5校)において合計214教室が建設され、新たに年間約17,000人の生徒を収容することが可能となり、教育へのアクセスが増進される。また、3部制授業や廊下を教室代わりに転用してきたような教育環境が改善される。
(2) ウランバートル市廃棄物管理改善計画
供与限度額 10億1,400万円
(イ) 本計画の内容
・ ウランバートル市のごみ問題を改善するため、新しいごみ埋立処分場の建設(ナラギンエンゲル処分場。面積:約27.8ヘクタール、埋立容量:272万立方メートル、ごみ収集運搬用機材(ダンプトラック、コンパクター等6種類)や埋立処分用機材(ブルドーザー、エクスカベータ等7種類)等の整備、及び、埋立方法や機材管理に関する教育・訓練を実施するための資金を供与する。
(ロ) 本計画の必要性
・ ウランバートル市では、急激な人口増加と生活様式の変化に伴い、ごみの排出量が急増しており、ごみ問題の解決が重要な課題となっている。また、既存処分場は野外投棄状態で、自然発火による大気汚染や、ごみからの浸出水による水質汚染は、市民の生活環境に多大な影響を与えている。
・ 2004年、我が国はモンゴル政府からの要請を受け、ウランバートル市のごみ問題に取り組み、「廃棄物マスタープラン(2005~2020)」を策定した。本マスタープランは、計画目標年である2020年までに、ウランバートル市に環境保全と調和する廃棄物管理システムを確立することを目標としている。
・ モンゴル政府は、このマスタープランを実現し、ウランバートル市においてごみが適切に収集・運搬・最終処分され、住民の生活環境の改善に寄与することを目的として、必要な資金につき我が国に無償資金協力を要請してきたものである。
(ハ) 本計画の効果
・ 新しい埋立処分場が建設され、ウランバートル市中心部(対象人口約87万人)から出るごみのほとんどについて、最終処分を行うことが可能となる。
・ ごみ収集・運搬機材が整備されることで、ウランバートル市中心部(特に貧困地区)におけるごみ収集率が大幅に上がり、不法投棄が減ることで市民の生活環境が改善される。
・ 埋立用機材の整備により、新処分場での衛生埋立(即日覆土等)が可能となり、処分場周辺の環境も改善する。
(参考)
モンゴルは、北東アジアに位置し、国土面積は156.7万平方キロ(日本の約4倍)、総人口約260万人、一人当たりGNIが690ドル(2005年)の低所得国(世銀ランク)である。