我が国政府は、ホンジュラス共和国政府に対し、「日本・中米友好橋建設計画」、「サン・フェリペ病院整備計画」及び「グァイモン橋架け替え計画」の実施に資することを目的として、総額24億8,800万円を限度とする無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が5月24日(木曜日)(現地時間5月23日(水曜日))、ホンジュラスの首都テグシガルパにおいて、塩崎修駐ホンジュラス大使とミルトン・ヒメネス・プエルト外務大臣(Milton
JIMÉNEZ PUERTO, Secretario de Estado en el Despacho de Relaciones Exteriores)との間で行われた。
(1)日本・中米友好橋建設計画(proyecto
de la Construcción del Puente de la Amistad del Japón y Centroamérica)
6億5,000万円
平成19年度 1億9,100万円
平成20年度 3億4,600万円
平成21年度 1億1,300万円
(2)サン・フェリペ病院整備計画(proyecto de Mejoramiento del Hospital San
Felipe)
8億8,800万円
平成19年度 1億5,200万円
平成20年度 7億3,600万円
(3)グァイモン橋架け替え計画(proyecto de Reconstrucción del Puente
Guaymón)
9億5,000万円
平成19年度 3億5,200万円
平成20年度 4億5,500万円
平成21年度 1億4,300万円
(各案件の概要)
1.「日本・中米友好橋建設計画」について
(1)本計画の内容
・ホンジュラス政府がエルサルバドルとホンジュラスの国境に架かる国境橋(日本・中米友好橋:橋長170m)の建設を実施するための資金を供与するもの。
本計画は、エルサルバドル及びホンジュラス両国に対する広域開発無償資金協力として実施することについて閣議決定をしているものであり、今回はそのうちのホンジュラス政府に対する無償資金協力に係る書簡の交換である。
(2)本計画の必要性
・メキシコと中米7か国(グアテマラ、ベリーズ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマ)では、中米地域の経済統合、持続可能な発展と住民の生活水準の向上を目指し、2001年にプエブラ-パナマ計画(PPP)を策定した。その中で中米地域を東西に結ぶ太平洋回廊と、エルサルバドルのラ・ウニオン港とホンジュラスのコルテス港を南北に結ぶ大洋間ロジスティック回廊(ドライカナル路線)を陸上交通の最重要路線として位置づけている。しかし、この2つの回廊の交差地点付近に架かっているゴアスコラン橋は、車道幅員が7.3m、許容総重量24.5tしかなく、交通のボトルネックとなっているだけではなく、老朽化に伴い安全上大きな問題を抱えている。さらに、我が国の有償資金協力により同橋の近郊にラ・ウニオン港の建設が終了される予定となっており、今後同橋の交通量が更に増える(約3,000→3,500台/日)ことが予想されていることから、国境橋の建設につき、我が国に対して無償資金協力を要請してきたものである。
(3)本計画の効果
・本計画の実施により、同橋梁を通行できる車両重量が増大(24.5→40.8t)するとともに、ラ・ウニオン港の改修等との相乗効果により、中米諸国間の物流及び経済関係の発展に資することが期待される。
2.「サン・フェリペ病院整備計画」について
(1)本計画の内容
・ホンジュラスの首都テグシガルパにある第3次医療施設であるサン・フェリペ病院の外来診療棟(鉄筋コンクリート2階建て、3,558.9㎡)及び機械棟(鉄筋コンクリート2階建て、176.4㎡)の建設並びに機材整備(X線撮影装置、超音波診断装置、血液分離遠心機、高圧蒸気滅菌装置等)に必要な資金を供与するもの。
(2)本計画の必要性
・ホンジュラスは、中米諸国の中でも保健指数が低く、特に貧困層は基礎的な医療サービスすら受けることが困難な状況が続いている。サン・フェリペ病院は、ホンジュラスの中でも2つしかない第3次総合医療施設であり、首都圏のみならず、全国から多数の患者が集まることから、同国の保健医療にとって極めて重要な病院であるが、施設の老朽化、度重なる増設による非効率な施設配置、スペース不足、機材の不足等から、狭隘で不衛生な場所での診察しかできず、機能を十分に果たせてない。このような状況から、ホンジュラス政府は、サン・フェリペ病院の外来診療棟の建設及び機材整備に必要な資金を我が国に対して要請してきたものである。
(3)本計画の効果
・サン・フェリペ病院において、衛生で安全な環境で診察を行うことができるようになることから、テグシガルパ首都圏(人口1,029,479人)を始めとした同国全体の保健環境の改善が図られる。
3.グァイモン橋架け替え計画について
(1)本計画の内容
・ハリケーンによって破壊されたグァイモン橋(橋長160m)を架け替えるための資金を供与するもの。
(2)本計画の必要性
・ホンジュラスの首都テグシガルパと北部テラ市を結ぶ幹線道路に位置する国道13号線は、国内の主要幹線道路であり、中米経済統合、域外国との貿易促進を支援する意味でも重要な路線として位置づけられている。同路線上にあるグァイモン橋は、1998年のハリケーン「ミッチ」や2005年のハリケーン「ベータ」及び「ガンマ」により橋梁の半分が破壊された。ホンジュラス政府は財政事情から新たな橋の建設を行うことができないことから、同橋の架け替えに必要な資金を、我が国に対して要請してきたものである。
(3)本計画の効果
・橋梁の安全性が確保されるとともに、近年増加している大型トレーラーが通行できるようになることから、周辺で栽培しているコーヒーやバナナを安定的に輸送することが可能となる。また、ホンジュラスのみならず中米全体の経済統合、域外国との貿易促進が促進されることも期待される。
(参考)
ホンジュラスは、中米諸国の一つであり、人口は740万人。農林牧畜業を主要産業としている。1人当たりの国民所得は、1,085米ドル。