報道発表

ギニア共和国に対する無償資金協力(「首都飲料水供給改善計画」、「ブルビネ零細漁港改善計画」及び貧困農民支援について)

平成19年11月27日
  1.  我が国政府は、ギニア共和国政府に対する以下の無償資金協力(総額15億300万円)を行うこととし、このための書簡の交換が11月27日(火曜日)(現地時間11月26日(月曜日))、同国のコナクリにおいて、我が方片岡林造駐ギニア国大使と先方アブドゥル・カベレ・カマラ外務・協力・アフリカ統合・在外自国民大臣(Abdoul Kabele CAMARA, Ministre des Affaires Etrangeres, de la Cooperation, de l’integration Africaine et des Guineens de l’Etranger)との間で行われた。
     
    1. (1)「首都飲料水供給改善計画」(供与限度額:7億4,500万円) (projet d’accroissement de la production d’eau potable dans la capitale)

      (2)「ブルビネ零細漁港改善計画(1/2期)」(供与限度額:4億4,800万円) (projet d’amelioration du port de peche artisanale de Boulbinet)

      (3)貧困農民支援(供与額:3億1,000万円)

  1.  各計画の概要は次のとおりである。
  2. (1)首都飲料水供給改善計画

      (a)本計画の内容

      •  ギニア共和国政府が、ギニアの重要課題である貧困削減を目標として、首都コナクリ市民に安全な水を安定的に供給しその生活環境の改善に資するために、生産水量の増加を図ることを目的としており、浄水場の拡張や導水管、送水管の敷設を行うための資金を供与するものである。
      •  今回の協力では、イエスル浄水場の拡張工事(生産水量:37,000m3)及び送水管(口径1,100mm、延長約3.5km)の敷設を実施する。

      (b)本計画の必要性

      •  ギニアでは、安全な飲料水を安定的に供給するための施設整備が遅れており、特に人口増加の激しい都市部では、水不足が経済成長の阻害要因となっている。首都コナクリ市では、ギニア側の努力及び各国の支援により、飲料水の供給施設が整備されつつあるが、水の供給量は首都への人口集中に起因した需要の増加を吸収できず、地区によっては一日に数時間しか給水されなかったり、全く給水されない状況にある。
      •  ギニア政府は貧困削減戦略(PRSP)において、給水分野を教育及び保健分野と並ぶ基礎的社会サービスの重要分野と位置付けている。特に、コナクリ市では、2010年(平成22年)までに95%の給水普及率の達成を目標としているが、同国の財政状況は厳しく、供給水量を増加させるための導水管、送水管の整備や浄水施設の増設が困難な状況にある。
      •  このような状況下、ギニア共和国政府は、コナクリ市への安全な飲料水の安定的供給とそれによる生活環境の改善を実現するために、イエスル浄水場の拡張及び送水管の敷設を行うための資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。 

      (c)本計画の効果

      •  本件実施により、イエスル浄水場の生産水量が現況の86,000m3/日から123,000m3/日に増加し、コナクリ市民約170万人に対し、安全な水を安定的に供給することが可能となる。
      •  生産水量の増加により、従来配水が困難であった地区への配水が可能となり、コナクリ市内の不均衡な給水状況が是正される。
      •  安全な飲料水の安定的な供給実現により、住民の生活環境が改善され、水因性疾患の罹患率が改善される。

    (2)ブルビネ零細漁港改善計画(1/2期)

      (a)本計画の内容

      •  ギニア共和国の漁業養殖省が、ブルビネ零細漁港の混雑解消と衛生状態の改善、及び漁船の水揚げ・製氷待ち時間を短縮するため、水揚げ施設の拡張、製氷・冷蔵設備の増設、鮮魚販売ホールや漁港関係者棟等の施設の建設等を行うための資金を供与する。
      •  今回の協力は計画の第1期であり、埋立、護岸整備、桟橋(50m×5m)やスリップウェイの新設、製氷機(日産10トン)・貯氷庫(10トン)整備などを実施する。

      (b)本計画の必要性

      •  同国において水産業は、国民の雇用機会を創出し食糧供給産業として重要な位置づけにあり、中でも零細漁業による漁獲量は同国の年間総漁獲量12.3万トンの約60%を占める。
      •  首都コナクリでは、5千人弱が零細漁業を営み、首都へ安定した食糧供給を行っている。特に、2000年に我が国の無償資金協力によって整備したブルビネ零細漁港については、利用漁船数はコナクリ全体の35%を占め、水揚げ量はコナクリ全体の3割が集中している(当初設計規模と比べて漁船数で2.3倍、水揚げ量で2倍。)。
      •  他方、水揚げと港湾関係者等の増大により、当初想定していなかった地域市場としての機能を有するに至り、水揚げ漁港として増大する水揚げ量に対応できないのみならず、係船・荷捌き等の既存施設が常に飽和状態となり、衛生的、安全かつ効率的な水揚げ作業に支障を来しているのが現状である。
      •  このような状況の下、ギニア共和国政府は、ブルビネ零細漁港の敷地拡張、水揚場拡張、漁港関係者棟の施設建設等を行うための資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。

      (c)本計画の効果

      •  新桟橋の併設により、水揚げが効率的、安全かつ円滑に行えるようになり、接岸待ち時間も平均10分程度と約5分の1に短縮される。
      •  既存の製氷設備・冷蔵庫と同規模の能力が増設されることにより、氷供給率が約44%から約90%に改善される。
      •  漁船の製氷待ち時間や待機休漁日数の減少により出漁効率が高くなる。底魚漁船は、年間6航海の増加が期待され、1隻当たり年間約3トンの増産が期待できる。

       なお、上記(1)及び(2)の案件については、2006年にギニア政府との間で交換公文を締結した「コナクリ市飲料水供給改善計画(2/2期)」及び「ブルビネ零細漁港拡張計画(1/2期)」が、2007年前半に治安情勢が不安定となったことから取りやめとしていたが、その後治安情勢が安定したことを踏まえ、同内容の案件として実施を決定したもの。

    (3)貧困農民支援

      (a)本計画の内容

      •  貧困状況に置かれたギニアの農民に対する支援と、同国政府の農業振興政策への協力を目的として、主要作物(イネ、トウモロコシ、キャサバ等)に必要な肥料と、その輸送に必要な資金を供与するものである。

      (b)本計画の必要性

      •  ギニア共和国は、人口の4割(農村人口の53%)が貧困ライン以下にある世界の最貧国の一つであり、全人口の64%が農村に住み、労働人口の82%が農業に従事しているが、天水依存型で肥料も殆ど使わない粗放的農法が主流であることもあり、カロリーの摂取元である米の自給率すら6割に満たず、慢性的な食糧不足を抱えている。
      •  ギニア政府は、農業セクターを貧困削減政策の中心に位置付け、食糧安全保障と収入機会の改善に取り組んでいる。しかし、食糧増産に必要とされる肥料もギニア国内では生産されていないため、各国や国際機関の支援に依存するなど、深刻な食糧不足が続いており、現在もなお多くの農民の生活は貧困状況に置かれている。

      (c)本計画の効果

      •  ギニア共和国における食糧増産及び貧困削減が図られる。
      •  今回の貧困農民支援によりギニア政府により積み立てられる見返り資金は、同国の社会、経済開発事業に使用される。

    (参考) ギニア共和国は、アフリカの西岸、北緯10度前後に位置し、国土面積は約25万平方キロメートルと我が国本州とほぼ同じ面積で多様な自然と民族を抱えている。同国総人口は約940万人。

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