
日・カザフスタン外相会談
平成22年3月24日
本24日(水曜日)午後7時30分から午後9時30分頃まで、岡田外務大臣は、外務省賓客として訪日中のサウダバエフ・カザフスタン国務長官兼外相 と飯倉公館において会談及び夕食会を行い、日・カザフスタン関係、国際場裡における協力や地域情勢につき意見交換を行ったところ、外相会談及び夕食会の概 要は以下のとおりです。また、外相会談終了後に、「日・カザフスタン外相会談に関する共同プレス発表」を発出しました。
- 冒頭
(1) 岡田大臣から、サウダバエフ国務長官兼外相の訪日を歓迎するとともに、中央アジアの地域大国であるカザフスタンは我が国にとって重要なパートナーであり、同国が2010年の欧州安全保障協力機構(OSCE)議長国として、国内の更なる民主化と、OSCE地域の安定と発展に向けイニシアティブを発揮す ることを期待する旨述べました。
(2) サウダバエフ国務長官兼外相から、一昨年6月のナザルバエフ大統領の訪日の際に確認されたとおり、カザフスタンにとっても日本は「戦略的パートナー」であり、OSCE議長国としても、アジア・パートナー国である日本との協力強化を図りたい旨述べました。
- 経済協力
(1) 岡田大臣は、カザフスタンから要請のあった「CAREC物流回廊(ジャンブル州)整備計画」について、63億6,100万円の円借款を供与することを決定したことを伝え、この道路整備により、カザフスタン南部の物流回廊の輸送力が増強され、地域経済の発展及び地域間の経済格差が是正されることを期待 する旨述べました。
(2) サウダバエフ国務長官兼外相から、日本の支援に対する謝意が述べられました。
- 二国間経済関係
(1) 岡田大臣から、原子力分野における両国の協力が大きく進展する可能性に言及しつつ、3月2日に署名された日・カザフスタン原子力協定の早期締結に向けて協力していきたい旨述べました。また、両国の投資の促進及び投資環境の整備についても重視しているとして、投資協定の締結に向けた作業の進展を期待す る旨述べました。
(2) サウダバエフ国務長官兼外相から、原子力協定の署名など特に原子力分野における両国間協力が進展していることは、両国間の信頼関係の深さの証左であり、資源国カザフスタンと先端技術と大きな投資可能性を有する日本とが協力を進めることで、二国間経済関係は更に緊密化する可能性が高いとの見方が示され ました。
- 「中央アジア+日本」対話の下での協力
岡田大臣から、「中央アジア+日本」対話の下で地域内協力を推進する日本の立場につき説明し、両外相は、同対話の第3回外相会合の開催に向けて引き続き協力していくことで一致しました。
- 気候変動
(1) 岡田大臣から、カザフスタンが気候変動に関するコペンハーゲン合意への支持を表明し、削減目標を提出したことを評価する旨述べました。
(2) サウダバエフ国務長官兼外相から、カザフスタンにおいても山頂の冠雪量の減少や洪水の多発などの形で気候変動の影響が現れており、気候変動問題への取組みは同国にとっても極めて重要である旨述べました。
(3) 両外相は、気候変動分野において国際的な取り組みを更に進める必要があるとの認識を共有し、引き続き協力していくことで一致しました。
- 核軍縮・不拡散
(1) 岡田大臣から、核廃絶に向けたカザフスタンのイニシアティブを高く評価しており、核兵器のない世界を実現すべく、カザフスタンを始め各国と協力していきたい旨述べました。
(2) サウダバエフ国務長官兼外相から、岡田大臣の考え方に賛意を示しつつ、双方が核の惨禍を経験した国として、日・カザフスタン両国ほど互いを理解し合える国は他になく、カザフスタンとしても、核軍縮・不拡散分野における日本との協力を推進していきたい旨述べました。
(3) 岡田大臣から、日本は、日・カザフスタン非核化協力委員会を通じ、IAEAとも協力して、カザフスタンの核物質防護強化等を目的とした事業の実施に向け作業中であり、本事業が早期に実現し、核セキュリティの向上に資することを期待する旨述べました。
- 国連安保理改革
(1) サウダバエフ国務長官兼外相から、日本の安保理常任理事国入りを一貫して支持するカザフスタンの立場を述べたのに対し、岡田大臣から謝意が述べられました。
(2) 両外相は、常任議席の拡大を含む改革の早期実現に向けて共に取り組んでいくことで一致しました。
- 地域・国際情勢について
この他、両外相は、カザフスタンが2010年の議長を務めるOSCEや同国が推進するアジア信頼醸成措置会議(CICA)を始めとする様々な国際的枠組みの下での協力、アフガニスタン支援や周辺国との関係を含む地域情勢等について意見交換を行いました。