
バヌアツ共和国の「サラカタ川水力発電所改善計画」に対する無償資金協力について
平成19年1月26日
- 我が国政府は、バヌアツ共和国に対し、「サラカタ川水力発電所改善計画」(the project for Improvement of Sarakata River Hydroelectric Power Station)」の実施に資することを目的として、総額5億7,300万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が1月26日(金曜日)、ポートビラにおいて、我が方滑川雅士駐バヌアツ大使(フィジーにて兼轄)と先方サトー・キルマン副首相兼外相(Hon. Sato Kilman, The Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs)との間で行われた。
- バヌアツでは電力系統整備による電化地域は、首都ポートビラ市(エファテ島)と本計画対象地であるルガンビル市(サント島)のみであるが、電源をディーゼル発電に依存しており、高価な燃料の輸入が同国経済にとって大きな負担となっていた。そのため我が国は、1993から1994年にサラカタ川水力発電所(300キロワット×2台)を整備し、ディーゼル発電から水力発電に転換することで燃料費を削減させ、同国の国際収支の改善に大きく寄与してきた。また、燃料費削減で得られた資金を活用して、サント島全域及び離島の電化を促進してきたところである。他方、近年サント島全域における電力需要が高い伸び率を示し、既設のサラカタ川水力発電所の定格容量では近年の電力需要を賄いきれなくなったことから、1996年に32%であったディーゼル発電所への依存度が、2005年には61%まで増加し、輸入燃料の高騰が同国経済を圧迫している。また、雨期の降雨による地盤の緩みとしばしば発生する地震の影響によって、同水力発電所の既設導水路支持基盤に地割れ、沈下などの地盤変状が見られており、特に取水口の一部では、河川の増水による地崩れが発生し、導水路が倒壊する危険がある。
このような背景のもと、バヌアツ政府は、安定した電力供給に資することを目的として、導水路等周辺地盤の崩落対策及び同発電所への発電機調達等を内容とした「サラカタ川水力発電所改善計画」を策定し、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、導水路等の恒久的補修によりサラカタ川水力発電所の発電に必要な水量が将来に亘って確保され、同発電所の継続した利用が可能となること、総設備容量の増強により石油燃料の削減に寄与すること等が期待される。
(参考)
バヌアツ共和国は南太平洋西部に南北約1,200キロメートルに広がるエファテ島、サント島など主要12島とその他の約70の島々で構成され、人口は約22万人、面積の合計は約1万2千平方キロメートル(新潟程度)。