報道発表

ネパールの「短波及び中波放送局整備計画」に対する無償資金協力について

平成18年9月13日
  1. 我が国政府は、ネパール政府に対し、「短波及び中波放送局整備計画」(The Project for the Improvement of Short Wave and Medium Wave Radio Broadcasting Stations)の実施に資することを目的として、総額9億3,700万円を限度とする無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、9月13日(水曜日)、カトマンズにおいて、我が方平岡邁駐ネパール国大使と先方ビッダャダール・マリック大蔵省次官(Mr. Bidhyadhar Mallik, Secretary, Ministry of Finance, the Govenment of Nepal)との間で行われた。
  2. ネパール政府は、貧困削減を最終目標とする第10次5カ年計画(2002~2007年)において、「基本的な社会サービスの効果的な提供と経済インフラの整備」を1つの柱として、「全ての国民がラジオ放送を利用できるようにすること」を目標に掲げており、すべての国民が等しく情報にアクセスすることが、ネパールにおける貧困、社会的不平等を削減する手段の1つとして認識されている。
  3. ネパール国で唯一全国放送サービスを実施している公共ラジオ局であるラジオネパールの全国中波ラジオ放送網は、1981年及び1988~1989年に我が国からの無償資金協力により、中波送信所が整備された結果、人口カバー率が約75%(1991年)になったものの、バルディバス送信所がマオイストによる破壊活動を受けたことや機材の老朽化などにより人口カバー率が約48%に低下しているほか、放送停止などのトラブルの頻発、老朽化した送信機保守のために放送時間が減少している。また、中波放送が届かない地域には短波放送により対応しているが、短波放送局が機能低下により十分に機能していない。このためネパール政府は、ラジオ放送設備を更新し、全国放送網の再構築を図るため、中波放送局舎・施設の改修、機材の更新等に必要な資金につき、我が国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
  4. 本件の実施により、中波放送による人口カバー率が48%から75%に拡大するとともに、放送時間が1日当たり16時間から1日当たり18時間に増加される。また、貧困層の多い遠隔地において、農業、保健・衛生、教育などの情報へのアクセスが容易となり、経済産業活動が促進されるとともに、生活環境が改善することにより貧困削減が期待される。

(参考)
 ネパールは約14万7,000平方キロメートルの国土と約2,321万人の人口を有し、北はヒマラヤ山脈をはさんで中国と、南はタライ平野と呼ばれる東西に広がる平坦地でインドと国境を接する内陸国である。一人当たりのGNI(国民総所得)は約260ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が政府の最重要課題の一つである。

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