
カンボジアの「主要国際港湾保安施設及び機材整備計画」に対する無償資金協力について
平成18年8月30日
- 我が国政府は、カンボジア王国に対し、「主要国際港湾保安施設及び機材整備計画」(the project for the Improvement of Security Facilities and Equipment in Main International Ports)の実施に資することを目的として、総額9億2,700万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月30日(水曜日)、プノンペン市において、我が方高橋文明駐カンボジア王国大使と先方ハオ・ナムホン副首相兼外務・国際協力大臣(Mr. Hor Namhong, Deputy Prime Minister, Minister of Foreign Affairs and International Cooperation)との間で行われた。
- 2001年9月11日に米国で発生した同時多発テロ以降、全世界でテロに対する警戒・危機意識が高まっている。特に、国際港湾及び国際船舶の安全対策については、国際船舶の航行及び港湾関係の保安対策について定めたSOLAS条約(海上における人命の安全のための国際条約)が改正され、同条約のなかで船舶及び港湾施設の保安のために各国が遵守すべきものとして定められている規定(ISPSコード)が改正されるなど、近年、港湾関係の保安体制の強化が各国に求められている。
カンボジアでは、シハヌークビル港及びプノンペン港が全ての国際海上輸送を担う国際港湾であり、港湾内を航行する船舶に対する警備及び港湾施設内の警備に努めているところであるが、施設及び機材の不足から、保安体制が十分ではなくISPSコードで定められる条件を満たすことができない状況にある。
現在のような状態が続いた場合、同港湾を利用する船舶の安全が確保されないばかりか、国際条約により定められた要件を満たさないため、カンボジアの海上輸送に対する国際的信頼が失われ同国の経済活動に支障を与えるおそれがある。
このような状況に鑑み、カンボジア政府は、上記2つの主要国際港において港施設保安計画を策定し、保安対策強化のために必要な保安管理棟等の施設及び船舶航行監視システム、X線コンテナ検査装置等の機材を整備するための費用につき、我が国に無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、カンボジアの主要国際港湾の保安体制が強化され、同港湾及びこれを利用する船舶の安全が確保されるとともに、国際条約で定める条件を満たすことにより、カンボジア港湾の国際的信頼が維持され、同国の円滑な海上輸送が確保される。また、周辺国の国際港湾と同程度の保安体制が確立されることにより、カンボジアがテロの温床となる可能性が低減し、国内の治安が維持され、周辺の東南アジア地域におけるテロ対策に寄与することが期待される。
(参考)
カンボジア王国は、東南アジアに位置し、人口1,410万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は337ドルである。