
エチオピアの「小児感染症予防計画」のためのユニセフに対する無償資金協力について
平成18年8月24日
- 我が国政府は、エチオピア連邦民主共和国における「小児感染症予防計画」(the project for Infectious Diseases Prevention for Children in the Federal Democratic Republic of Ethiopia)の実施に資することを目的として、ユニセフ(国際連合児童基金)に対し5億2,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月24日(木曜日)、アディスアベバ市において、我が方中津川伸一在エチオピア臨時代理大使と先方ビヨルン・リングクィスト在エチオピア・ユニセフ事務所代表(Mr.Bjorn Ljungqvist, the Representative of the UNICEF Office in Ethiopia)との間で行われた。
- エチオピアでは、政府、ユニセフ、WHO(世界保健機関)を中心としてポリオ撲滅活動のための調整委員会が形成されており、国際機関、二国間援助国、NGO(非政府組織)が委員となって、エチオピア政府に対し、資金協力だけでなく、政策策定支援や技術支援を行っている。同委員会の協力をもとに1996 年からポリオ・ワクチンの全国一斉投与(NID/SNID)が開始され、この結果、1996年には264件だったポリオ発生件数は、2001年1月から2004年12月までに0件となった。しかしながら同年12月以降、スーダン国境地域で4年振りにポリオ野生株が発生し、現在までに24件の発症が報告されている。そのため今後の流行を予防すべく、エチオピア政府及びユニセフは、ポリオ・ワクチン一斉投与の実施を今年10月と11月に予定している。
また、エチオピアでは、マラリアの流行が特に子供及び妊娠女性の健康に深刻な影響を与えている。2003年の流行期には6ヶ月の間に4万5,000人以上がマラリア感染の結果、死亡している。このため、エチオピア政府はマラリア撃退計画を策定し、ユニセフによる指導の下、2010年までに全世帯の60%に対する蚊帳の配布を目指している。
- このような状況のもと、エチオピア政府、ユニセフと我が国との間でエチオピアにおけるポリオ・ワクチン一斉投与及びマラリア対策への支援の可能性につき検討が行われ、その結果、エチオピア政府及びユニセフは、小児感染症予防計画を実施するために必要なワクチン及び機材並びにそれらの調達に関連する役務の供与に必要な資金につき、我が国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- 本計画の実施により、10月に予定されている第1回ポリオ・ワクチン一斉投与における対象計画人口の80%(1,300万人)分の経口ポリオ・ワクチンが供給される。
また、薬剤塗布型の蚊帳の供与により、アムハラ州における75万人に対するマラリア感染予防が期待されている。
- なお、本件は、アフリカにおけるマラリア対策のために我が国が表明した1,000万帳の蚊帳の供与を具体化するものである。また、2003年に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカへの支援の一環として実施されるものである。
(参考)
エチオピアは、総人口が7,240万人(2004年)で、一人当たり国民総所得が110ドル(2004年)である。