報道発表

ヨルダンの「第二次ザルカ地区上水道施設改善計画(1/3)」に対する無償資金協力について

平成18年7月14日
  1. 我が国政府は、ヨルダン・ハシェミット王国政府に対し、「第二次ザルカ地区上水道施設改善計画(1/3)(the project for Improvement of the Water Supply for the Zarqa District (Phase II)」の実施に資することを目的として、総額5億1,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が7月14日(金曜日)、アカバ市において、中東訪問中の小泉純一郎総理及びバヒート・ヨルダン首相の臨席の下、我が方加藤重信駐ヨルダン国大使と先方スハイル・アリ計画・国際協力大臣(H. E. Mrs. Suhair Al-Ail, Minister of Planning and International Cooperation)との間で行われた。
  2. ヨルダンの国土の約80%は砂漠または荒地であり、同国の国民一人当たりの年間水資源賦存量(水資源として理論上人間が最大限利用可能な水の量)は200立方メートル以下(世界平均7700立方メートル)と極端に少ない上、急速な人口増加により水不足は深刻化している。同国では限りある水資源の有効かつ公平な利用が常に最重要課題と位置付けられている。現在の「国家経済社会3ヶ年計画(2004-2006)」では無収水の減少(48%(2003年)から40%(2006年))、水道施設の財務能力の改善、家庭用水への水配分の増加、地下水の過剰揚水の制限等に関する目標を定めている。
     ザルカ地区は、ザルカ市、ルセイファ市、ハシミエ市、スフナ市から成る、アンマンの北東35Kmに位置する有数の工業地域であるとともに、パレスチナ難民及びイラク戦争後は多くのイラク人が同地区に流入しており人口増加が著しい。我が国は開発調査「ザルカ地区上水道施設改善計画調査」を1994年から1996年にかけて実施し、適正給水と無収水量削減等に関する提言を行った。ヨルダン水公社(WAJ)は同提言に基づき配水管網の敷設替え等を実施してきているが、近年では高台に住宅地が拡大されていることから、これまでの給水方法では高い給水圧を必要とするため、配水管の破裂や漏水等の問題が懸念されており、自然流下による送水及び適切な配水区の設定による改善が必要とされている。
     こうした状況を受け、ヨルダン政府はザルカ市、ハシミエ市及びスフナ市を対象とした「第二次ザルカ地区上水道施設改善計画」を策定し無償資金協力を要請してきた。
  3. この計画の実施により、配水区が設定され適切な給水圧が確保されることで漏水率が改善し、水配分計画が適切に実施されることで同地区の37.4万人の一日あたりの水使用量が84㍑から113㍑に増加し、同地区の給水状況の改善が期待される。

(参考)
 ヨルダンは中東の非産油国で、面積は8.9万平方キロメートル(日本の約4分の1)、約535万人の人口の約7割以上をパレスチナ系住民が占めている。ヨルダンは中東地域の安定確保の鍵を握る重要な国であり、中東和平プロセスに積極的な役割を果たす一方で、パレスチナ情勢やイラク情勢等の影響を受けやすい脆弱な社会・経済構造を有している。我が国は同国の経済構造改革への積極的な取り組みを評価するとともに同国を中東における我が国援助の重要国と位置付け援助を実施している。

このページのトップへ戻る
目次へ戻る