報道発表

「水と衛生に関する拡大パートナーシップ・イニシアティブ」の発表について

平成18年3月16日
  1. 3月16日(木曜日)からメキシコ・シティで開催される第4回世界水フォーラム・閣僚級国際会議の機会に、わが国は、水と衛生に関するわが国のODA(政府開発援助)の新たな政策として、「水と衛生に関する拡大パートナーシップ・イニシアティブ(WASABI:Water and Sanitation Broad Partnership Initiative)」を発表することとした。
  2. 安全な飲料水と基本的な衛生施設へのアクセス拡大は、ミレニアム開発目標(MDGs)のターゲットの一つであり、また、貧困や飢餓の削減をはじめとする他の目標の達成に極めて重要な要素である。しかし、依然として約11億人が安全な飲料水にアクセスできず、約26億人が基本的な衛生施設へのアクセスがない状況にある。
     わが国は、水と衛生分野における世界一の援助国である。2000~2004年に同分野のDAC諸国援助総額の41%に当たる46億ドルのODAを実施した。
  3. 本イニシアティブは、わが国の水と衛生に関する豊富な経験、知見や技術を活かし、国際機関、他の援助国、NGO等と連携しつつ、開発途上国の自助努力を一層効果的に支援することを目的としている。このために、1)統合水資源管理(参考1)の推進、2)安全な飲料水と衛生の供給、3)食料生産等のための水利用支援、4)水質汚濁防止と生態系保全、5)水関連災害による被害の軽減に関する包括的取組を実施していく。

(参考)

  1. 統合水資源管理(IWRM)の概念: 「統合水資源管理」においては、1)自然界での水循環における水のあらゆる形態・段階(水資源と土地資源、水量と水質、表流水と地下水など)を統合的に考慮すること、2)従来別々に管理されていた水に関連する様々な部門(河川・治水、上下水道、農業用水、工業用水、生態系維持のための水など)を考慮すること、3)中央政府、地方政府、民間セクター、NGO、住民などあらゆるレベルの利害関係者を含む参加型アプローチを目指す。そして、このような方法で水を計画的に管理することによって、生態系の持続可能性を損なうことなく、水の便益を衡平な方法で最大化することを目的とする。
  2. わが国のODAの実施による効果として、例えば、1980年代以降に実施した上水道整備に関する円借款案件では、世界各地で1億人以上の人々が安全な飲料水にアクセスできるようになると期待されている。
  3. 水と衛生分野でのパートナーシップの好事例としては、以下のようなものがある。
    • プノンペン(カンボジア)の水道整備: 無償資金協力により整備した施設の運営を技術協力で支援。その際、日本の自治体(北九州市)のノウハウを活用。
    • バングラデシュのヒ素対策: 飲料水のヒ素汚染対策をNGO(特定非営利法人アジア砒素ネットワーク)との連携により実施。保健、農業、環境などの分野横断的な取組を展開。
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