
貧困農民支援によるエリトリアにおける農薬処理・訓練事業に対する支援について
(国連食糧農業機関(FAO)経由で実施するもの)
平成18年2月28日
- わが国政府は、国際連合食糧農業機関(FAO)を通じ、エリトリアにおいて実施されるオブソリート農薬処理・訓練事業に関し、6,500万円(約61万ドル)の貧困農民支援を実施することとし、このための書簡の交換が、2月28日(火曜日)ローマにおいて、わが方中村雄二駐イタリア国大使と先方デヴィッド・ハチャリックFAO事務局次長(Mr. David HARCHARIK, Deputy Director General)との間で行われた。
- FAOの調査によれば、アフリカ諸国には使用されないまま期限切れとなったオブソリート農薬が約5万トンあると推定される。こうした農薬は、環境や人体に悪影響を及ぼす恐れがあるため、FAOは途上国における持続的な農業生産努力を支援する観点から、アフリカ等の危険な農薬を廃棄すると同時に、農薬に関する正しい知識の伝達、農薬に依存しない農法の普及等を通じて、さらなる蓄積の防止を促す事業を展開している。
- FAOの推定では、エリトリアには有効期限の切れた農薬が390トンある。わが国は、エリトリアにおける農民の食糧生産向上にむけた努力を真に持続的なものとする支援の一環として、FAOを通じたオブソリート農薬処理・訓練事業を支援することとした。
本事業では、同国中の期限切れ未使用農薬の種類、倉庫、量、保存状態を把握し、検査の上、使用可能なものと廃棄が必要なものに区分、補修の必要な農薬収納庫を改善し、同国の農薬管理に係わる政策と国内法の見直しを支援するともに、農民に対し、農薬に関する正しい知識と農薬に依存しない農法に関する指導を行うものである。なお、FAOは、本事業の完了後、次の段階では廃棄の必要な未使用農薬を中央の集積所に集め、梱包した農薬を最終的に海外に移送し、適切な施設のもとで廃棄する予定である。
- 今回の支援を通じて、エリトリアにおける農薬問題が解決に向けて進展し、同国の持続的な農業開発に寄与することが期待される。
(参考)
(1)オブソリート農薬とは、製造された当初の目的を果たすことがもはや出来なくなり、他の用途にも役立たなくなったため、廃棄しなければならなくなった農薬のことを指す。
(2)平成14年12月、わが国は旧食糧増産援助に対する抜本的な見直しを行い、農薬については国際機関が責任をもって供与する場合を除いて、供与しない方針を決定した。わが国によるオブソリート農薬処理事業への貢献は、開発途上国の農薬等の使用・管理について意識を高め、開発途上国の食糧自給のための自助努力を支援するとの観点から極めて重要である。