(1)ノン・プロジェクト無償資金協力 13億円
(2)貧困農民支援 4億6,000万円
(1)ケニアではケニア版PRSPである経済再生戦略(Economic Recovery Strategy: ERS)を改訂し、世銀、IMFの承認を受けたIP-ERS(Investment Programme for Economic Recovery Strategy)を基に貧困削減に取り組んでいる。昨年4月に公表されたIP-ERS進捗状況年次報告書によれば、IP-ERSに示された諸改革等の進展状況は全体的に遅れがちであり、IP-ERSに示された目標の達成には、戦略/政策を実行に移すことへのコミットメント強化、政府調達制度の改訂による政府支出プロセスの改善(迅速化)、省庁のキャパシティ・ビルディングが必要とされている。
(2)貧困削減に資するケニア政府の主な取り組みとしては、初等教育無償化が挙げられる。2003年から行われている努力によって、2004年の初等教育総就学率は99.8%となっている。また、政府は大統領府の主導の下、貧困層の割合が多い乾燥・半乾燥地域における生活環境改善を目的とした分野横断的プログラムに取り組んでいる。
(3)更に、ケニア政府は2002年の大統領選挙以降、活動停止状態に陥っていた政府特別委員会の一つである貧困削減委員会を2005年1月に再発足させた。同委員会は、政府諸機関によって実施されている貧困削減への取り組みを調整・モニタリングすること、基本的社会サービスを提供する省庁の貧困削減指標達成のための戦略を策定・実施支援すること、貧困削減推進の宣伝広報に取り組むこと等を目的として、貧困削減に取り組んでいる。
(4)今回のノン・プロジェクト無償資金協力は、ケニアにおける貧困削減等の構造改善計画の実施を支援するもので、この計画の一層の推進に必要な商品を輸入する代金の支払いのために使用される。
(1)東アフリカで比較的工業化の進んだケニアでも農業部門は重要なセクターであり、国内総生産の26%、労働人口の6割を占めている。主食であるトウモロコシおよび小麦ともに自給に至ってはおらず、数十年ぶりといわれる干魃により深刻な食糧不足に苦しんでいる。我が国もキバキ大統領より小泉首相への要請を踏まえ、WFP経由の食糧援助を実施している。しかし、同国は一部の灌漑農地を除き、天水依存の伝統的農法を採用しており、1990年代以降、顕著な農業分野の改善はなく、農業生産は向上していない。
(2)このような中、2002年に誕生したキバキ政権は、「農業再活性化計画」を掲げ、貧困農民への支援を通じて食料安全保障を目指すことを優先課題としているが、ケニアでは化学肥料が全く生産されていないことから、肥料が圧倒的に不足している。
(3)こうした農業事情について国連ミレニアム・プロジェクト代表のジェフリー・サックス教授も、「ミレニアム開発目標達成のためにはケニアへの肥料の投入が極めて重要」と指摘している。ケニア政府は、調達肥料を国内市場に販売するとともに、調達肥料のうちの少量(約300トン)を現地NGOの協力を得て、小分けに袋詰めし、約一万世帯の貧困農家に配布する計画である。
(4)この無償資金協力により、ケニアの食糧生産が向上することが期待される。
(参考)
ケニアは、東アフリカに位置し、総人口が3,318万人(2004年)で、一人当たりGDI(国内総所得)は360米ドル(2002年)である。