
ネパールの「地方都市上水施設改善計画」に対する無償資金協力について
平成17年12月7日
- わが国政府は、ネパール王国政府に対し、「地方都市上水施設改善計画」(The Project for the Improvement of Water Supply Facilities in Urban and Semi-urban Centres)に資することを目的として、11億2,400万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月7日(水曜日)、カトマンズにおいて、わが方平岡邁駐ネパール国大使と先方バヌ・プラサド・アチャリヤ大蔵省次官(Mr. Bhanu Prasad Acharya, Secretary, Ministry of Finance, His Majesty's Government of Nepal)との間で行われた。
- ネパール政府は、貧困削減を最終目標とする第10次5カ年計画(2002~2007年)において、飲料水供給に関する政策目標として、給水普及率の向上、安全な飲料水確保のため水質の改善を目指しており、これにより地域住民の水因系疾病の軽減等健康・衛生面の状況を改善し、それに伴い社会経済の成長と発展を図ることとしている。
ネパール東部に位置する3都市(ドゥラバリ、ガウラダ、マンガドゥ)は、既存の水道施設があるものの、浄水場や消毒施設等がないため、ドゥラバリ地域では雨季時に濁度が高い(20~30NTU、WHOガイドライン値5NTU)、ガウラダ地域及びマンガドゥ地域では鉄分濃度が高い(ガウラダ:1リットルあたり2.6~8.4ミリグラム、マンガドゥ:1リットルあたり2.2~5.7ミリグラム、WHOガイドライン値1リットルあたり0.3ミリグラム)など水質に問題があり、飲料水としては適さない状況となっているほか、不衛生な飲料水による水因性の疾病(下痢、チフス等)が発生しており、飲料水の水質改善が緊急の課題となっている。また、近年の人口増加(年率約3%増)により、将来の水需要の増加への対応が必要となっている。
このためネパール政府は、3地域における水質を改善して、住民が安全で安定的な給水を受けられ、生活環境が改善されることを目指して、浄水場、配水施設の建設、配水管の増強等に必要な資金につき、わが国に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- 本計画を実施することにより、飲料水の高濁度(雨季時)、鉄分濃度が低減化され、飲料水の水質が改善されるほか、給水能力の向上により、給水量、給水時間の増加が図られる。また、飲料水の水質の改善により、水因性疾病の軽減が期待される。
- なお、本件援助は、ネパールにおけるマオイスト問題の根底にある貧困問題・社会不平等などの軽減に大きく貢献するものとなるとの認識の下、供与されるものである。
(参考)
ネパール王国は約14万7,000平方キロメートルの国土と約2,321万人の人口を有し、北はヒマラヤ山脈をはさんで中国と、南はタライ平原と呼ばれる東西に広がる平坦地でインドと国境を接する内陸国である。一人当たりのGNI(国民総所得)は約260ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が政府の最重要課題の一つである。