報道発表

カンボジアの「第二次プノンペン市小学校建設計画」ほか2件に対する無償資金協力について

平成17年8月29日
  1. わが国政府は、カンボジア王国政府に対し、「第二次プノンペン市小学校建設計画」、「感染症対策計画」および「バンティミエンチャイ州モンゴルボレイ病院整備計画」の実施に資することを目的として総額14億7千1百万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、8月29日(月曜日)、プノンペンにおいて、わが方井上進在カンボジア王国臨時代理大使と先方ハオ・ナムホン副首相兼外務国際協力大臣(H.E. Mr. HOR Namhong, Deputy Prime Minister and Minister of Foreign Affairs and International Cooperation)との間で行われた。

    (1)「第二次プノンペン市小学校建設計画」
    the Project for the Construction of Primary Schools in Phnom Penh, Phase II
      供与限度額  5億1,000万円

    (2)「感染症対策計画」
    the Project for Infectious Disease Control
      供与限度額  2億7,800万円

    (3)「バンティミエンチャイ州モンゴルボレイ病院整備計画」
    the Project for the Improvement of Mong Kul Borey Hospital in Banteay Meanchy Province
      供与限度額  6億8,300万円

  2. (1)「第二次プノンペン市小学校建設計画」
     カンボジア政府は「万人のための教育」達成を目的として、特に基礎教育におけるアクセスの公平化および質・効率の改善に力を注いでおり、全国の純就学率は90%(2003/2004年度)に達している。
     しかし、プノンペン市内の小学校においては教室数が大幅に不足しており、複数シフト(二部制または三部制)や固定教室をもたない移動クラスの実施を余儀なくされている学校が殆どである。このため、授業時間の短縮や過密授業による学習効率の低下という問題を抱えている。さらに、施設の老朽化が進んでいる学校が多く、また、学齢児童人口の更なる増加が見込まれることから、早急な教室の増設・建替が必要となっている。
     このような背景の下、カンボジア政府からの要請を受けて、わが国は平成16年度無償資金協力によって、プノンペン市内の5小学校における校舎の増設・建替を実施しているが、右に続く第2次分として、特に教室建設の必要性・緊急性が高い6校について同様の協力要請が行われたものである。
     この計画の実施により、対象6校(生徒数13,500人)において合計113教室が建設されることから、三部制および移動クラスが解消されるとともに、1クラス当たり平均生徒数が現状の50人からカンボジア標準の40人に改善されることが見込まれる。また、各対象校に男女別トイレおよび身障者用トイレブースやスロープが整備されることから、衛生状況および就学条件の改善が期待される。

    (2)「感染症対策計画」
     カンボジアは、麻疹やポリオなど予防可能な疾患を一因とする高い乳幼児死亡率(乳児千人当たり97人、5歳未満児千人当たり140人)、WHOより結核対策最重点国の指定を受けるほどに高い結核罹患率(人口10万人当たり540人)等、保健分野において深刻な問題を抱えている。
     このため、同国政府は完全予防接種率80%の達成等の具体的目標を掲げて改善に取り組んでいるが、コールドチェーンの未整備や老朽化、ワクチンや関連資機材の不足等によって、独力ではこうした目標の達成が困難な状況にある。
     このような背景の下、カンボジア政府よりワクチン、コールドチェーン機材、抗結核薬等の購入に係る無償資金協力の要請が行われたのを受けて、わが国はこれまでに平成15年度及び16年度の二期に亘って協力を行って来た。
     第三期目の協力となる今次計画においては、各種ワクチンの調達によって、2006年に全国の5歳未満児(約146万人)を対象とする麻疹の予防接種キャンペーン、国境地帯や大都市の感染リスクが高い保健区の5歳未満児(約30万人)を対象とするポリオの予防接種キャンペーンおよび全国の新生児(約37万人)を対象とするB型肝炎の定期予防接種が実施可能となることが見込まれる。
     また、コールドチェーン機材の増強によって、これらワクチンの保管条件が改善され、予防接種の効果・効率が向上することが期待される。さらに、抗結核薬の調達によって、全国の約3万9千人の成人患者およ約1,300人の小児患者に対する適切な治療が可能となることが見込まれる。

    (3)「バンティミエンチャイ州モンゴルボレイ病院整備計画」
     モンゴルボレイ病院は、タイと国境を接して物流の要衝に位置する一方で、最貧困地帯を多く含むバンティミエンチャイ州にあって、トップ・リファレル機能を担っており、同州において外科手術が可能な唯一の病院である。同病院は1964年にわが国の資金協力(戦後準賠償)によって建設された後、技術協力の対象ともなったことから、「日本病院」として親しまれている。しかし、同病院の施設は経年に伴って老朽化が顕著であり、また、医療機材も耐用年数超過ないし未整備の状態にあることから、適切な質・量の医療サービスを提供することが困難な状況にある。
     このような背景の下、カンボジア政府よりわが国に対して、「モ」病院施設の建替・増築および医療機材の調達について無償資金協力の要請が行われたものである。
     この計画の実施により、「モ」病院のうち特に重要な外科診療部門の施設(救急・放射線棟、手術棟、外科病棟、産婦人科棟)の建て替えを通じて、病院の構造や機能が改善されて院内の安全性が高まるとともに、病棟の間仕切り改善によって入院患者の精神的負担が緩和されることが見込まれる。また、関連医療機材の更新・拡充を通じて、同病院における医療サービスの質が向上するとともに、計画手術件数や診断件数が増加することが見込まれる。さらに、「モ」病院はバンティミエンチャイ州の中核病院であることから、同病院の外科部門系の整備を内容とする本計画の実施によって、州内のリファレル体制が改善されて、同州及び周辺地域の住民約77万人が裨益することが期待される。

(参考)
カンボジア王国は、東南アジアに位置し、人口1,450万人、国民1人あたりのGNI(国民総所得)は321ドルである。

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