
エチオピアの「アムハラ州給水計画」および「食糧援助」に対する無償資金協力について
平成17年8月12日
- わが国政府は、エチオピア連邦民主共和国政府に対し、総額8億9,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月12日(金)、アディスアベバにおいて、わが方中津川伸一駐エチオピア臨時代理大使と先方メコネン・マニャゼワル財務経済開発担当国務大臣(Mr. Mekonnen Manyazewal, State Minister of Finance and Economic Development)との間で行われた。
- (1)「アムハラ州給水計画
(the Project for the Water Supply in Amhara Regional State)」
供与限度額 4億9,900万円
(2)「食糧援助」 供与限度額 4億円
- (1)「アムハラ州給水計画」
エチオピア国全土の給水率は約23%(2001)であり、サブサハラアフリカ平均の約54%(2002)と比較しても非常に低い数値に留まっている。特に人口の約85%が居住する村落部の住民は、生活用水の確保に多大な時間と労力を費やしており、これが貧困を助長する一因ともなっている。
本件の対象となるアムハラ州では、住民の78%が村落地方に居住している。同州では、河川水や湧き水、溜池等の保護されていない水源を住民が利用する地域は88%を占めている。このため村落地方における安全で安定した水源の確保と衛生環境の向上は喫緊の課題となっており、同州の水分野開発計画(WSDP: Water Sector Development Programme)によれば、現在の州給水率23%(2001)を2016年には62.0%に改善することを目標としている。しかしながらアムハラ州では、安全な水の供給を可能とする深井戸の建設に対応する適切な資機材が不足しており、上位計画の達成が困難になっている。このような背景から、エチオピア国政府は、アムハラ州における井戸の建設に必要な資機材調達につき、わが国に無償資金協力の要請をしてきたものである。 本計画の実施により、アムハラ州の6県20郡148村の対象地域に200本の井戸が建設され、年間を通じ安全で安定した水にアクセスできる給水人口は94,000人増加する。また対象地域における水因性疾患の疾患率が減少し、衛生面を始めとする生活環境が改善されること、婦女子の水汲み労働が緩和されることが期待される。
(2)「食糧援助」
エチオピアは2002年の大干魃の影響により、1,400万人が飢餓に瀕したように、長年にわたり食糧不足が続いており、現在でも720万人が食糧援助を必要としている。このような影響の下、食糧不足を解消するための小麦の購入に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
こうしたアフリカにおける飢餓の連鎖の問題は、国際社会でも大きな注目が集まっており、昨年のG8サミットでは、「アフリカの角地域における飢餓の連鎖の打破に関する行動計画」を発表し、本年7月のG8グレンイーグルズ・サミットでも各国のコミットメントが再確認された。
今回の支援は、こうした国際社会の取り組みの中で実施されるものであり、第3回アフリカ開発会議(TICAD III)において小泉純一郎総理大臣が表明したアフリカ支援の一環で実施されるものである。
(参考)
エチオピアは、総人口が6,430万人で、一人当たり国民総所得が90ドル(2003年)の低所得国(世銀ランク)である。