
バングラデシュの「コックスバザール及びケプパラ気象レーダー整備計画(1/2期)」に対する無償資金協力について
平成17年7月14日
- わが国政府は、バングラデシュ人民共和国政府に対し、「コックスバザール及びケプパラ気象レーダー整備計画(1/2期)」(The Project for the Improvement of the Meteorological Radar System at Cox's Bazar and Khepupara)の実施に資することを目的として、8億6,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が7月14日(木曜日)、東京において、バングラデシュ国ジア首相訪日に際して帰国中のわが方堀口松城駐バングラデシュ国大使と同首相に同行した先方イスマイル・ザビウッラー財務省経済関係局次官(Mr. Md. Ismail Zabihullah, Secretary, Economic Relations Division, Ministry of Finance)との間で行われた。
- バングラデシュを襲うサイクロンはベンガル湾南部で発生して、発達しながら北上して上陸するため、ベンガル湾沿岸を中心とする地域においては、サイクロンに伴う暴風および高潮により、過去数十万人という尊い人命が失われてきた。
そのため、86年、92年および97年にわが国の無償資金協力により、サイクロン観測に最も重要な位置にあるコックスバザールおよびケプパラの気象レーダーとデータ送受信システムを整備し、降雨およびサイクロンの状況を観測する体勢を整備した。
しかし、88年に両気象レーダーが完成してから既に16年以上が経過しており、老朽化が進んでいたところ、2004年には修復不可能な状況となったことから、レーダー観測が停止しており、毎時間刻々と変化するサイクロンの強さ・中心位置・方向などの観測が出来なくなっている。
- このような状況の下、バングラデシュ政府は、レーダー観測および気象衛星データによるサイクロン監視機能を改善し、サイクロンによる災害の軽減を図ることを目的とした気象レーダーの整備およびデータ通信機材等の調達に必要な資金につきわが国に対し支援を要請してきたものである。
- この計画の実施により、気象観測に必要な施設・機材が整備され、バングラデシュにおけるサイクロン監視能力が向上される。サイクロン監視能力が向上することにより、ベンガル湾岸域の危険地域に居住する4,000万人の迅速な避難行動を促すための情報提供が可能となるなど、バングラデシュにおける防災体制の向上が期待される。
(参考)
バングラデシュ人民共和国は、約14万4,000平方キロメートルの国土と約1億3,000万人の人口を有し、ガンジズ、ブラマプトラ、メグナの三大河川によって形成された世界最大のデルタ(三角州)上に位置している。一人当たりのGNI(国民総所得)は約400ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が重要課題となっている。